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連載 #夢で見た中二物語 26

都合により、本日は抽象画を一回飛ばして夢物語です。

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幼い頃、まだ虹を見た事が無くいつか二人で虹を見よう、と約束した少年と少女。

しかしそれからまもなく大きな争い事が起こり、長期にわたる戦乱が終息した後、避難していた地下から地上に出てきた人々が見た世界は、砂と塵と埃に覆われた荒れ果てた姿だった。

地上での生活を諦め地下で暮らす事にした多くの人々の一方、地上世界を諦めずに自然そのものの姿を追い求める者達がいた。

彼らの中には共に虹を見る事を約束していた二人もいて、それぞれに夢を抱きながら旅を続けていた。



しかし荒れ果てた世界は人々の身体を蝕み、寿命を縮めていく。

求めてきた美しい自然の残滓も見当たらず、空を見上げても虹はおろか青空も星空も見えない始末。



いつしか少女は自らの寿命を悟り、少年に別れも告げぬまま一人いずこへ去って行こうとする。

少年がそれに気付いて追いかけようとするが、少女は少しだけ振り返って言った。

「君にとってこの世は絶望的に暗く果てしない地獄だったかもしれないけど、私にとっては明るい未来に希望を抱きたい虹色の地獄だった」と。



少女が去った後、少年は少女の言葉の真の意味を考えながら旅を続ける。

いつか二人で夢見た、本物の虹を目指して。

中高生の頃より現在のような夢を元にした物語(文と絵)を書き続け、仕事をしながら合間に活動をしております。 私の夢物語を読んでくださった貴方にとって、何かの良いキッカケになれましたら幸いです。