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【MIL】あの人はいま

ブルワーズ担当のあなんです。

シーズン中、気になった選手にスポットを当てたnoteを作成しました。今回は、その振り返りです。取りあげた3人の選手(Gott、Burnes、Hader)がその後どのようなシーズンを送ったかお話しします。noteで挙げた課題が克服されたか、仮説が実証されたかなども検証していきます。

① Trevor Gott

〇 執筆時点

昨年メジャー登板のなかったGott。開幕直後はビハインド要員だったが、徐々に指揮官の信頼を得て、Hader、Devin、Boxbergerに次ぐリリーバーとしての立ち位置を築く。飛躍の秘訣は投球割合を見直したこと。ストレート主体のピッチングからカットボール主体に変更して、フォーシームをシンカーと同程度の割合に抑えた。

〇 執筆後

6/5のSD戦で打ち込まれた後ILに入り、下旬に復帰。7月はそこそこ安定した投球を見せるも、8/13に腕の張りで再びILへ。復帰は9/21。

【年間成績】
45G / 45.2イニング / 44奪三振 / 12四球
 ERA4.14  / FIP4.45 / xERA2.68 / xFIP3.83
WHIP1.01 / K/9 = 8.7 / BB/9 = 2.4 
fWAR -0.1 / rWAR-0.4

1年通してコントロールを乱す場面が少なく、ゾーンで勝負できていました。一方で、故障してから空振りを奪えなくなり、痛打される場面が目立った点は気がかりです。唯一悔やまれるのは、ブルペンが疲弊しきった8月に離脱していたことでしょう。復帰が9/21というのは遅すぎでした。

各球種のwhiff割合(whiff / swing)


シーズン最終戦で2HR含む3失点を喫し、防御率が3.63→4.14、FIPが3.94→4.45、WHIP0.99→1.01となり、だいぶ見栄えが悪くなっていますが、4人目のリリーフとしては十分です。


〇 投球割合がまた変わってた

6月まではカットボール:4シーム:シンカーを4:3:3前後の割合で投げていましたが、7月を境に4シームとカットボールの割合が逆転し、2度目の復帰後は4シーム主体になっています。

Gottの球種割合

5月の執筆時点ではカットボールの得点価値は高く、わざわざ減らす必要はありません。怪我で質の良いカッターを投げられなくなり、投球割合を抑えたのでしょう。オフに怪我を完治させてもらい来年の活躍に期待します。

② Corbin Burnes

〇 執筆時点

今年は被弾数が急増。6月中旬時点で既に昨年の被弾数を上回った。私が抱いた「2ストライクからが長い」違和感を検証したところ、2人の正捕手の間で大きな違いが出た。Caratiniがマスクを被った試合では、2ストライク後明らかなボールゾーンへの投球割合が多かった。そのためCaratiniは慎重すぎるのではないかという仮説を挙げた。

〇 執筆後

33試合に登板して12勝8敗。自己最多の202.0イニングを投げて防御率2.94。243奪三振はNL1位。先発ローテに怪我人が続出した今シーズン、MIL先発陣で唯一怪我なしで1年間ローテを守りました。一方で、被弾数23本は自己ワースト。K/9とB/9も数字を落としており、昨年ほどの支配力は見られませんでした。

【年間成績】
33G / 202.0イニング / 243奪三振 / 51四球 / 23HR 
ERA2.94 / xERA3.12 / FIP3.14 / xFIP2.85
K/9 = 10.83 / BB/9 = 2.27 / HR/9 = 1.02
fWAR4.6 / rWAR4.1

〇 追い込んでからの投球はどうなったか

6月のnoteでは「2ストライクから突如ストライクゾーンに投げられていない。制球難の可能性もあるが、Caratiniが慎重すぎてボールゾーンにあえて投げさせているのでは」と論じました。

〇 検証

仮説は実証して初めて真実になる

ガリレオ公式Twitterより


仮説は「Narváezと比較してCaratiniは慎重すぎる」ですので、2人の捕手の間でBurnesの投球に差があったか改めて検証します。もし「Caratiniと組んだ試合のほうが0-2, 1-2時にボールゾーンへの投球割合が多い」場合、仮説が立証されます。

〇 結果

まず、昨年と今年の比較。
※分母は全てカウント0-2, 1-2時の投球です。

ざっくりいうと、ストライクゾーンへの投球割合が減っています。


では本題。NarváezとCaratiniで差はあったか。
今年はNarváezと13試合、Caratiniと20試合バッテリーを組みました。


まず、投球結果割合。

続いて、ゾーン別の投球割合。

最後にランナーなし、ランナー一塁の場面に限定して。

〇 結論

ひとつひとつの数字には言及しませんが、NarváezとCaratiniの間で差は認められませんでした。つまり、Burnesが追い込んでから長くなった原因は捕手の違いではなく、ただただ制球難に陥っていたということです。あらぬ疑惑をかけてごめんなさいCaratini🙇‍♀️🙇‍♀️。


③ Josh Hader

〇 執筆時点

4~5月は圧倒的な支配力で相手を抑えていたが、6月に少し陰りが見え始めると、7月に入って制球難に陥る。そして防御率が4.50まで悪化する。

〇 執筆後

トレードデッドラインでパドレスに移籍。加入直後も不安定なピッチングを繰り返したHaderは一度クローザーを降ろされます。しかし、9月は11試合10.1イニングでERA0.87 / 13奪三振 / 2四球、被OPS.321と再び支配力を取り戻し、古巣の追随を許さずポストシーズン進出に貢献しました。

【年間成績】
【MIL】
37G / 34.0イニング / ERA4.24 / FIP3.47
59奪三振 / 12四球 / 7HR / WHIP1.12
K% = 41.8 / BB% = 8.5
fWAR 0.6 / rWAR 0.0

【SD】
19G / 16.0イニング / ERA7.31 / FIP3.43
22奪三振 / 9四球 / 1HR / WHIP1.63
K% = 28.2 / BB% = 11.5
fWAR 0.2 / rWAR -1.0

8月の不調が響き、数字はパドレス在籍時の方が悪いです。

〇 制球難は戻ったか

速球の投球ヒートマップ(投手目線)


7月に大荒れだった速球は、8月にはとうとうど真ん中付近に集まりますが、9月からはストライクゾーンの真ん中高めにきっちりコントロールできています。4~6月とほぼ同水準です。


そして速球のコマンド復活と共に、空振りを奪えるようになりストライクを稼げています。7, 8月を境にV字回復したといってよいでしょう。

月ごとの速球whiff割合(空振り / スイング)
月ごとの投球結果割合


Haderファンの私としては、Haderの復活には複雑な気持ちです。もし復活してなかったらMILがポストシーズンに進めていたわけで…。


ブルワーズがHaderを放出した主たる理由は今シーズンの活躍を見込めないためです。遅かれ早かれHaderの放出は予想されていました。今季このまま成績が悪化し続けた場合、地区優勝を逃すだけでなく、トレードバリューが下がって満足な対価を得られない恐れがありました。フロントは、代わりにかき集めたベテランリリーフで地区首位をキープする計算だったのでしょう。


しかし、ふたを開けてみたらHaderは見事復活してパドレスはワイルドカードゲット。一方ブルワーズはブルペンが崩壊しPS進出を逃す。やるせませんね…。


今回は以上です。
最後までありがとうございました。

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