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2022.7.23 ハンナ・アーレント「人間の条件」を読む

はじめに

こちらは、武蔵小杉で毎月行われている「人間の条件」を読む会の記録です♪
第一回の様子はこちらから↓

講師の佐藤和夫先生が面白すぎて、あっという間に1年半。
難解女王のハンナ・アーレントの本を、亀のあゆみで読み進めていく。このプロセスこそが地域自治の形である、ということがおぼろげにわかってきた今日この頃。

アーレントが「活動」と本の中で何度も強調しているのが、究極的には現代の「市民活動」を指すということがわかり、へえ、と思った。

「人間の条件」はこちらです。

この日は、新しい参加者がたくさんいたので、先生は先に進めるよりも、いままでに出てきた言葉の確認に時間を費やすことにしたようです。
(これ、大切)

人と人が場を共有する「絶対的な意味」について

ここで「人間の条件」のプロローグに戻ってみる。(というか、ここ今まで読んだことあったか!?汗)第一回の記録を読み直してみると、盛大に飛ばして第二章から読み始めてるわ…。

先生はその時「1ページから41ページにはこの本の結論が書いてあるけれど、アーレントの使う言葉は彼女なりの定義で私たちが普通に考えている意味とは違うので、それらを勉強してからでないと、この部分が読めない」と言っていた。
ついに、この部分に触れてくれるということは、我々の理解がついに追いついてきたと認めてくれたのだろうか(笑)

プロローグの内容を、先生が説明してくれた言葉で引用する。

「人間の条件」プロローグに書いてあること
肉体労働が消えていき、ボタンだけで一瞬で世界中の人がつながるようになる。そこで人間が生きている上でもっとも肝心なことがなにか、というのを説いたのがこの「人間の条件」。アーレントは、1950年代にこれを書いたにもかかわらず、70年後の今、何が起きているかをこのプロローグの中で看破している。空気で伝わるリアリティとは何か、というのを本気で探っている。

佐藤先生

「社会」という言葉


ヴァージニア・ウルフの「オーラーンド」。
サリー・ポッターの映画では「Society =社交界」という字幕があった。
日本人にはそのイメージはない。明治時代に訳されたときに、その部分が落ちた。
社会性の科学と捉えがちだが、ヨーロッパの歴史を鑑みるに、それは社交界に他ならない。

「国家」という言葉

アーレントの文章に出てくる「国民国家」。
近代国家の理論は「国民国家」=(One nation, One stete ,One language)だgが、これを適用すると、例えばウクライナのような多民族国家は内戦をしてバラバラになるしかない。
国民国家は経済単位として、豊かになることを目的に結束する。政権の約束が「私が当選すれば、国がこれだけ豊かになりますよ」という理論なのがまさにそれを現している。政治的共同体=経済的共同体という構造になっており、日本の国家は金儲けに協力してくれるかどうかが大切になってしまっている(近代の入口で入った夜警国家の考え方)。

「自由主義」という言葉

私たちが日頃よく使う「ソーシャル」は社会的、つまりみんなで助け合うという意味。(社会党は、経済的に連帯して助け合うべきと説く人たち)。それに対して、自由主義というのは、基本的には弱肉強食、貧富の差があっても、強い人が勝てば良いという考え方。

社会主義を解く人々は、経済発展が終わってしまうと、思っていなかった。社会党のバックボーンができなくなった。立憲民主党が成り立つためには、原発労働者・トヨタの労働者の権利を守らなければならないが、それをやるための経済基盤が今は、もはやないのである。

人が、子どもたちが餓死しない制度をどうつくるか、ということは、私たちが21世紀に発明していかなければいけないこと。

たとえば、特別養子縁組も新しい制度。「1年間の中絶は14万件、慈恵病院で救われた命は10年で300件、こんなのは焼け石に水ですよ。私は看護学校でも教えているんですが、生徒はみんな『先生、なんでこんないい制度を、国は率先してやらないんですか』と不思議な顔で聞いてくる。答えはこうです、政治はお金にならないことはやらないんですよ」

「新自由主義」

こちらは、ひとりで自由に生きられるならいいじゃない、という考え方。経済基盤と流通が整った現在でこれを求める人が多くなった。「社交界」は規制のかたまりで、ルールを守ってはじめてデビューできるものだった。そこにうんざりした人たちが、新しく求めた主義であるが、残念ながらこれの行き着く先は孤立である。

「科学」


科学だと思わされているものは、実は曖昧にこの世に存在しているものをすべて排除したもの。科学で世の中が解決できると思っていた時代があったが、そうではない、ということにそろそろ人が気がついてきている。アーレントの凄いところは、このプロローグで、現在人々が科学以外の大切な部分を見直し始めているこの状況を、科学が絶賛・礼讃されていた50年代に看破している点である。

ふむふむ。
よくわかります…。

本日の先生絶賛コレクション


(毎回講座後にすぐ観よう!と思うけど、いつも次の回までに観られない…)

スープとイデオロギー

さとにきたらええやん


鑑真和上像
「こんなにすばらいしものがこの世にあるのかと思いましたよ!!」と熱く語っていた鑑真和上像。

次回は、8月21日(日)。
アーレントの映像を見ながら、懇親会付きの会になります。

気になる方は、ぜひ学びにきてください♪

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