あなたは私のことが好き？＊世界は2人のためにある

あなたは『私のこと好き？』と聞かれたら何と答えますか？
お相手に『私のこと好き？』と聞いたとき何と答えてほしいですか？

三羽　烏さんのお題いただきました。

この災害で、さまざまな形で、離れて頑張りあう2人が、
この苦労の先の、確かな喜びをつかみますよう願いを込めて。

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「ねえ、私のこと好き？」

「そんなの、好きに決まってるじゃないか」

「簡単すぎる。そんな言い方！」

その反論に、一瞬、受話器の向こうで
肩を落として、唾を飲み込んだような気がした。

どうしてあなたの声は、受話器を通しても、
私のどこか、深い奥の奥まで撫でるように届いてくるんだろう。

「聞こえてる？」

「聞こえてまーす」

さっきまでおどけてた同僚の笑い話を、
なかったかのように、
まるで葬り去るような真面目な声に変わった。

「・・・まぶたや睫毛を吸って、
キスの最後は、ゆっくり優しく、眼球を舐めるんだよ。

それであなたの身体を裏返して、足首を軽く噛む。

そしてふくらはぎに柔らかいキスをして、膝の裏をきつく吸う。

太ももを甘噛みしながら、キスマークをつける。

あなたのお尻にほお擦りしながら、右手で愛撫する。

お尻には、大きなキスマークをひとつだけ残して
腰へ唇を這わす。

脇腹を軽く噛んで背中から、左肩まで一気に滑らし、
やや強く、肩の筋を噛みながら右肩に移す。

それから、背中に縦横無尽に舌と唇を這わせ、
たくさんキスマークを残して・・・」

「残して？」

「はい、今晩はおしまい」

「ちぇっ、ケチね～」

「そんなことないよ。大サービスじゃないか！」

どうして、いつも中学生のようなお喋りになるんだろうと思う。

話したいことがたくさんあって、
いたずらや意地悪はお互いに仕掛けてきて、
最後は（どうしてひとつになれないんだろう）と、
神様に石をぶつけたくなる。

そんな時に「神様はいつもきまぐれなんだよ」と、
私の気持ちを読み取るように、ひとりごとみたいに言葉を投げかける。

「じゃあ、あなたの番だよ。私のこと好き？」

もう、最初の一言から、ニヤニヤ笑いしてるのが
受話器を通しても目に見えてくるようだ。

(負けられない）という変な闘志が湧いてくる。

「いいよ。私がどんな風に好きか、教えてあげる。

ねむーれーよいこーよーと歌ってあげる。

それから、ほっぺにちゅーして、
首にすりすりして、耳の後ろに鼻つっこみたい。

あと脇の下の匂いも嗅いで、乳首もつまんで、
お尻もなでて、手の指一本ずつしゃぶって、
そういえば喉仏の形も舌で確認したい。

それで両手で伸びかけた髭、なぞってみたい。

あと、私の右手で腕枕もする。

抱き寄せて背中のラインも思い出したい、全部」

数秒の沈黙が続いて、
（この勝負、私が勝ったかも）と思った。

「もう、今、思い出しているだろう？」

受話器の向こうから真面目な声が聞こえてきて、
それがなんだか悲しそうで、
それからいつも私だけが子供のような気がして、
ただ、会いたいと思った。

寝る前にメールを送信した。

こないだ読んだ本に書いてたよ。

「好きになるっていうのは
自分がその人を必要としてるってこと。

自分を愛してくれる人を
大切にすることが恋愛関係だ」って。

「その通りだ」って言わないでね。

「なるほど」とか「ほぅ」もなし。

もしそんな風に思うなら、
どうしてあなたが私を必要としてるのか、教えてほしいんだけど。

私はね、あなたが私の心の安定を作ってくれるから必要。

こんな答えじゃつまんない？

燃えるような答えは、もうちょっと考えないと思いつかないかも。

喜んだり、泣いてくれるような答えも考えて見る。

たくさん愛してるよ。


私を捨てないでね。



ちょっと泣けた？

朝、目が覚めたら、あなたから短いメールが届いていた。

おはよう。

どうしてこんなに好きなんだろう。

#私のこと好き ？