ベッドの上で

病室で大きな声で電話をするお婆さん。
こちらは大腸カメラで大きなポリープをとってヘトヘトで休みたい…
ちょっとイラついてしまいました。
「来年は耳栓持ってこよう」
心の中で呟きました。

イヤフォンしてスマホでクラッシックを聞いて精神安定に努めました。

考えもしない事になったのはその日の夜。
微熱が出てしまったのです。

当直のドクターの指示で検査をするため、
ベッドごと、個室に移動。
結果が出るまで不安でしたが結果は陰性。
部屋に戻ったのは消灯後。

翌朝、同室の方とお話ができました。
「昨夜は騒々しくてすみませんでした」と謝ると「お互い様よ」と。
(そりゃそうよね)捻くれ者の私。
でも、お話を聞くうちに段々、切なくなってきました。

放射線治療のために市外から来てらしゃる事。
何回も病院が変わり辿り着いた病院だという事、
放射線治療の辛さは私にはわかりません。
でも不安なのは昨夜、不安と闘ったので
わかりました。

同室の人達がどんどん退院して、取り残された気分になって話し相手もなく(実際はもう一人いらしゃったが寝たきり状態)不安だったんだろうな、だから電話しちゃったんだろうな、本当はダメだけど。
多分、部屋から出てはいけないと言われていたんだろう。そんな風に思ったら自分の心の狭さに呆れました。
「退院しちゃうのね、寂しくなるわ」

元気な時は感じない寂しさ
治療の辛さ。治療の不安。
誰かと話して一瞬でも忘れたい。

そんな気持ちだったのかもしれない…
もう少しお話を聞いてあげたかった。
後ろ髪を引かれる思いで
病室を後にしました。

放射線治療がうまくいき
あのお婆さんが元気になりますように

今は祈るだけです。

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