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第6章 ツレの話。

前回の章では、僕たち「旅部」がキューバに到着した話を綴らせてもらった。
今回からキューバ編に突入する。

キューバに到着したのは、夜の12時くらいだった。窓の向こう側に見えるキューバは勿論真っ暗で、空港内も日本のように設備が整っておらず薄暗かった。

キューバについての最初の予定は、「空港で換金→雄として勝てそうなタクシードライバーを探し(表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬を参照して頂きたい)→ホテルに向かう」だった。換金するために、空港の案内所のような所で換金所の場所を尋ねた。すると彼らは、「どこの通貨を換金したいの?」と聞いてきた。僕らは、あらかじめ日本で日本円をユーロに換金していたので「ユーロを換金したい」と伝えると「この時間は換金所が混むから街に出てから換金したほうがいい、ツレのタクシーならユーロが使えるから先ずはツレのタクシーでホテルに行きな」的なことを言ってきた。これがキューバ特有のアミーゴ文化だ。
「何か困っているのかい?」
「なら俺のツレを紹介してやる」
このアミーゴ文化は、良くも悪くもキューバで過ごした約一週間毎日体験した。
長旅に疲れていたこともあり、僕たちはアミーゴ文化に身を任せ、雄として到底勝てそうにないガタイの良い兄ちゃんのタクシーに乗りホテルに向かった。心配はよそに30分ほどで目的地に着いた。料金の詳細は忘れたが、相手がユーロのお釣りの持ち合わせがなく、キューバ紙幣でお釣りを渡してきたが結果的に僕たちは、日本円で1000円ほどぼったくられた。この後もキューバでは、何回かぼったくりを経験するが全てキレる程ではない、日本では普通だけどキューバでは高いモヤモヤする金額だった。

ホテルにチェックインし部屋に向かう。ロビーは、オシャレだが少しさびれている、味のある感じだった。部屋も想像より綺麗で泊まるには、全く問題のない部屋だった。
日本を出て丸一日ようやく横になって休むことができる。キューバに来た興奮よりも安堵のほうが強くキューバ初日は、すぐに眠りについた。

次の日、ようやく僕らは、キューバを目の当たりにする。高層ビルがないから数キロ先まで見渡せる。明らかに日本とは違う景色、やっとキューバに来た実感が湧いた。

先ず、換金するためにロビーでホテルのスタッフらしき「おじさん」に換金所を尋ねた。すると、ここでもキューバ名物「アミーゴ文化」だ。「換金したいのか?」「ツレが換金できるからここで待ってろ」おじさんの指示に従いロビー待機していると、さっきのおじさんが別の胡散臭いおじさんを連れてきた。彼に近くの部屋に招き入れられると彼は、いくつもの札束が入った袋を手に取り、僕らのユーロと換金してくれた。昨夜のこともあり、換金後すぐに、大体のレートでぼったくられていないか計算したが、全くぼったくられていなかった。僕は、胡散臭いおじんさんに心の中で疑ったことを謝罪した。
食事を取るために、胡散臭いおじさんを紹介してくれたおじさんに、この辺でレストランはないかと聞くと、「タクシーを使わないとない」そして例のごとくアミーゴ文化により「俺のツレのタクシー呼ぶからレストラン連れて行ってもらえ」と言われ、断る理由もなく、彼のツレにレストランに連れて行ってもらった。到着した場所は、いかにもキューバっぽい店だった。そこでは、主食に見た目と味は赤飯、食感はチャーハンのようなご飯とおかずにさっぱりとした味付けのチキンを頂いた。会計時には、店員のお姉さんが「hey Amigo」と言いながら僕たちに一本ずつ葉巻をプレゼントしてくれた。

ホテルに戻り、バラデロに向かうためチェックアウトをした。ホテルからバラデロまではタクシーで2時間ほどかかるが、その辺で拾えば大丈夫だろうと考えていたが、またしてもおじさんが「ツレの長距離用のタクシー呼んでやるから待ってろ」と言ってくれた。15分ほどロビーで待機するとスキンヘッドのいかついツレがやってきた。おじさんがツレに話をつけてくれバラデロまでの料金も相場の金額だった。

僕たちによくしてくれた、おじさんとの別れ。僕は、おじさんに「Gracias!」と感謝を伝えると、おじさんは「See you Amigo!」と見送ってくれた。

キューバ人は、なにかと「Amigo」という言葉を使ってくる。
実際に人と人との繋がりはすごく感じられた。
だからレストランのお姉さんも、おじさんもキューバにいる僕のツレと言わせてもらう。

多分つづく

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