ドイツのクラインガルテンとは。
我が家は自宅に庭の敷地内に菜園と養蜂エリア、
そして家のすぐ隣に「クラインガルテン」と呼ばれる小屋付きの
レンタルガーデンの敷地があって、そこでも野菜作りをしています。
今回はドイツではお馴染みの、このクラインガルテンについて
書いてみようと思います。
KLEIN GARTEN
ドイツ語で「小さい庭」
クラインガルテンとは、都市部に住む人や自宅に庭が無い人などが自然を求めて郊外に借りる小さな庭のことです。
大抵の施設は、上の写真のように敷地内に小さな小屋付きの庭が所狭しと
肩を並べ、集落を成しています。
このガーデンの始まりは遡る事19世紀。
ドイツでは産業革命で都市部は大いに発展したものの、同時に環境破壊や
労働者の健康状態の悪化も大きな問題になっていました。
そこでドイツ東部の街ライプチヒの教育改革者で医師でもある
モーリッツ・シュレーバー氏が、労働者の健康回復、
都市部の緑地回復などを目的として集団型の市民農園を考案
しました。
その名にちなんでシュレーバーガルテンと呼ばれることもあるこの庭は、人々が生活に庭を取り入れ農作物を作ることで、食料不足の際には自給自足の場としても大いに利用され、貧しい人の救済にも役立ちました。
こうしたアイデアが社会運動になってドイツ全土に広がってゆき、
シュレーバーガーデンは20世紀の初めに「賃貸型の市民農園」として
整備されるようになり、ヨーロッパの様々な国でもこのシステムが確立され、急速に広がってゆきました。
発祥国であるドイツの庭数は群を抜いて断トツで、特に大都市でも郊外に少し足を延ばせば、このクラインガルテンの集落が必ずと言って良い程あり
ドイツでは余暇における文化としても、しっかり根付いています。
現代におけるクラインガルテンの用途は様々ですが、
「庭を愛でて楽しむ文化」
というのがモットーにあるので、外観を美しく保つこと、基本的には庭で植物や野菜を育て、しっかり手入れができる人のみに貸し与えられます。
最近ではクラインガルテンのコンテストなるものもあり、参加する施設の管理サイドは見回りに来る審査員のお目に叶うよう、毎日乱れが無いか目を光らせています。
庭の所有者が施設内でのルールが守れない場合、例えば芝をきれいに刈りそろえなかったり、垣根の高さが規定以上伸びている場合などは隣人にとがめられたり、管理局から警告を受けることもしばしばで、それでも改善されない場合は追放されます。
ドイツのクラインガルテンのしきたり云々は有名で、秩序を保ってるからこそこの文化が脈々と続いているのは事実ですが、のんびり自由に庭ライフを楽しみたい人々の中には、このシステムを毛嫌いするも人も多く、特に施設の後を継いでいかなきゃいけない若者があまり寄り付かないという問題もあるようです。
私も個人的には、きっちり区画整理がされて、他人の監視の目によって整然としているクラインガルテンは、見本みたいに綺麗で鑑賞する分には楽しめるけど、会員になろうとは思いません。
しかしルールさえ守る気があるなら、たとえ大都市の集合住宅に住んでいても庭を手に入れることができ、優雅で素敵な余暇の時間も手に入るということです。
庭の使用料については場所によりけりですが、東西で物価差があるドイツ国内でも高くて年間300ユーロぐらい?
私が住んでるような旧東の田舎町には、年間100ユーロもいかない
所もあります。
これに会員費やら保険やら色々追加されて、支払いはだいたい月に
50ユーロ以内に収まるのが一般的なようです。
都市部に小さなガーデンを所有することも、ささやかな幸せになると思いますが私がおススメしたいのは、郊外のもっとはずれの、なんなら他県にある田舎のガーデンを借りる事です。
田舎のガーデンは借りられる区画も元々広く値段も安いので、何区画かまとめて借りて、別荘として所有する人もいます。
週に一度、週末に一時間ぐらい足を延ばしたところに自分のパラダイスがある暮らしもなかなか素敵です。
規則も都市部と比べて穏やかなところが多いので、のんびりとガーデンライフを楽しむことができると思います。