あー(もじのほう)

私の、私による、私のための文学。 旅と日常。 まちエッセイ。 ありそうでなさそうな景…

あー(もじのほう)

私の、私による、私のための文学。 旅と日常。 まちエッセイ。 ありそうでなさそうな景色を書きます。 世界一周20ヵ国以上 東京⇆長野 ライター、エッセイスト、イラストレーター えのほう→https://twitter.com/a_a_a_illust

マガジン

  • 【連載】道端に落ちたものから広がる世界

    道端に落ちている、突拍子もないもの。私はそれとの出会いが、たまらなく好きだ。別に拾うわけではない。もちろん、誰かが困っていそうな落とし物は届けるが、それ以外のものはただ眺め、これがここにある理由について、想像を巡らせる。 誰が落としたのか、どのように落としたのか、なぜ落としたのか。考えていると、足元にあるその落とし物がとても愛おしいものに思えてくる。私はこの工程が、好きなのだ。 道端には、本当にいろいろなものが落ちている。その一期一会と、そこから巡る物語を、記していこうと思う。

  • エッセイというかなんというか

    日常の中で感じた手触りを残しておく。

  • 【書籍化】旅にまつわるあったようななかったような話

    文庫本『南の島、場末のスナックと、透明の海』に収録されている短編2話。 ーーー 南の島に農業をしに行ったら、なぜかスナックで働くことになった。 半日フェリーで揺られた先に待っていたのは、私の当たり前を全てぶち壊す日々だった。 スナックのママを筆頭に、“チーママ”、“横浜”、“三線”など個性あふれるメンバーと共に始まるスナックライフ。その一方で昼間はサトウキビの収穫に勤しむ。そんな私たちを支えてくれたのは、親方だった。 夜、ドレスでカウンターに立つ女たちは、昼は茂みで用を足す。 美しい南の島で起きた、あったような無かったような出来事。 ーーー 南の島に飽き足らず、次は北の大地へと旅立った。 そこでは初めて会った6人とひとつ屋根の下で過ごし、技能実習生やパートさん、そして農家を経営する家族たちと日々を共にする。 家族とは何なのだろうか?を考えた日々の記録。

  • 女と云ふものについて

    女であることを呪い、誇り、慈しむ、忙しき心について

  • 文学フリマへの道

    2024年春、文学フリマに出ることにした私の、本を作ることにまつわる雑記。

最近の記事

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南の島に農業をしに行ったら場末のスナックで働かされることになった話

ひとり南の島の空港に降り立った。機体と空港をつなぐ、あの蛇の腹みたいなもので覆われた通路に出たら、湿った空気が肌を包んだ。湿気。服を一枚脱いで、腹に結び付けた。荷物は、黒々と光った安っぽいビニールでできた大きなバッグだけ。タイヤが付いたキャリーは可動性が悪くて好きじゃない。重いバックは肩に食い込み、汗ばんだ皮膚に吸い付く。 唯一都市部に走るモノレールで、予約した宿に移動する。今日は港の近くで一泊する予定だ。インターネットで予約したから、部屋と外観の写真しか見ていない。地図を

¥300
    • 道端に落ちたものから広がる世界④〜シャツとズボンと靴〜

      車を運転していると高い頻度で出くわすのが、車道に落ちた片方の靴だ。 殆どは運動靴で、少し汚れている。仕事終わりに靴を脱ぎ、サンダルなどに履き替えた後、トラックの荷台などに置いてあったのが落ちてしまうのだろうか。落ちる現場を見たことがないので想像の域を出ないが、勝手そう思っている。 先日、交通量の多い国道を走っていたら、いつものように汚れた靴が落ちていた。ああ、また靴か。と、思いそのまま走ると、数メートル先にもう片方の同じ靴が落ちている。お、今日は両方揃っているパターンか、と

      • はじめての個展が終わりました&BOOTHのお知らせ|近況

        先日、長野県は佐久穂町にあるpieniにて はじめての個展を開催しました。 そんなこんなですっかり浮上できずにおりましたが、 少し落ち着いたのでまとめつつ、近況報告です。 個展っていうとなんかすごい大袈裟感 まず、こちらのアカウントでは”もじのほう”とありまして 一方で”えのほう”の活動もしております。 こちらは主にTwitter(Xとはかたくなに言わない)で展開していますが リアルでの展示会は今回が初めてです。 https://x.com/a_a_a_illust

        • 下町のゲーセンと、煙草の匂いがする団地 | 創作大賞2024

          小学生を四人連れてゲームセンターに行くこととになった。 今のゲームセンターは、開放的だ。前向きで楽しげなゲーム機がたくさん並び、プリクラ機はきらびやかに装飾され、隣に女優ライトが付いた化粧直し台まである。 私にとってゲーセンと言えば、薄暗く、たばこの煙が充満し、ちょっと怖い人たちが集まる場所。しかし今は、そんな過去とは決別したようだ。 明るいクレーンゲームには、ご丁寧に攻略法やアドバイスまで書いてある。それを見ると、いかに今までの自分のやり方が間違っていたかが分かる。ク

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        南の島に農業をしに行ったら場末のスナックで働かされることになった話

        ¥300

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        • 【連載】道端に落ちたものから広がる世界
          4本
        • エッセイというかなんというか
          3本
        • 【書籍化】旅にまつわるあったようななかったような話
          2本
        • 女と云ふものについて
          2本
        • 文学フリマへの道
          14本

        記事

          道端に落ちたものから広がる世界③〜しゃけの切り身〜

          スーパーで買い物をした後、レジから少し離れた机で、会計済みのカゴからマイバックなどに入れ替える。 その時に買ったものを机に置き忘れてしまい、家に帰り冷蔵庫に詰める段になって初めて気づき、ショックを受ける。 私は何度かこれをやったことがあって、その度にとても悔しい思いをする。さりとて、スーパーに戻る元気はない。仕事の後ならなおさらだ。 だから私は、道端にしゃけの切り身が落ちていたのを見た時、とても同情してしまったのだ。ああ、この人の今日の晩御飯が落ちていると思ったからだ。

          道端に落ちたものから広がる世界③〜しゃけの切り身〜

          世界を旅して見つけたもの | 旅と日常

          20歳の時、初めて日本を飛び出しました。20カ国以上を回り、私はその時はじめて“旅”をしたのだと思います。 旅立つ前。世界に行けば、きっとそこには特別ななにかがあって、それを見たら、私はなにか変わるのだろうと思っていました。 けれど、そんなものはありませんでした。 そこにあったのは、ひたすら、繰り返す日常でした。旅の最中にも、私たちは毎日朝起きて、その日をどう過ごすのかを自分で選び取っていく必要があるのです。旅ではその選択が、日常から少しばかり増えます。だから、なにか違

          世界を旅して見つけたもの | 旅と日常

          道端に落ちたものから広がる世界②〜マイファースト違和感〜

          なぜ私は、道端に落ちている突拍子もないものが気になるのだろう。そう考えた時に、ふと思い浮かんだのが、幼稚園の頃の思い出だった。言うなれば、マイファースト違和感。こんなところにこんなものが落ちているなんて、おかしい。そのように幼稚園生でさえもが思ったものが、あったのだ。おそらくそれが、私の落とし物に対しての興味の原点になっているに違いない。 ーーー 家からほど近い、歩いて15分程の所にある幼稚園に通っていた。私は母が運転する自転車の後ろに乗って通っていたが、バス通園の子ども

          道端に落ちたものから広がる世界②〜マイファースト違和感〜

          道端に落ちたものから広がる世界①〜はじまり〜

          歩くのが好きだ。歩いている時は、大抵足元を見ている。一歩一歩順番に出てくる自分の足を眺めながら、この体が少しずつ道路を進んでいくさまを感じるのは、おもしろい。足ってすごい。自然、そう思う。 足元を見ていると、それ以外にも様々な副産物がある。例えば、季節ごとに草花が変化していくことに気づく。草や花は定期的に入れ替わり、それを見るたびに今が一年のどのあたりなのかを知ることができるし、何より草花の姿は何とも神秘的である。なぜ神様はこんな形にこの草花を作ったのだろう?と、つい考えて

          道端に落ちたものから広がる世界①〜はじまり〜

          文学フリマ東京38、ありがとうございました!

          あまりの熱量に、終始気分が高揚していました。文学フリマ東京38,無事に終わり、気持ちも少し落ち着いたところでお礼と振り返りをしたいと思います。 何より先に、お礼です まず、ブースに来てくれたり、作品を買ってくれたり、お話ししてくれた皆様、本当にありがとうございました。私の存在を覚えてくださっていたこと、わざわざ足を運んでくださったこと、あまりの感激に言葉にできません。 noteでもつながっている方々とお会いできたことは、とてもうれしく、励みにもなりました!またイベントなど

          文学フリマ東京38、ありがとうございました!

          本ができました〜③ | 文学フリマ東京38

          いよいよ明後日ですね〜文学フリマ東京38。 私は今回初参加なので、当日の机のレイアウトなどをシュミレーションしながらどきどきしております。 さて、3冊目の本の書影を上げて、本の紹介は終わりになります。 旅先での景色や心象風景を描いたオールカラーの画集です。アーティストさんとのMVでのコラボ作品をはじめ、いろいろな絵を描いてきましたが、こちらは2021年から2023年までの自作品を収録しています。 A5版、35ページ。 販売価格は1500円です。 画集への収録はないので

          本ができました〜③ | 文学フリマ東京38

          ディスプレイ準備②ポップ編 | 文学フリマ東京38

          今日は仕事の合間にひたすらポップを作った。 久しぶりにこういう作業をすると、あっという間に時間が過ぎる。はさみとのりを片手に、気づけば今日という日が終わってしまった。 全ての準備を終えた。新刊含む荷物をキャリーバックに詰め込んだ。あとは当日を迎えるだけ。きっと何か忘れているが、もう深く考えるのはよそうと思う。 さて、当日並べる3冊の紹介を。WEBカタログと合わせて見てほしい。ログインしている人は、気になるボタンを押すとリスト化できるのでとても便利。私も最近ぽちぽち押してい

          ディスプレイ準備②ポップ編 | 文学フリマ東京38

          本ができたよ〜② | 文学フリマ東京38

          エッセイ本、届きました。緑陽社から。 いろいろと手違いがあり、もちろん全て私のミスなんですが、今週の到着となりました。 箱を開け、実物を見て、ああ、本当に緑陽社にしてよかったなと思いました。 入稿については以前に記事で書きましたが、、、 手違いからのやり取りや、仕上がりまでもう全てが完璧すぎて、もう完全に虜になりました。 次作る時も、必ず緑陽社で作ります。同人誌制作の会社を悩んでいるならば、私は緑陽社を全力で推します、、、ッッ! 改めて読み返しましたら5箇所も、誤

          本ができたよ〜② | 文学フリマ東京38

          ディスプレイ準備① | 文学フリマ東京38

          今週末に迫った文学フリマ東京38に向けて準備もスパートがかかっています。 はい、後回しになっていた商品ディスプレイです! 今までの開催の様子を調べてみれば、みなさん机にだらりと布などを垂らしている。当日の机のサイズに合わせて布を購入。手芸屋さんでキルティング記事をゲット!105メートル幅の布を130センチ買いました。余裕を持ってね。 フエルトでタイポグラフィを作成、ちょきちょきぺたぺた。布、完成! 「旅と日常」。当日は、赤と青の“あー”を目印に見つけて下さい。 そして

          ディスプレイ準備① | 文学フリマ東京38

          本ができたよ〜① | 文学フリマ東京38

          本が手元に届きました。 少しずつ書影を公開しつつ、当日の気分を盛り上げたいと思います! 第一弾は、、、 『或る居た』(文庫版) 長野県のローカル線、小海線沿線を歩いた様子を描いた絵日記的な本です。 始発の小諸駅〜羽黒下駅までのまち歩きを収録しています。中はイラストも文字も全て手書き(手描き)、アナログ感満載の一冊となっています。 小海線は電車ではなくディーゼル車なので、“列車”の旅。ディーゼルの独特なあの匂いと、電車にはない音の大きさが気分を盛り上げます。また、ボッ

          本ができたよ〜① | 文学フリマ東京38

          演じることと、それそのものになることと

          外は雨が降っている。パソコンを通して相手とのやり取りを終え、ミーティングルームを閉じた時にはじめて、雨音に気づいた。 洗濯物は、まだ外だ。慌てて窓を開けてゆらゆらとぶら下がる服に触れば、一度乾いた後に何滴か雨粒が染み込み、しっとりとしている。 さっきまで画面越しに相手にアドバイスなんかしていた私は、こんな風によく洗濯物を濡らす。天気予報を見ないからだ。 ミーティングルームで話していた相手は、私の話を熱心に聞いてくれていた。私はその様子に少し得意げな気持ちになっていたが、

          演じることと、それそのものになることと

          本のご紹介④ | 文学フリマ東京38

          そろそろ最後にします、文学フリマ東京38に持っていくものシリーズ。 今日は書籍ではなく、紙もののご紹介です。 今回はポストカードとイラストボードも並べようと思っています。リソグラフ印刷でがさっとした感じが気持ち良い紙たちです。 〜1500円までの価格帯を予定していますが、ポストカードいくらにするか悩み中。 あとは無料配布で旅新聞をお持ちします。今回は富山県特集。旅した際の個人的にグッときたものを絵と文で綴ったA4サイズのものです。前を通りかかったらぜひもらってください

          本のご紹介④ | 文学フリマ東京38