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新しい家の物語

引っ越しから早1か月。

新しい家は最初、広く感じて空っぽだったけれど、少しずつDIYを重ねて、家具を揃え、色々組み立て取り付け、空間が自分らしく変わっていくのが楽しかった。

だが、一通りの作業を終えた後、ふと何かが足りないことに気がついた。

インテリアの完成度は悪くない、むしろ「自分の理想通り」と思える仕上がりだ。

それなのに、部屋全体にどこか寂しさが漂っている気がする。

壁にアートを

その「足りなさ」の正体は、どうやら壁の寂しさにあるようだ。

部屋の雰囲気は、家具や照明で大きく変わるが、やはり壁にアートがあると空間が一気に生き生きとする。

知り合いの画商に連絡するか…資産的にアートを持つのも悪くない。

そうして何枚か候補を見つけてはみたものの、どれも素敵なのだが、なぜか「これだ!」という決定打がない。

私の好きな絵や写真が、この部屋の雰囲気にマッチするかどうか。

それに、お金をかけるからには、一過性のブームで終わらせたくない。

どうせ飾るなら、長く愛せるものがいい。

だから、慎重にならざるを得なかった。

友人の写真展

そんな時、少し離れた土地に住む友人から連絡が来た。

その友人は写真を撮るのが趣味で、何年も前からカメラを片手に各地を回り、作品を作り続けている。

彼女は近々、写真展に参加するらしい。

私はその展覧会には行けないけれど、「ぜひ写真を見に来てね」と言ってくれる彼女の声が、なんだか嬉しかった。

その時、ふと思いついた。

「そうだ、彼女の写真を部屋に飾ろう。」

私が心から素敵だと思えるアート作品で、しかもその作品に撮影者という特別な背景がある。

部屋作りに、ただの「飾り」ではなく、意味のあるものを取り入れる。

それならば、きっと長く愛着を持てるだろうし、部屋自体にストーリーが生まれる。

アートで紡ぐ新しい日常

このアイディアが浮かんだ瞬間、なんだかワクワクしてきた。

インテリアを楽しむことはもちろん楽しいが、そこに誰かとの思い出やストーリーが重なることで、部屋がもっと自分のものになるような気がする。

友人が撮った写真を飾ることで、いつでも彼女とのつながりを感じられるし、その写真があることで、部屋に帰るたびにほっとするような気がする。

すぐに彼女に連絡をして、検討してもらうことに。

まだどんな作品が届くのかはわからないが、その過程すらも楽しみだ。

写真展に行けないことが残念に感じていたのに、こうして彼女の作品が我が家に届くと思うと、なんだか特別な気持ちになる。

ただの「壁」じゃない、私の部屋

DIYを通じて手を加えてきたこの空間に、友人の写真という「物語」を足すことで、部屋がただの部屋じゃなくなる。

壁に飾られるその写真は、私にとってただのアート作品ではなく、友人とのつながりを思い出す「窓」になる。

日々の忙しさの中で、ちょっと立ち止まってその写真を見ることで、彼女と共有した思い出や、その瞬間の景色に心が戻る。

部屋作りが終わったように見えて、実はまだ始まりに過ぎなかった。

友人とのつながりが、これからどんな風にこの部屋を彩っていくのか、そんな未来を想像しながら、私は次のDIYプランを考えている。

新しい家での生活は、こうして少しずつ、自分だけのストーリーに染まっていくのだろう。


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