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担当作が朗読劇になった話

去る2020年2月8,9日、担当している漫画作品「さよならローズガーデン」の朗読劇公演が上演されました。
本稿は、朗読劇を含め本作品に関する、制作裏話的な?感想的な?個人的な備忘録として執筆したものです。

・朗読劇化の発表は8月9日。第2巻の発売日に公開。第1巻発売はメディアサイトで取り上げてくれても、第2巻以降は取り上げてもらえないことの方が断然多いです。なので「朗読劇化決定→第2巻発売しました」という風に取り上げてもらえてラッキー。
・この時点で、すでに日程を発表してますが、3巻の発売日前後の日程に出来たのは、他でもなくfragment edgeさんのおかげ。原作を推したいという意図のもと動いてくれたからです。本当にありがとうございます。
・漫画の発売日は、レーベルごとに月のどの日か決まっていて、収録話数を換算すれば刊行月が決まり、おおよその刊行時期が出ます。そこに合わせていただいたわけです。
・もちろん漫画の方も刊行日がズレたら元も子もないので、作者の毒田ペパ子さんもお話づくりやスケジュール面でものすごーーーーく頑張ってくれました。

・そもそも朗読劇になった経緯を。
・「百合文壇バー」という百合作品をアカデミックに、かつ好きを丸出しにして語り合う会合がありまして、ご縁があって1巻発売の直後(1/14くらい?)に「さよならローズガーデン」を特集していただいたのが、大元のきっかけ。

・そこにfragment edgeの淡乃さん(劇団代表かつ朗読の脚本・演出担当)もいらっしゃってて知り合ったわけです。(音楽担当の北島さんもいらっしゃってました)
・たまたま淡乃さんが演出した「Stray Sheep Paradise」という作品を観劇しており、オワーーーとなったわけです。
・あとでよくよく考えたら「百合ナイトvol.0」も行ってましたわ。
・余談ですけど「百合ナイトvol.1」外れたんですよね。実は最近知ったんですけど、その回って奥野香耶さん出てたんですね…そら当たらんわ……。
・それからしばらく経って「2巻の帯どうすっぺ…」とウンウン唸ってた頃、「作品の内容がわかる」「編集者以外の」「百合に理解のある人」と気晴らしに飲むしかない!と、淡乃さんと飲みに行くことに。
・そこで朗読劇の話があがり、紆余曲折あって実現に至ったわけです。

・キャストさんに関する要望は原作側からも出しました。
というか、声のイメージを共有するといった方が正しいかもですね。
・小泉さんも奥野さんも、ペパ子さんの頭の中の華子とアリスのイメージにぴったりだったそうですよ。
・お二人の演じている姿を拝見するまでは、私はその感覚が半分わかるけど半分わからんという状態でした。どうしてもこれまで演じられた役の先入観が大きかったみたいです。
・でも、実際に演じてる姿を見たら「華子とアリスじゃん…”””実在性”””……感情はここにある………」って思いました。
・……軽いノリで終わらすのはあれなので、ちゃんと書きます。

・小泉さんのパーンと真っ直ぐに届くような声がまさに華子で、だから頑ななアリスの心にも彼女の言葉は届くんだろうな~と思いました。ご本人も素直なお人柄だからなのか(ほんの少ししか接してないのに知ったような口でおこがましいですが)、アリスのやばい一面を見てちゃんと狼狽えるし、でも気持ちに芯が入れば自分の意見をガツンと言えちゃう、華子のある種の異常な素直さがすごく感じられました。
・奥野さんのアリスは、感情の起伏が皮一枚下のところで蠢いているというか、隠してるのに隠しきれないゾワゾワしたものを持っている印象を受けました。感情の発露具合が暴力的すぎないというか、悲痛さみたいなのがあって、「アリス……(絶句)」ってなりました……。
・総じて言うなれば、「みんなは言葉に発されない感情が実在することを目撃したことある???私はこの朗読劇で見た」っていう感じです(どんな感じだ)
・ゲネプロ前の最終稽古のときだったかな?とあるシーンについて、淡乃さんと北島さんが、小泉さんと奥野さんに自身のキャラは今どういう気持ちをもっていると考えているかを聞いてたんですけど、その答えが「解釈一致……」となりましたし、演出側のアドバイスも「それも解釈一致……」という感じでした。
・あと、その様子を見てネームのやりとりと少し似ているなと思いました。

・ところでみなさん衣装見ました!?キービジュアルと一緒なんですよ~~~衣装製作についてのこだわりはこちらの記事をご覧ください!↓

・あと髪型が完璧なんですよ~~~~~~~華子の髪型はマガレイトという当時日本で流行していた髪型だって、ペパ子さんが言ってました。ちゃんとそれを再現してくださっていて…。
・アリスの髪型、1日目はまとめていて、2日目はおろしていたんです。
髪型を変えるのは奥野さんのアイデアだそうで!その理由も2/11にあった百合文壇バーで淡乃さんが言ってた気がするんですけど、酔っ払ってて全然覚えてません。すみません…。

・音楽が付くと、感情が多面的になるんだな…。北島さんご本人にもお伝えしたのですが、特に華子がアリスへの恋心に気付くシーンの曲がとても好きです。華子にとっては黒い感情が占め、しかもアリスの真意がわからないという不安な状態、華子とアリスの心情を覗き見てる私たちにとっては新展開きた~~~って状態で、なんだかそのギャップが滑稽なんですよね。悲劇と喜劇は紙一重というか。
・照明でこんなにも空気が変わるんだってびっくりしました…。脚本は事前に読んでいましたし、稽古も見学させてもらってたので、特に照明が驚いたかも。光は時間も空間も作れるんだな~…。
・そういえば、お二人が持ってる台本もブックカバーと同じ「Goodbye my Rosegarden」なんですよね。ブックカバー持ってる人やりましたね。おおよそお揃いですよ。

・演劇って感情の存在が炙り出されるメディアだと思っていて、これから百合原作ものの舞台増えてほしいですね~~~。マンガ業界の中の人的な意味でも、百合を愛する者としても。もちろんオリジナルでの百合舞台も期待大です。百合の未来は明るい。
・とにもかくにも、短い期間の中でキャストさんもスタッフさんも原作を掘り下げる作業を熱心に取り組んでいただいて、胸がいっぱいです。
・原作を好きな人が演者さんやスタッフさんたちを好きになってくれたら嬉しいし、その逆もまた然りだな~~~。

・私事ですが、「さよならローズガーデン」は漫画編集になって初めて一から立ち上げた作品です。2年前の2月、企画は通ったものの1話ネームをゴリゴリ直してもらってました。右も左もわからない中、ペパ子さんには本当にお世話になりました(もー色々と本人に伝えたのでここでは割愛)。
・熱く応援してくれる読者の存在がなければ、担当作が朗読劇になるなんてなかったでしょうし、そういう読者を生む「作品の力」というものをより強く信じられるようになりました。初立ち上げ作品でその経験を出来たのが何よりの財産です。
・同時に百合の土壌の強さも感じました。百合だったから出来たことだとも思います。百合つええよ。
・現在、百合ジャンルに該当する作品は担当していませんが、早く立ち上げたいな~。百合があると生き生きするので。
・「女と女の間に感情」があれば、そこに「自分が信じる百合」的なものはどんな作品にも発掘できると思うので、他の担当作品もぜひ楽しんでください。(宣伝)
・そしてもちろん、完結はしてしまいましたが、引き続き「さよならローズガーデン」をご愛読・応援していただけますと大変嬉しいです。

ではでは。


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