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プロスポーツクラブの役割

最初の投稿として、まずは、プロスポーツチームの役割について整理しておきたいと思います。
競技に係わらず、プロスポーツチームがホームタウンとなる地域にどのような貢献をしているかについて、以下にまとめておきたいと思います。

地域のプロスポーツチームの役割は、いろいろとあると思いますが、大きく分けると、以下の4つにまとめられると思います。

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プロスポーツチームが地域にもたらす経済効果

プロスポーツチームが地域にあることで、スタジアムおよび周辺地域に人が集まり、消費が拡大し、それが新たな投資や雇用を生むという経済効果が期待されています。
“経済効果”をさらに細分化してみると、具体的には、

1.主に試合開催時に発生する消費活動に伴う経済効果
2.チームがあることで新たに生まれる雇用効果
3.プロスポーツ関連での税収効果
4.スタジアムやアリーナ等の改修による経済効果

の4つがあります。
これまでも様々な競技で、様々な調査が行われてきましたし、オリンピックや、サッカーワールドカップ、ラグビーワールドカップのような大規模の国際イベントですと、数千億円といった巨額の経済効果があると言われています。一方、地域を拠点に活動しているプロスポーツクラブですと、その経済効果は、数十億円程度と言われています。
現在のプロバスケットボールクラブの場合、その経済効果は、約20億円程度と言われています。今後、更にBリーグが盛り上がっていくようになると、その経済効果は高まることが予想され、経済的に地域に恩恵をもたらす存在になっていくことが期待されています。

プロスポーツクラブがあると街の人口は増えるのか?

私が調べたところでは、日本国内のデータでは、様々な地方創生を実証する調査が行われてはいるものの、地域人口の動態においてプロスポーツチームがどれだけ影響を及ぼしているのかは明らかになっていませんでした。すなわちプロスポーツクラブにおける地域への定住への影響について着目した調査は非常に乏しいと言えます。

そこで、海外の例をみると、ドイツ  デュッセルドルフ市では, 2012年時点での調査なので、やや古い話にはなってしまいますが、当時 約60万人(現在は61万人)の人口が、その時代に州全体人口が増えていないなかで, デュッセルドルフ市だけは人口増加傾向にあったと言われています。

理由として、デュッセルドルフ市には、フォルトゥナ・デュッセルドルフというサッカークラブが存在してますが、市のスポーツ振興策として、以下のような4つの分野・段階に分けてスポーツ振興政策が展開されていたようです。

1つめは、プロスポーツクラブへの資金援助
市がサッカークラブに活動資金を援助していたそうです。

2つめは、スポーツ環境への補助金。
サッカースタジアムを整備したりするお金を市が負担していたそうです。

3つめは、市民がスポーツができる環境をつくる
市民が自由につかえるスポーツ施設をつくっていったそうです。

4つめは、スポーツで活躍するタレントを育成するための育成支援
優秀な子どもたちには、市も育成に積極的に支援していたそうです。地元からプロサッカー選手を輩出する支援です。

といった4分野・段階の支援を行い、街の人口を増やす政策を実行してそうです。簡単に言えば、「みるスポーツ」だけではなく、「するスポーツ」も同時に整備していくことが人口増加への重要な要素だったようです。
私は、「みる」と「する」は両輪な関係だと思っていて、一方だけでは人口増加と言った効果を発揮することは難しいと思っています。デュッセルドルフ市にプロサッカーチームがあったことで、このようなモデルがわかりやすく実現できたとも言えますので、これを参考にすることで、プロスポーツチームの存在が人口増加にも貢献できると言っても良いかもと思います。

人材育成

競技人材の育成は、どのプロスポーツチームでも行っていますので、わかりやすいと思いますが、実は、プロスポーツチームでは、ビジネス人材の育成も行われています。

と言いますのも、一例ではありますが、近年では、単なる広告協賛でお金を出してくださるスポンサー様も少なくなり、必ずと言って良いほど、マーケティング投資効果を求められます。(当たり前ですね。)
そこで例えば、フロントスタッフの企業担当営業は、より深いマーケティング知識やマーケティング効果測定のスキルを求められるようになりました。更にコロナ禍により、オンライン営業が普及したことも重なり、これまでは地元企業との接点だけだったのに、今では首都圏や他府県の企業様ともコンタクトがとれるようになり、また、ご契約もいただけるようになりました。こうしたことで、地方クラブの営業も、首都圏の企業様からの要望にも応えていけるだけのマーケティング知識が必要になり、結果として、スポーツチームで働く人材レベルが高まってきているという実態があります。

我がチームでも、今シーズンに入り、首都圏の企業様からの新規のご契約も増えてきています。これから益々、増やしたいといとも思っています。つまり、首都圏の情報がダイレクトに入ってくる環境がプロスポーツチームにはあるので、特にデジタル戦略、マーケティングスキルといった分野などでは、人材育成は活発化してきています。

街の活性化

昭和の高度成長期から時代が移り変わり、企業立地や公共事業が一時の勢いを失っている現在、文化・芸術分野への投資が、地域経済の新たな牽引車となると言われています。
当社が運営する新潟アルビレックスBBが本拠地とする長岡市でも、「バスケットボールを通じた街つくり」という標語のもと、市をあげてプロバスケットボールチームを支援してくれています。

プロスポーツチームによる経済効果や人材育成などの視点は前述のとおりですが、プロスポーツチームを持っているという住民の誇りや、QOLの向上や、一般的な娯楽の提供といった点でも、街の活性化への効果はあると考えています。

具体的には地域が一体になって応援できるという楽しみができ、地域の一体感が増す、また地域に人の動きができてにぎわいが取り戻せるという効果が挙げられます。
Bリーグは、野球やサッカーに比べると、まだまだその規模も小さく、影響範囲も小さいが、今後、第3のプロスポーツとして、街の活性化に貢献していくとこは間違いないと思われますが、その理由は、野球、サッカーに比べてファンの年齢層が比較的若く、これからへの期待が大きいからです。若年層のアクティブな人たちが、プロバスケットボールに興味をもってもらうことで、これまで以上の街の活性化が期待できるという意味です。

別の観点では、新潟アルビレックスBBの話になってしまい、かなり局所的なことにはなりますが、新潟は、歴史的にバスケットボール王国なので、バスケットボール人気の高まりにあわせて、街の一体感も高まっていくことも予想されています。

話を少し変えて言えば、これまではテレビが発信する情報の影響がとても大きく、キー局と言われる首都圏の情報が全国に与える影響は、とても、とても大きかった時代でした。昭和に遡れば、全国的に野球=巨人だった時代です。(大阪だけは阪神でしたね。)
今でもテレビの影響は大きいものの、以前ほどではなく、つまり、地域の情報を地域で消費する、【情報の地産地消】という現象も生まれてきていると私は感じています。
つまり、地域の人々にとって、魅力的なその地域の情報が価値を生む時代になってきたということです。そこで、地域を中心に活動するプロスポーツチームの情報が、街の活性化に貢献することは、時代の必然でもあり、いかに地元にとって魅力的な情報発信ができるか?が今後の地域のプロスポーツチームの活動の根幹になってくるとも思っています。

まとめ

最後は、まとまりのない話になってすみません。
プロスポーツチームの地域における役割をみてきましたが、一言で言うならば、行政との連携が非常に重要であることは明確です。
地域に根ざしたプロスポーツチームの経営状態という話をすれば、すべての競技を見渡しても、完全にうまく行っているチームはなく、1.オーナースポンサーに支えられているビッグクラブか、2青色吐息の厳しいクラブ に2分されていると言っても過言ではありません。

しかしながら、そのどちらのケースも、今後は、地元行政とも深く連携して、街つくりを進めていくことが、とっても大切ですし、プロスポーツチーム生き残る道だと思います。
私は、経営的に厳しくても、人口が少ない場合でも、それでも、いかに地域に根ざしていけるか?この点を考えていくことが、最終的にはプロスポーツチームの持続的成長への道であり、地域貢献であると考えていますが、皆様はどのように思われますか?


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