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言霊は、こわい



いつか、
こんな日がくるんじゃないかと思ってたけど
思いの外早く、その日はやってきた。



共通の知り合いの女の子が
彼のことを気になっているらしい。

…まじか。



これから
近くで、彼とあーなったこーなったと
聞くのか。


彼女のことは好き。

でも、それはきつい。



自由恋愛を明言する彼だから
他に女の子がいるのは、いい。

でも、目の当たりにはしたくなかった。



きっと、比べてしまう。

彼女は、
物理的にわたしより彼の近くにいるから
わたしよりもたくさん逢えるんだろうな、とか。

わたしよりたくさん
時間もお金も使ってもらってたら、きついなとか。

わたしより、彼女のほうが
ベッドの上で愛されてたらどうしようとか。

相性とかテクニックとか
比べられたら嫌だな、とか。



そもそも。

わたしは、
彼にとって何者でもないんだから
わたしより使い勝手のいい女の子が現れたら
わたしのことはいらなくなるんだろうな、とか。



なにより
彼と過ごす時間に彼女がちらついて
彼と楽しい時間が過ごせなくなったら
嫌だな、とか。



彼女にも、彼にも
何も言う権利がないから
ちょっとずつちょっとずつ
自分のまわりの空気が薄くなっていくのを
感じる。




ここに書いてしまいたいけど
こわくて言葉にできないことがある。


言葉にして、外界に放ってしまったら、
そう、なってしまうのを
わたしはよく知っている。


言霊はこわい。



灯寧

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