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書く楽しさと読まれたい気持ち <小説の書き方>&<小説家になる>

【書く楽しさ】

自分の考えたストーリー、作り出したキャラクターを表現することは
ただそれだけで純粋に楽しいものです。
小説を書いている内に数時間経ってしまうこともあります。
(私は小説を書くようになって、テレビゲーム以外にも完璧に時間を忘れて没頭できるものがあるんだ、と驚きました)

物語を生み出すこと、アイディアを形にすること
書いている内にどんどんストーリーが湧いてくる、自分の代わりに主人公を思うさま動かせる……

普段、言えないことが言える。溜まっていたストレスを解消するようなデトックス効果もあります。

とにかく楽しいです。

小説を書いているとと予想外のことが起こります。
書こうと思っていなかったいくつかのストーリーが繋がってきたり
キャラクターが「おいおい、ちょっと待てよ」と言いたくなるような勝手な行動をしたり
自分の書いているシーンが頭の中に映像ではっきり見えたり
そんな時、自分は天才ではないだろうか、なんて思うこともあります。

さらに、ごくごく稀にですが、小説の神様が降臨した、と叫びたくなるようなひらめきを得ることもあります。それからしばらくは無我夢中。
まさしく幸せな時間です。

そして書き上げた満足感。原稿の最後に<了>と打った瞬間の達成感は何ものにも代えがたいものがあります。

※スティーブンキングの『ミザリー』では、小説家の主人公が作品を書き上げたときに、我慢していた煙草にマッチで火を付けて一服し、シャンパンで祝うという儀式のシーンがあります。
私はあのシーンに憧れたものです。
きっと一作でも小説を書き上げた人なら気持ちが分ると思いますし、自分なりの儀式を作っている人もいるのではないでしょうか。

(私の場合は少しお高い酒とつまみを用意して、フィニッシュを迎えます)

【読まれたい気持ち】

よく承認欲求などと説明されていますが、難しく言わずとも、書いたものを誰かに読んで欲しいという、ささやかな気持ちは誰にでもあると思います。

私は、小説は本来、【書く楽しさ】があればそれで十分なのだと思います。それで満たされますし、手元には自分の作品が存在するのですから。

ところが、誰しも自分の書いたものを誰かに読んでもらいたい、感想をもらいたいと思い始めます。私もそうでした。
世の中に発表したい、できれば評価をされたい、その気持ちは高じて、新人賞を受賞して華やかに脚光を浴びている自分、有名な賞をいただいてインタビューに答える自分を想像したりすることに繋がります。

すると

「書きたい」から「書かなければ」に

なってしまうのです。

新人賞に挑戦しようと考えた時に初めて「どんな小説を書けばいいのだろう」と迷う人がいると思います。

賞の主催者や読者に望まれている小説を書かなければいけない。
締切りまでに書かなければいけない。
内容もボリュームも、時にはジャンルもキャラクターも制約を受けて描くような状況。

制約や制限があっての創作は、本来の形では無いと思います。
創作はあくまで自由に、楽しくあるべきだと思うのです。

もちろん職業小説家であれば、小説を書くことは「仕事」になります。
「仕事」として考えたとき、与えられたタスクやミッションを納期までに、より高い品質で完成させる、その行為に充実感や達成感がもたらされることはあります。
でもそれは本来の創作の楽しみとは相容れない気がするのです。

【読まれたい気持ち】の前に【書く楽しさ】

私は新人賞を目指して執筆していたサラリーマン時代もありますし、今は運良くデビューして職業小説家になっています。

両方の立場を経験して今、思うのですが
理想的なのは『書く楽しさ』が先にあることです。

自由に自分の書きたいことを書くことで
満たされて充実した時間を過ごす内に
いつしか文章が上手になり
書いたものをブラッシュアップする時間も作れて
そうして書きためた作品がストックになる。

新人賞を受賞するためには、何作も書くことによって培われた技術と経験が不可欠です。誰にも読んでもらえない孤独に耐えて、地道に何作も書くことができるのは『書く楽しさ』を知っている人だと思います。

そして技術的に向上し、デビュー後のアイディアや原稿のストック準備ができている状態が作れれば、結果的に早く『読まれたい気持ち』を実現することに繋がるということです。

これはすべての小説家志望者にあてはまるわけではありません。人それぞれだと思いますが、こういう理想の順番で小説を書いている人は幸せだと思います。
そうでない人も、自分の書きたいことを気ままに、思う存分、楽しく書いてみる時期があるといいんじゃないかな、と思います。

書かなければいけない、が先に立ってしまい、創作の楽しみを忘れないでほしい、と思うのです。

最近の私は、自分がずっと書きたかったことを書いています。
あるとき、はっと気づいたのです。
もたもたしていたら、書きたいものが書かないままになってしまうと。

一部はnoteに連載しています。こういう自由な発表のプラットフォームがあることに感謝しています。

ジャンルもテーマもボリュームも自由に書いていて、本当に久し振りに創作することの楽しさを思い出したような気がしています。


やっぱり【書く楽しさ】を忘れちゃだめだな


そう思いました。今回はこれが言いたかったんです。


最後に
これまでnoteに<小説の書き方>・<小説家になる>という二つのマガジンを掲載してきましたが、今日のテーマは両方に関わること、橋を渡すような内容だったかと思います。

以前書いた内容と矛盾することもあると思いますが、今、私が思っていることを書きました。
小説を書いている人、書こうとしている人の参考になれば嬉しいです。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。



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