A.Kico

日記

A.Kico

日記

最近の記事

マーヴェリックはクィア・ヒーローか? トップガンとホモソーシャルの向こう側

2022年公開映画『トップガン マーヴェリック』の主人公、ピート”マーヴェリック”ミッチェル大佐は「妻も子供もいない」男だ。亡き相棒の息子・ルースターによると、「死んでも誰も悲しまない」境遇にある。 1986年公開の前作『トップガン』で私たちが出会ったマーヴェリックは、積極的に女性を口説く若者だった。親族はおらず、軍の相棒グースが擬似家族だが、そのうち女性と結ばれて自分の「家庭」を作りそうな感じがあった。 だが『トップガン』を語る上で欠かせないのが、クィアリーディングだ。

    • エルヴィス、バズ。ポップを生きる

      バズ・ラーマンは事実ではなく真実を語る。 ラーマン監督が好きそうなことはたくさんあるので、何がどうでもいいのかを数える方が楽かもしれない。たとえば「妥当性」「現実み」「批評的価値」、商業主義と呼ばれるか、"Instant Classic"認定されるか、"Serious"と評されるか否か、とかは本当にどうでもいいんだと思う。 つまるところ監督は、時代考証とか、歴史的正確さとか、そういった事実は、「真実」のためなら積極的に犠牲にすべき。と考えている作家のように見える。 たと

      • 心の病とスーパーパワー、信頼できない語り手 〜 元祖ムーンナイト『レギオン』の覚え書き

        ※『ムーンナイト』をきっかけに2017年マーベル製作のFXドラマ『レギオン』を見返したので、2019年に書いた感想をサルベージしました。 『スプリット』『ミスター・ガラス』のネタばれあり。 高校生のとき、時々、たまり場のガストに「いかれたおばさん」がやってきた。 おばさんはメモ書きや書類が挟まれて膨れ上がったノートを抱え、ある女性を探しているのだが、ここにいないかと店員に聞いてまわる。 欲しい答えが得られないと、おばさんは二人掛けのテーブル席に座る。そしてパンパンに膨らんだ

        • マーベルのエモいブルネット男〜Subversiveなアンチヒーローたちについて

          エターナルズ公開時、Tumblrが夢中になったのは他でもないドルイグだった。 ここまでファンダムが盛り上がってるのを見るのはラグナロク以来かもしれない。 演じるバリー・コーガンのInstagramフォロワーは爆増し、TwitterもTikTokから転載された(おそらく若いファンが作った)Fancamで溢れた。 最初はバリー・コーガンのようなアクの強い?俳優がアイドル的人気を博しているのは意外だった。 でもだんだん当然の帰結なように思えてきた。 確かにバリコはクリス勢のような

        マーヴェリックはクィア・ヒーローか? トップガンとホモソーシャルの向こう側

        • エルヴィス、バズ。ポップを生きる

        • 心の病とスーパーパワー、信頼できない語り手 〜 元祖ムーンナイト『レギオン』の覚え書き

        • マーベルのエモいブルネット男〜Subversiveなアンチヒーローたちについて

          リン=マニュエル・ミランダ "In the Heights"ざっくり訳〜映画版トレーラー公開記念

          ミュージカル『ハミルトン』の製作&主演、ディズニー『モアナと伝説の海』のサントラ仕事でお馴染みのリン=マニュエル・ミランダ。出世作となったミュージカル『イン・ザ・ハイツ』がついに映画化!2008年から話は出てましたが、ついに今週トレーラーが出ました。 舞台はヒスパニック系移民が多く住む、マンハッタン島北西部の街「ワシントン・ハイツ」。親から受け継いだボデガ(NYによくあるコンビニ的な雑貨屋)を営むウスナビを中心に、三日間の出来事を描いた群像劇。 面白そうなトレーラーにわく

          リン=マニュエル・ミランダ "In the Heights"ざっくり訳〜映画版トレーラー公開記念