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こういう振る舞いをできる人にならなきゃいけない。感動してるだけではダメだ


朝起きたら隣に夫がおらず、
私も寝ぼけて平日だと勘違いしていて、

「あぁ、夫は私を起こさずに仕事に行ってしまわれたのだな。今日もパソコン付けて仕事するの嫌だな」と思いながら、顔を洗った。



枕のシーツを洗おうと、寝室に再度向かうと、ベッドの下で何やらもぞもぞ動くのが見えた。
夫がベッドから降りてカーペットの上で寝ていたのだ。

なんで?

わざわざ、ベッドから抜け出して、
硬い地面の上で寝るなんて、修行やん。

ぱっと、寝ぼけから覚めて、
「あっ今日土曜日だった」と気付いて、
正義のミカタを観た。

仕事しなきゃいけないと思ってたので、得した気分。


*****


夕方から、井上ひさし脚本の舞台、「闇に咲く花」を観に行った。
朝ご飯しか食べてなかったから、お腹が空いていた。
何か食べようかなと思ったけど、微妙に時間がなくて、マックかサブウェイが近くにあったけど、新歌舞伎座に行くのに、思いっきりのファストフードを食べる気にはならなかった。


中に入って、新歌舞伎座名物、饅頭を食べた。
店員さんに、「こしあんとつぶあん、どちらがいいですか?」と聞かれた。

こしあんのつぶあんを選ぶなんて、
答えのない二択なのに、そんなすぐに決められない。
結局、こしあんとつぶあんのふたつ買った。
味は普通だったけど、少しお腹が満たされた。

そして、いつも思うけど、こしあんでもつぶあんでも、両方美味しいし、満足する。
すぐ忘れてしまうけど。やはり、新歌舞伎座には饅頭とか、和のものが似合う。



肝心の舞台は、凄すぎて脱力した。
戦後、日本の基盤が大幅に揺らぎ、是が非に、
非が是に簡単に変わった混沌とした世の中を、
優しくも鋭い眼差しで描写していた。

この当時の変革についての肌感覚を、
3年ほど前、私は、
大正生まれの祖母に聞いたことがある。

「戦争に負けて、今までの価値観が変わるというのは感覚で理解できた。戦争前後で、全く逆のことを言うてるのも分かったけど、そんな世の中やったし、みんなも私も、それに従っただけ」

全体的にふんわりしているけれど、要するに、世の中が変わったから、自分もその流れに従っただけだということだ。



私だって振り返ってみると、社会の当たり前にある程度迎合して生きている。
おかしい!と思っても、自発的に何か行動を起こしたことはないし、「こんなもんか」と諦めているところはある。

唯一、私が抵抗できた手段は、「選挙」だけど、
結局、世の中には選挙に行かない人もいるし、私の気持ち(意見というほど難しいものでなくて)社会に反映されないもんだなと絶望はしている。


話を舞台に戻すと、松下洸平さん演じる主人公は、戦争前後の「当たり前の変革」に対して、「No」を突きつけ、周りを巻き込んで問題提起を起こした人だった。

こういう振る舞いをできる人にならなきゃいけない。感動してるだけではダメだと思った。


一方、神社に集まる5人の女性たちは闇市で食材を調達して飢えをしのがないといけないくらい貧しいのに、みな元気で、生き生きと暮らしていた。
その描写があまりにも瑞々しくて、そんな彼女たちの営みを垣間見ていると、私もすっかりその町の住人になった気持ちになる。

私たちの生活は、彼ら彼女たちの地続きで、
分断することはできないんだなと感じた。
戦争は、全然私たちから遠い昔の話でもなくて、
いつだって、「今」のこの瞬間は「戦前」なんだという意識をもってるからこそ、何度も再演されている作品なのだろう。


戦後の話なのに、血生臭い描写も一切なく、誰もが理解しやすくて、楽しめる作品だから、また再演する時に観に行きたい。


野球の話でもあるよ


帰りは、懇意にしている居酒屋さんに行った。
和食がメインで、日本酒が豊富に揃っており、
刺身や天ぷら、〆の土鍋のご飯など、
本当になんでも美味しい。
刺身は、ちゃんと炭火で炙っていたり、
天ぷらも、からっふわっと、職人技で揚げている。東京で食べたら、たぶん値段も倍以上するんじゃないかな。
今年初のさんまと松茸もいただけて、満足だった。
ぜったいに潰れてほしくないから、通うのはもちろんなのだけど、別途見返りのないクラファンみたいな形で応援させてほしい。

良い感じのタクシー運転手さんに出会った時も同じように、プラスアルファで何か対価を払いたい。

最近そんなことを思う。


炙った金目鯛
さんま
うににく
松茸ごはん

2023.9.9土曜日

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