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連載 #夢で見た中二物語 15

今回の夢物語、かなり長めです σ(^_^;

☆☆☆☆☆

子供の頃の純真さなどとっくの昔に忘れ、暗闇の世界でハードボイルドな探偵として生きてきた。

ある日、大きな組織が暗躍しているという情報が入り、現場らしき大きな客船に乗り込む主人公の青年ともう一人の仲間。

ターゲットである悪者達の取引現場を見つけるが、その途中で敵に見つかり捕まってしまう。

殴りつけられて海に投げ込まれ、意識を失う。



この世界は密かに複数の層に分かれており、人間界の下には妖怪の世界があると誰かに聞いた事がある。

気絶していた青年は知らぬ間に妖怪世界の港のような所にいて、目を覚まして周囲を見回す。

細い三日月の出ている夜空の中を歩いていると、もう一人の仲間の青年が気絶したままいるのを謎の生き物が暗闇の中に引きずり込んでいくのを目撃してしまう。

想像外の事にとっさに恐怖を感じた青年は、思わずその場を逃げ出してしまう。



長く走ってきた青年は疲れて立ち止まり、レンガ越しに息を整える。

とっさのこととはいえ仲間を助けずに逃げ出してきた自分を責めながら顔を上げてみると、いつの間にか空に日が上っていた。

それと同時にレンガの壁とは反対側にあった店らしき建物の窓の映り込みにより、青年はなぜか自らが少年の姿になっていることに気付く。

自分の姿のことや先程の謎の生き物たちの事を含め、まだこの世界の状況が分からないので用心して歩いていると路地から大通りに出た。

ちょうどその時、とある仲良し女性三人組と出会う。

三人は青年がどことなく他の者達と様子が違うことを感じて、話を聞きたいと半ば強制的に近くの小さなカフェに誘う。

三人は青年の話を聞くと、この世界について教えてくれはじめた。

曰く、この世界が妖怪(ニュアンス的には精霊のようなものらしい)の世界であるという事。

自分達はそれぞれ、水・草・桜の妖怪だという事。

妖怪は成人する際、このまま妖怪の世界にとどまるか人間世界に転生するか選べるという事。

ただし人間界への転生を望む場合、それぞれ一人一人異なる試練を受けなければならない事。

その試験に落ちれば有無を言わせず下層世界に落とされてしまう事、妖怪世界の者達でさえ下層世界がどんな所なのか全く知らぬという事。

更に、下層に落とされる事に反抗しようものなら、例の闇の妖怪に堕とされてしまう事などを語った。

通常、人間界の者達は世界の層の事など知らないが、この妖怪世界では常識らしい。

その”層の認識”や”層から層への移り変わりの経過”など、各層の住人達の捉え方は、全てを知っている者から全くそんな事は知らない者(人間も含む)まで各層で様々らしい。

稀に青年のような存在が妖怪世界に来ることもあるらしいが、そのほとんどは訳の分からぬ間に闇の妖怪に食われてしまうのが常との事。



妖怪達にとって人間に転生する事は、命を懸けてまで挑戦したい憧憬であり羨望の中心であるらしい。

この世界ではほとんどの者達が試練を受け、合格する者失格になる者は半々くらいとの事。

そしてこの女性三人組ももうすぐ試練を受ける事になっているが、その試練の内容はその時まで知らされていないのだという。



場面が変わり、何故か三人の妖怪の試練に巻き込まれる(付き合わされる)事になった青年。

水の子と草の子それぞれの試練をなんとか終え、最後の桜の子の試練(内容は覚えてない)をようやく終えようとしていた時にある事件が起こる。

桜の子の親木になっている桜の木が、闇の妖怪達によって食い荒らされそうになっているという。

この世界では度々あることらしく、その妖怪の元になっているものがなくなったり壊されたり消滅させられたりすると妖怪自体も存在がなくなってしまうのだという。



早急に試練を済ませ、桜の木の元にたどり着いた青年達。

三人の女性達は元々戦闘向きの性質の妖怪ではなく、その上他の存在を食らって存在する闇の妖怪相手では手の出しようがないらしい。

試練を終えても、合格者が人間界に転生出来るのはその年が終わる瞬間。

それまでに桜の木が食われ、桜の子の存在が消えてしまうかもしれない。

どうする事も出来ずに桜の子が泣いているのをただ見ているしかなかった時、突然どこからともなく声が聞こえてくる。

二度と人間界に戻れなくなってしまうが、それでも構わないのなら妖怪の力を使えるようにしてやると。



ほんの少しの間しか共に過ごしていないが、彼女達の試練等に関わった青年は決意を固める。

いつしか心から楽しんだり人の為に本気で何かを考えたりすることがなくなっていた、その事に気付かせてくれたから。

・・・少年の頃に、毎日を本気で生きていたその瞬間を思い出させてくれたから・・・。

そして青年は黒い羽根を持つ烏の妖怪(何故か剣所持)の力を与えられ、闇の妖怪達を蹴散らし桜の木を守る。

三人の妖怪達とは永遠の別れになってしまうが、青年はこの妖怪世界で生きる事を覚悟する。

その年の末、青年は例の桜の木の根元に腰を下ろしていた。

そこへ三人の妖怪達が現れ、青年に感謝と別れの言葉を言う。

少し照れ気味になりながらも、青年は女性達に手を振って挨拶を返す。

そして三人が去った後、一人物思いに沈む青年。



そんな時、この国にある中央広場で転生の儀が行なわれる事を桜の子が言っていたのを思い出す。

その儀を見る為、青年は中央広場に向かう。

すでに儀式は始まっていて、青年はそれを遠目に見る。

するとその輪の中央にいた儀式の主催者兼巫女らしき者が青年に気付き、式が終わりかけた頃、皆の転生を待っている間に近付いて来る。

青年はどことなく、その女性を見たことがあるような気がしていた。



女性曰く、自分は人間界の巫女であり妖怪達の転生の時だけこの世界に降りてきて儀式を行なうのだという。

その話で、青年はあることを思い出す。

青年は子供の頃、一度だけ引っ越したことがある。

その引っ越しの以前に住んでいた場所に、小さな神社の一人娘である女の子の友達がいた。

その少女はだいぶ変わり者で、青年だけが唯一の友達だった。

この巫女は間違いなく、その時の少女だったのだ。

思わぬ所で再会し、青年は驚く。

しかし少女は驚くそぶりもなく、当然のような表情をする。

出逢うべくして、この場所で出逢ったのだろうと。



二人はまた一年後に会う約束をして、少女は転生する妖怪達と共に人間界へと戻っていく。

青年はその美しい光景を見守りつつ、一人密かに涙を流す。

☆☆☆☆☆

冗談みたいに長いですね、それ故に結構忘れている部分が多い ( º﹃º` )

でも、今まで見た夢の中でもかなり好きなお話です。

中高生の頃より現在のような夢を元にした物語(文と絵)を書き続け、仕事をしながら合間に活動をしております。 私の夢物語を読んでくださった貴方にとって、何かの良いキッカケになれましたら幸いです。