見出し画像

新たな相棒、パクセッテ

出会ってしまった

日曜日の午後、お散歩がてら近所のカメラ屋さんをぶらり覗いていたところ、とあるカメラに一目惚れしてしまった。
西ドイツ・ニュルンベルグのカメラメーカー、ブラウン社の「パクセッテ」。調べてみたところどうやら髭剃りメーカーのブラウン社とはまた別の会社らしい。
ミラーレス一眼カメラでの撮影も先日はじめたばかり、ましてフィルムカメラに至っては写ルンですしか触ったことのない初心者の私が、よもやこんなハードルの高そうなカメラに一目惚れしてしまうとは思ってもみなかった。

画像1

恥ずかしながら「パクセッテ」というカメラなどこれまで見たことも聞いたこともなかったが、ヨーロッパでは当時 「貧乏人のライカ」と呼ばれていたそうで、いわゆるライカを模した廉価版のカメラらしい。

このカメラは1950年代の発売 (70年前・・・!) で、敗戦直後だったドイツのメーカーにもちろん資金力はなく、使われているパーツの作りや内部機構が洗練されておらず整備士さん泣かせとレビューされているのを他のサイトで拝読した (後期型になるにつれてどんどん改善され、ドイツの目覚ましい経済成長が伺えるとか) 。

当時このカメラがユーザーたちの間でどのように評価されていたのかはわからないけれど、左右対称かつコンパクトで美しい造形に心を奪われてしまった。

私が購入したこのカメラは「パクセッテ」シリーズの中でも最初期 I型らしく、レンズの交換はできないタイプ。また、内部に露出計や測距計のついていない完全機械式のカメラなのだとか (浅学ゆえ間違いがあればすみません) 。
右側のファインダーを覗いた時に明るさに応じて数字が浮かび上がってくる仕組みになっていて、それで露出を判断。
シャッタースピードと絞りを手動で合わせ、被写体との距離を自分で測ってピントを合わせるという、フルマニュアルカメラ。初期の「ローライ35」なども同様の形式だそう。
カメラ店の御店主には「マニアックで上級者向け、そもそもコレクション目的で購入される方が多いので実用向きではないかもしれない・・・」とアドバイスいただき心揺れたものの、えいっと心を決めて購入した。

その場で御店主にフィルムの装填方法や取り外し方法、また撮影の仕方を教えていただき、試し撮り用のフィルムも購入してほくほく帰宅。
実際に撮影してみての挙動確認はしておらず、もし不良があれば1週間以内なら返金してくださるとのことだったので、取り急ぎ映るかどうかを確認してみた。

画像2

落としたりして壊してしまうと取り返しがつかないので、まずは部屋の中を中心に恐る恐る撮影。
今回購入したのはISO200のフィルム。
ミラーレス一眼をISO200固定で被写体に向けてみて、オートで表示されるシャッタースピードを参考に撮影を行った (f値はなんとなくの肌感覚で調整) 。
70年も昔のカメラだし、不備があって全く写っていないなんて事態も想定していたのだけれど・・・・

画像3

画像4

画像5

画像6

ちゃんと写っている・・・!!!

今回は「本当に映るのか」の確認で、ろくなものを写していないので載せられる写真が少ないけれど、ちゃんと写っている・・・!
アヒルにはおそらく寄りすぎてしまってピントが合わなかったし、空の青ももっとくっきり写したかったなど反省点はたくさんあれど、まずはきちんと現像できていることに感動してしまった。

この優しくてほんのりノスタルジーな色味がとても素敵だ。
70年も前に作られたカメラが2020年の景色を難なく写し取ってくれるというのは、完全機械式のカメラだからということもあるだろうけれど、きっとそれ以上に前の持ち主の方がとてもとても丁寧にメンテナンスして大切にしていたからだと思う。きっと色々な人の手に渡りながら、ここまでやってきてくれたんだろうな。
そんな、見知らぬ人の想いのようなものも感じてジーンとした。

普段使いはできなさそう

元はこのカメラを持ってバンバンお出かけして写真を撮りたいと思っていた。
ただ、よくよく調べるとこの初期型のパクセッテ I は現在日本ではあまり流通していないようで比較的珍しいこと、そしてもし故障してしまった時、修理を請け負ってくれるお店がほとんどないことに気がついた。
そもそもあまりパーツの作りがよくないと書かれていたカメラなので、初心者の私が下手な使い方をして貴重なものを壊してしまったらと思うと怖い。

とりあえず現在は海外から、このパクセッテ I 専用のカメラケースを注文してみようと思っている。こちらも昔のものなので修繕が必要ではあるだろうけれど、ストラップ付きのカメラバックがあれば外に持ち出す時の恐怖心が少しは薄れそう。

当面の間はお手入れをしながら大切に保管しつつ、より撮影やフィルムカメラの扱いに慣れてきたらいつかこのカメラを持っていろいろなところへ一緒にお出かけしたい。

この記事が参加している募集

#カメラのたのしみ方

54,988件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?