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A_005 ポートレートを始めたい人へ(その3 撮影編)

始めたい人へシリーズの第3弾は、いよいよ撮影です。
機材も揃った、練習もした、被写体さんも見つかった!さあ行こう!というわけです。しかし、ここでも壁が待っています。壁ドンならぬ、できる限り壁にぶつからないように始めてまもない頃に心掛けていたことを書いていきます。

もちろん、「俺は、私は大丈夫。」という方は、今回の記事もスキップしても後悔なんてしないんだからね。です。

1.ポートレートにおける被写体は「モノ」ではない

2.ファーストインプレッションを心掛ける

3.開始早々から高い期待はしない(撮れ高は望まない)

この3点についてお話しします。

私自身の今と昔のお話を少しだけ。私の仕事はセールススタッフに接客(コミュニケーション・知識・技術)を教えています。
過去に営業経験もあり、「接客」「コミュニケーション」に関してはプロフェッショナル。それでお金を稼いでいたわけです。
やはり、そこには「コツ」があり、ある程度の「法則」があります。そのセールススタッフには「天然物」と「養殖物」の2種類があり、天然物はもともと天性の才能があり、養殖物は経験を積み成長していくタイプです。前者は、何故自分が選ばれているかを肌感覚で理解しています。後者は、よくわからないまま進んで、気づきを得て成長していく感じです。天然物が何を見て、考えて、行動しているかを知り、それらを整理して体系化したものを「技術」と言います。今回はその技術を、特別にこれを読んでいるあなただけに教えます。そう、天然物よりも美味しい養殖物になれてしまうということです。

1.ポートレートにおける被写体は「モノ」ではない

はじめに意識して欲しいことは、どんな環境で繋がりを得たかは問わずに、相手が「人」であること。風景・自然なども生き物ですが、この「人」は感情があり、「個」の特徴を持っています。つまり、カメラを向ける被写体とフォトグラファーは対等な関係です。ここに、距離感や感情のやりとりが発生します。いわゆるコミュニケーションです。自分が良いと思ったことを、被写体は懐疑的に思うことがあります。「何考えているんだろう、このカメラマンは?」こうはなりたくないですよね。

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お互いが気持ちよく「撮影」「作品づくり」ができるように、違いを尊重することが大切と言えます。思い通りにならなくて当たり前なんです。だから、お互いに工夫しながら良いものを撮りたいと思っていくわけですね。

2.ファーストインプレッションを心掛ける

コミュニケーションを取る相手への第一印象は、出会って数秒で決まると言われています。「いや、まだ私はあなたと会話すらしていないんだけど?なんでそんなに距離取るのさ?」みたいなことないですか。それは、あなたの第一印象がよくないのです。もちろん、時間が経つにつれて改善はしますが、ほぼ第一印象が勝負です。接客を伴う仕事についている人は必ず聞きますよね、これ。まさにポートレート撮影についてもこれが言えます。

「メラビアンの法則」を知っておこう!
https://ja.wikipedia.org/wiki/メラビアンの法則

第一印象は、見た目で決まります。視覚情報55%という圧倒的な比率です。
容姿は人によってそれぞれありますが、清潔感は欠かせない要素です。撮影に出る前に、鏡を見ていますか?動きやすさだけを考えてませんか?街中で撮影するときは、被写体さんはもちろんですが、それを撮っているカメラマンもかなり目立ちます。身嗜みをしっかりして撮影には出ましょう。

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そして、相手に発する第一声も大切です。できる限り、気持ち良い挨拶をしましょう。声のトーンもいつもより1トーン高めの綺麗に聞こえる声で。怒ったり急いでたりといった感情が見えないように工夫しましょう。声に占める割合も大きいです。何を言ったかなんて覚えていませんから、見た目・声の印象を大切にします。これでやっとこさ、土俵に乗るわけです。

3.開始早々から高い期待はしない(撮れ高は望まない)

これはよく聞く話ではないでしょうか?多くのフォトグラファーさんが共通して言っている事です。理由は単純で、撮る側も撮られる側も距離感もわからない、何を撮りたいかも見えない、そもそも、あなた誰?からスタートなわけです。そこで撮った写真は、それはそれで味はあるともいますが、得体の知れない距離感があるはずです。

初めましての人とは、ひとしきり打ち解けてから撮影に入る

私が話を聞いたことがあるフォトグラファーさんは、カフェでどんな撮影をするかなどを伝えるため、30分ほど会話してから撮影に入るそうです。ほぼ全く情報のない相手と撮影を行うわけですから、どんな人間なのかも含めてコミュニケーションが必要という事ですね。私も、何度かそのパターンに挑戦しましたが、カフェ(スタバとかドトールとか)お洒落なことは苦手なので、会ってすぐ撮影!というパターンが多いんです(※撮影会になると、時間制限があるためカフェどころではありません)。
では、会ってすぐでもある程度距離感を埋める「テクニック」はないのか?
はい、あります。
しかし、あくまでコミュニケーションテクニックです。これをできたからと言って撮れ高は上がりません(撮る側の腕もあります)

①自己開示しよう

撮る側は被写体の魅力を引き出すために、相手のことをたくさん知りたいと思っているはずです。どんな人で、どんな表情が得意で、どんなことができて…。相手に対する要求が高いんですね。尋問官みたいになるという典型的な失敗です。なので、まずは自己紹介を撮る側から行いましょう。「My name is ○○」はもちろんそうですが、自分がどんな人間かをしっかりと伝えます。私の場合は、普通の会社員ですので、何関係の仕事をしているとか、どんな人とよく話すとかを伝えます。できる限り、相手に親近感を感じて欲しいので、郷里の話とかもします。あとは、自分の弱点・失敗したエピソードなども良いでしょう。

②相手から情報を引き出すときは、「等価交換」

相手の情報を知りたいときは、必ず自分から欲しい情報の話をします。例えば、今日の朝食は何だったか?と聞くとき。何も考えていなければ、「今日朝何食べたの?」となります。もちろん、相手は答えてくれますが、「この人いきなり朝ごはんの話?」となります。人によっては、「それ、必要ですか?」となることもあります。こう言ったコミュニケーションの失敗を最低限に抑えたいので、自分のテーブルに相手を乗せる努力をします。では、その方法です。
こうやって聞きます。「今日の朝食、食パンとヨーグルト食べたんだけど、何食べた?」違いわかりますか?自分の情報を提供して、相手の情報を引き出すのです。

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この後の会話をシミュレーションしてみましょう。


「今日の朝食、食パンとヨーグルト食べたんだけど、何食べた?」
「えーっと、何も食べてないんです」
「え?そうなの?朝食は食べない派?」
「そうですね、食べないことが多いんです」
「そうか、急いでるときは食べないことあるけど、普段から食べないんだね」
「はい、だから体が慣れてしまってるんですよー」
「?私なんか毎朝食べてても、昼食前にもうすでに力不足になるし。すごいね!」
「○○さんも、朝食抜いた生活したら多分慣れますよ(笑)」

と言った感じです。朝食だけで盛り上がります。そこから派生して、好きな食べ物の話や、朝のルーティンなどを歩きながら話ます。わかりやすいようにセリフの中に下線引いてます。これが自己開示パートです。自分の情報を相手に伝える量は、多ければ多いほど良いです。ここに書いているのは、あくまでわかりやすい例ですので悪しからず。

3.お互いに乗ってくるのは始めて1時間前後

距離感がわからないまま撮影していても、時間が解決してくれます。1時間ほどすればなんとなくコミュニケーションが取れだし、撮影の進行もスムーズになります。それまでの1時間がもったいないじゃないと思わずに、会話を心掛けながら撮影を進めましょう。衆人環境では、慣れてる被写体さんでも人目が気になるものです。そこは撮る側がリードしましょう。慣れている被写体さんに引っ張られることもあると思いますが、お互いがWin-Winを目指します。

コミュニケーションがポートレートでは大きな比重を占めるということは理解いただけたのではないでしょうか。

それでは、要点の整理です。

1.撮る側も撮られる側もお互いをリスペクトして臨む

2.撮る側の第一印象が大切。清潔感を持って臨む

3.自己開示が大切、相手のことを知って打ち解けるには、まずは自分から

と書いていますが、こういうのは実践しているところ見ていただくのが一番です。いずれか機会があれば、そう言った場も設けたいです。

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こうやって書いていますが、私も月に2組前後は、初めましての人です。それは当然ですよね、まだ6ヶ月程度のキャリアなんですから。撮影する被写体さんを固定していますが、それはいずれか「セルフブランディングの方法」と題して別の機会でお話ししましょう。 


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