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【MIL】絶対的守護神Josh Haderに異変が

ブルワーズ担当のあなんです。

MLBファンは既にご存知かもしれませんが、MILの絶対的守護神Josh Haderが大変なことになっています。直近6試合4.1イニングで12失点。昨日は3点差をひっくり返されサヨナラ負け。MILファンにとって悪夢の1日だったでしょう。私もテレビの前で茫然としました。


今シーズンのHader

今年のHaderは、開幕から無双状態でした。4月に最優秀リリーフ賞を受賞すると、6/3に開幕18試合連続セーブのMLB新記録を樹立。さらに40試合連続無失点(1位タイ)、32試合連続セーブ(1位)など、堂々たる成績を残していました。

しかし、7/4~7/6のカブスとの3連戦から異変が。
ここからは時系列で紹介します。


7/4、同点の9回に登板。Seiya SuzukiにランニングHRを許し1失点(チームは9回裏にサヨナラ)。


7/6、同点の9回に登板。1失点で敗戦投手に。


7/8のPIT戦、2点リードの9回に登板。Vogelbachにスライダーをうまく拾われタイムリーを許し1失点(相手の暴走に助けられ試合終了)。


私はここで始めてHaderを心配しました。しかし「登板間隔空ければ問題ないだろ~」くらい楽観的なものです。


7/12のMIN戦、3点リードの9回に登板。2度の雨天による試合中断により、登板時間は現地24時過ぎ。そんな悪条件でHaderは三者連続三振に切ってセーブ。


翌日のMIN戦、同点の9回に登板。四球→ヒット→3ランで一死もとれず敗戦投手に。


この段階でもまだポジティブでいられました。「いうてHaderの調子は悪くないはず。同点シチュエーションで登板させるのが悪い」という感じです。


そして運命の7/16。

3点リードの9回に登板し、HR→中フライ→HR→ヒット→死球→ヒット→満塁弾の6失点で敗戦投手。7/1時点で1.09だった防御率がわずか半月で4.50まで悪化。

言葉を失いましたね。HRを2本打たれ、なおヒットを打たれた時点で「負ける」とは感じましたが、まさかグラスラ喰らうとは。セーブシチュエーションでは抑えると信じて疑ってなかったので、ショックはとてつもなかったです。


最近のHaderへの所感

茫然したとはいえ、4月からちょこちょこリアタイしているとHaderのネガティブな面に気づくわけです。それが2つ。

① 速球で空振りがとれない
② 速球が高めにコントロールされていない


6月後半から速球で空振りがとれなくなっているように思えました。速いボールでばっさばっさ空振りを奪う姿が4, 5月と比べて減り、ファールで逃げられているという感じです。

原因として考えられるのは、高めに制球できていない。明らかに高いと判断できるボールが増え、打者が手を出さないケースが多くある気がしました。


というわけで、ここからはHaderの不調の原因を探ります。Burnesの時と同様、savantデータとRを活用して分析してみました。


baseball savantの数字をチェック

Pitch Trackingをチェック

 手始めに、baseball savantの数字を眺めました。


まず、月を経るにつれて期待値系の数値も悪化していました。運が悪いとは決していえません。

しかし、Haderが投げる「球そのものの質」は変わっていません

各指標の推移(4月→5月→6月→7月)

球速(mph)
シンカー:96.4 → 97.6 → 97.3 → 97.0
スライダー:83.5 → 83.0 → 83.0 → 83.8

スピン量
シンカー:2047 → 1985 → 1932 → 1963
スライダー:2378 → 2416 → 2466 → 2387

whiff(%)
シンカー:32.6 → 35.1 → 37.8 → 27.0
スライダー:68.4 → 53.3 → 45.8 → 50.0
baseball savantより

球速やスピン量などに大きな変化はありません。ファストボール・スライダーの変化量も1~2インチの変化に留まっていて、成績悪化の根源とはいえません。

ちなみに、ファストボールのwhiff%が7月に大きく下がっています。やっぱりって感じですね(ドヤ)。


Rでチェック

私はbaseball savant・fangraphs・baseball reference のMLB三大データサイトをうまく使いこなせないので自力で作ります。

投球結果割合

まずは、投球割合をチェックします。

数値の文字ちっさくてすみません
球数:144球 → 114球 → 137球 → 140球
B:39.6% → 32.5% → 31.4% → 40.0%
S:50.0% → 55.3% → 58.4% → 47.1%
X:10.4% → 12.3% → 10.2% → 12.9%

6月から7月にかけてストライクの割合が激減し、ボールの割合が爆増しています。

もっと細かく分類すると、、、

見逃しS:15.3% → 21.1% → 18.3% → 16.4%
ファール:16.0% → 15.8% → 19.7% → 16.4%
空振り:18.8% → 18.4% → 20.4% → 14.3%

6月→7月で見逃し、ファール、空振り、いずれも割合が減っているのがわかります。特に空振り率の減少は顕著です。

また、非スイング率(ボール+見逃しストライク)の推移は54.8% → 53.5% → 49.6% → 56.4%(MLB平均は52.4%)。6月から7月で悪化してるといえますが、月間リリーフ賞をとった4月とほぼ同水準に戻ったともいえます。

次からは、Haderの投球ゾーンに関して月ごとに追っていきます。


コマンドの変化 ~速球~

続いて、各球種のコマンドに関してチェックします。前回はゾーンを5つに分類して各ゾーンの割合比較で検証しましたが、今回はヒートマップを作成しました。


内側の点線:heartゾーン
実線:ストライクゾーン
外側の点線:chaseゾーンの境界線
(詳しくはBurnesの記事を)

等高線の本数を指定する方法がわからなかったのでsavantのより多いです。


まずは速球。

ご覧の通り、5, 6月は高めのストライクゾーンにきっちり投げ込まれていますが、7月はど真ん中付近に集まってしまっています。空振りをとれなくて当然ですね。ただ月によってここまで違いが現れるなんて……。

「速球が明らかに高いコースに投げられている」という私の直感は当たらずも遠からずって感じでしょう。


コマンドの変化 ~スライダー~

続いてスライダー。

4, 5月は右打者の内角低め、ゾーンいっぱいに投球できています。しかし、6月は少し高めに浮くようになり、7月はストライクゾーンから外れるようになっています。


まとめ

Hader不調の原因を一言で表現するならば、制球難。速球・スライダー両球種を適切にコントロールできず、このような成績悪化を招いたといえます。


6月までは速球を打者の高めに、スライダーをゾーンいっぱいにコントロールしていました。しかし、7月以降、速球がストライクゾーン真ん中に入るようになって空振りを奪えない、そしてスライダーがストライクゾーンに入らずカウントを稼げない。今のHaderはこうした状況に陥っているのです。


制球難の原因に関しては、登板過多だったり、パパになったばかりで心労があるなど、いろいろあると思いますが、今回はここで終了。


さいごに

私はHaderきっかけでMILファンになりました。そうですHaderの大ファンなのです。TwitterのアイコンもHaderです。noteのアイコンもHaderです。PCの壁紙にもHaderがいます。そんなHaderが度重なる背信投球で叩かれ、二度と出すなとか、放出しろとか、幻想のトレードに一斉放出されるとか散々の言われよう。そんな状況はまぁ悔しいわけですよ。


私はこれからも応援します。それだけです。


今回は以上です。
最後までありがとうございました。


サムネ


追記
シーズン終了後に改めて振り返りました。

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