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GLEAT MMA後楽園大会の解説をさせて頂きました。感情揺さぶられました。

GLEAT MMA後楽園大会の解説をさせて頂きました。
試合の中継映像を置いておきます。青木の解説も含めてどうぞ。

GLEAT MMAは解説のお仕事を頂く前から興味深く動向を追っていた大会でした。と言うのもプロレスとしてのプロレスが主流になっていて、強さや闘いを軸にしたプロレスが絶滅危惧種となり、業界の一部にギリギリ闘いの遺伝子が残っているような状況の中で、プロレスラーがMMA(総合格闘技)に討って出ていく姿に2000年前後の熱狂を思い出させられたからです。

プロレスラーは強くなければならない。何を持って強さとするかはこれまた難しい話ではあります。僕はMMA競技の競技力が強さとは思っておらず、強さとは強さを追い求め挑戦し続けることであり、強さへの探求、学びの深さ、精神的な強さ経験など、様々な要素が含まれた総合力であって、雑に言ってしまうのであれば人間力みたいなところだと思います。カシン先輩や藤田和之さんは年齢を重ねていて、MMA競技では今はベストではないにしても僕レベルでは到底及ばない強さがあって、逆立ちしても勝てないと思うのです。それが強さなのではないかと僕は思っています。

井土選手や飯塚選手の強さと闘いへの気持ちにGLEAT鈴木社長の真っ直ぐな気持ちが応えた形で産まれたGLEAT MMAは、MMAとプロレス両方に軸足を持つ僕から見ても好感を持って見ることができたし、レスラーが強さに対して真っ直ぐに向き合う気持ちが僕は嬉しかったです。プロレスとしてのプロレスの凄さや難しさもわかるけれど、強さがあってのものだと思う気持ちはずっとあったし、僕が憧れたプロレスラーは強さに真っ直ぐでした。

MMA業界ではGLEAT MMAは全く話題になっていなかったし、選手間で話題にしているのは僕だけで、出場したいと声を挙げる選手もいなかったです。プロレスと格闘技が別物になっているのだろうし、見方の提案ができていないのが勿体無く感じて、もう少し早く解説の仕事を頂けたのであれば試合に臨むレスラーの意味や理由を事前解説して見方の提案ができたのにと思って、試合をされる選手には少し申し訳なく思いました。井土選手がグレートを背負っての格闘技戦や50歳の田中稔さんが何故試合をするのかと青木の捻じ曲がった推測を色々してしまうドキドキ感は今の格闘技業界にはないシロモノだと思うのです。

それでもプロレスラーが格闘技戦をするのは黎明期であればまだしもMMAが確立した現代MMAでは無理がある話です。MMAの中で勝つ方程式が存在して、強ければ勝てるのとはまた違った部分があるのです。MMAの強さはMMAの強さであって、プロレスの強さはプロレスの強さとなっています。そのくらいに各競技が確立していてまったくの別物です。GLEAT MMAの話を聞いたときに無謀な挑戦だと思ったし、選手団体が今後のプロレスにどう繋げて、MMAがGLEATとレスラーにどう作用していくのかが読めない不安がありました。だからこそ観る側としてはワクワクするし、この決断をした鈴木社長の現状をどうにかして変えて行こうとする勇気と挑戦の経営者魂に凄味を感じました。プロレス団体がMMA戦をやるのはソフト面ハード面共に相当の狂気がないとできません。プロレスと格闘技は別競技で別物ですからね。野球の野手がピッチャーやるみたいな話でもなければ、大谷翔平の二刀流の話でもなく、野球選手にサッカーをやらせるような話であります。だからこそ選手の気持ちや人間力が出るものだとも言えますがなかなか難しいです。厳しい結果はやる前から見えていました。

そもそもプロレスの試合をして行く中で、格闘技の試合用の練習をして、減量をして、格闘技戦に臨むのは並大抵の取り組みではなく、減量をしてプロレスの試合をするダメージは想像を絶する世界で怪我なく辿り着けただけで賞賛に値します。今日試合をしたレスラーは本当に立派だと思いました。伝わってないかもしれないけど凄いことなんですよ。

渡辺壮馬選手のボディを効かされても耐えに耐えて意地でもノックアウト負けは許さない姿。格闘技をやっているからこそわかる話ではあるのですが、あれだけの攻撃をモロに受けて、ボディを効かされて、スタミナが切れている状態で最後まで立っているのは想像を絶する世界です。あれを見せられたら僕は渡辺選手をファイターとして認めます。格闘技はやれば上手くも強くもなるけれど、試合を投げない気持ちの強さだけは格闘技をやったからと言って身につくものではないからこそ、渡辺壮馬選手の人間本体の強さを見せつけられました。感情が揺さぶられた。プロレスラーにしかできないMMAであり、MMAの中でプロレスしていました。

福田選手は格闘技選手としての闘う顔でした。プロレスの中の戸惑いが感じられず、彼女にとっては格闘技戦がプロレスラーとしてのきっかけになるような気がしました。普通に強かったし、格闘技の中での加点方法が掴めていないだけで慣れたらそれなりに活躍すると感じました。

田中稔選手。50歳にして初のMMA戦。何もできずに敗戦。何もできないことを分かった上でそれでもリングに向かっていく姿は格好良かったです。入場の姿は今まで見た田中稔選手に入場で一番格好よかったです。格好をつけていないからこそ格好良かったです。納得行かなかったり、厳しい仕事でも立ち向かって行く大切さを教えてもらいました。意味のある試合だった。相手を務めた和田さんは難しい試合だったと思うけど、和田さんらしく非情に試合を終えていて、それはそれでまた納得でした。

メインの井土選手は井土選手の能力を知っているだけに期待感のあった試合でしたが、格闘技をしっかりやってしまった面が悪い方に作用してしまって、攻めきれない判定負け。負けたこと以上に攻めて出ていけなかったことが悔しいと思うし、練習ではもっと力を出せていたと思うので余計に悔しかったのではないかと思いました。GLEAT MMAが今後あるとしたら井土選手が悔しさを果たして行く責任があるというか、今大会で溜めが効いた部分があるので、次こそは責任を果たしてほしいと願います。あくまで今回の結果は溜めだと僕は思っています。

結果で見るとグレート勢全敗。結果で見るものではないと僕は思っているけれども結果で見るのであれば全敗です。この結果をやらなければよかったと見たり、ほれ見たことかとするのは簡単なことです。ただ挑戦する姿勢だったり、苦境に立ち向かう姿勢を見せてくれたのは事実です。僕には価値があることに見えたし、闘わないヤツが笑うものでも笑っていいものでもなく、立ち向かった姿に敬意を表します。必死に真剣に格闘技に向き合ってくれて格闘技者として嬉しかったです。

ここからどう転がして行くかがプロレスラーの腕の見せ所ですよね。そこはもう信頼しているし、安心しています。プロレスしてください。格闘技の中でプロレスするのも、プロレスの中でプロレスするのも並大抵のことではないのは僕はよくわかっているつもりです。今日の出場選手のここからの繁栄を心から祈っています。おつかれさまでした。

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