連載 #夢で見た中二物語 22
異国の地から世界一美しいと言われている水の都にやってきた、世界を股に掛けるシーフ(盗賊)の少女。
集団に属さない一匹狼で、見た目からは想像の出来ない素早さとナイフさばき、力強さと運の良さを持つ。
これまで様々な地で宝物を手に入れ、自分の出身地である貧しい地域の人々に夢と希望と救いを与えてきた。
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少女がこの町にやってきた理由はただ一つ、この地に眠るといわれている古の宝物を見つけ出す事。
今まで数多の挑戦者達がこぞって立ち向かいながらも果たされなかった財宝発掘に、少女は全く臆することなく、まずは情報を集めることにする。
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町の情報屋曰く、この町には遙か昔に作られた巨大な地下水路があり、誰が何の目的で作ったのかを知る者はいないそうだが、そこにはその水路の創設者以外誰も行ったことのない秘密の部屋があり、そこに例の宝物が隠されているのではないかとのこと。
今までその迷宮水路に立ち向かった者達は、誰一人として帰って来れた者はいないとのこと。
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情報屋から出てきた少女は、その近くにたむろしていた別のシーフ集団に絡まれるが、その内の一人があまりにもしつこいので、背負い投げで一本。
呆気にとられた集団を背にさっさと立ち去ろうとするが、別のシーフに水路へと突き落とされる。
その水路は海へと直接繋がるもので、何故かシャチの集団が住み着いていた。
即座に水路から這い上がろうとしたが、水路の流れが予想以上に早く手こずり溺れかける。
その合間にもシャチが寄ってきて恐ろしい気配を感じるが、意外にもシャチは溺れた少女を背に乗せ、そのまま別の場所へと連れ去っていった。
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少女がふと目を覚ますと、緑の木々に囲まれた見知らぬ場所。
どうやらそこは水の都の近くにある離れ小島らしく、確か情報屋が無人島と言っていた。
周りでシャチ達がキュイキュイ鳴き出したので何事かと振り返ると、無人島だと言われていたのに一人の美しい女性が立っていて少女は驚く。
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その女性は水の都を作り上げた者の子孫で、それに伴う地下水路も同じ人物が作り上げたとのこと。
そもそも水の都を作り上げたのは、例の”宝物”と呼ばれている、手にする者によって善き物にも悪き物にもなるといる宝玉を封印する為らしい。
その宝玉は水の力を統制する能力があり、有史以前には人々に命の恩恵を与えていた反面、様々な島や大陸を沈めたりしたこともあるという。
その宝玉の出自は「突然空から降ってきたもの」という曖昧なものである上に、この宝玉についての話のほとんどは共通の文字というものが出来る以前のものということもあり、封印されたものがいつしか”宝物”と勘違いされ噂されるようになったのだと言う。
ただし現在までその封印を突破した者はいないし、多分世界が終わるまで誰にも解けないであろう謎や罠や暗号など多くの仕掛けがあるそうなので、その点では安心だと言う。
その話を聞いて少女はガッカリするが、封印は厳重に施されているものの随分長い昔に成されたものなので実はだいぶ解けかけているとのこと。
一度その封印が解けてしまえば制御するものがなくなり、水の都はおろかこの世界のすべてを洗い流してしまうかもしれないという。
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ここまで聞いてしまっては無視するわけにはいかないと、元々真面目な性格の少女はなんとかする方法を考え始める。
そして、何はともあれ一度地下水路に向かってみようと思いつく。
それを聞いた女性は少女にあるお守りを持たせ、困った時にはこのお守りが助けてくれると言う。
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少女は水の都に戻り、女性に聞いていた(情報屋は教えてくれていなかったらしい)地下水路への入口に立つ。
視線の先は真っ暗だが、少女は躊躇いもせず一歩足を踏み出した
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といったところで夢が終わるわけなのですが、少女の方ではなく女性の方が地下水路に向かうべきだったのかも・・;
せめてついて行ってあげれば良いのに、と思わないでもないです;
そしてなんかこの話、どこかに似たようなものがありましたよね。
日本昔話の「海幸彦 山幸彦」とか、フランスの伝説の都市「イース」のお話とか。
以前にも夢で見た水の町のお話は書いたような気がしますが、自分はこういう中世ヨーロッパの水の都のような場所の夢をよく見ます。
そこではよく、スチームパンク風の自動車とかポンコツ飛行機に乗ったりしています (^_^;)
中高生の頃より現在のような夢を元にした物語(文と絵)を書き続け、仕事をしながら合間に活動をしております。 私の夢物語を読んでくださった貴方にとって、何かの良いキッカケになれましたら幸いです。