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愛と憎しみの物語(ミュージカル『オペラ座の怪人』感想)

⚠️この記事は劇団四季 ミュージカル『オペラ座の怪人』のネタバレを含みます。ご注意ください。⚠️

こんにちは、あやめです。
ついに『オペラ座の怪人』が開幕ということで、3月10日に観て参りました。なんでも大阪での公演は13年ぶりだそう。
約3ヶ月半前(11月末)にチケット取ってからずっと待ってたから…………マジで良かったよ……………
冒頭にも注意書きしてありますが、あらすじ以降はしっかりネタバレを含む内容になっておりますのでお気をつけくださいませ。


あらすじ

さて恒例ですが、ひとまずあらすじから。
いつも通りまるっと公式サイトの引用なので、もう知ってらっしゃる方は読み飛ばして頂いて問題ないです。

あらすじ
1905年、パリ・オペラ座の舞台上。オペラハウスの所有物がオークションにかけられている。 車椅子の老人はその中の一つ、オルゴールに手を止める――。
さかのぼること半世紀、オペラ座の舞台では、オペラ『ハンニバル』のリハーサル中。
しかし華麗な舞台の外では"オペラ座の怪人"の仕業とされる謎めいた事件が続発していた。策を講じない支配人に腹を立てたプリマドンナのカルロッタは、オペラに出演しないと言い出す。
急遽代役に選ばれたのはコーラスガールのクリスティーヌ・ダーエ。
亡き父の贈り物"音楽の天使"にレッスンを受けたという素晴らしい歌声を披露し、舞台は大成功をおさめる。
そんなクリスティーヌをひときわ熱いまなざしで見つめる青年がいた。
ラウル・シャニュイ子爵は、美しく成長した幼なじみのクリスティーヌの楽屋を訪れる。
その夜、クリスティーヌは楽屋から忽然と姿を消した。
クリスティーヌの前に"音楽の天使"が現れ、オペラ座の地下に広がる神秘的な湖を進み、彼の隠れ家へと連れ去ったのだった。
"音楽の天使"を名乗って夜ごと彼女に歌を教えていたのは、愛するクリスティーヌをプリマドンナに仕立て上げ、自分の音楽を歌わせたいと願う"オペラ座の怪人"だったのだ――
ミュージカル『オペラ座の怪人』公式サイトより

感想(⚠️ネタバレ注意⚠️)

※話の繋がりで書いてるので順番はぐちゃぐちゃです

いやもう……なんて言ったらいいのか分からない……()
それぐらいすごかったです。ポスターの謳い文句は伊達じゃないですね。本っっっっ当にすごかった
舞台が暗転した次の瞬間流れるOvertureオーバーチュアもう既に最高。Youtube Musicに10周年ロングランキャストのCDがあったので、入ってらっしゃる方はぜひ聴いてみてください。
途中の転調とかもう鳥肌がヤバい。なんであのメロディーってあんなに惹かれるんでしょうね……???神様仏様アンドリュー・ロイド=ウェーバー様ですよね…………

劇団四季版について

劇団四季の『オペラ座の怪人』は原作ではなくアンドリュー・ロイド=ウェーバー版の映画を踏襲しつつ、少しアレンジされた作品になっていますね。
映画では"Why So Silent"の時に出してたサーベルがなかった。そういえば墓場のシーンでなんかよくわからんオレンジの何かが出る杖みたいなの持ってたけどあれなんだったんだろう……サーベルの代わり……???
個人的に気になったのは薔薇。この記事のヘッダー画像(公式のもの)には写ってるものの、本編には全く出てこなかったのでめちゃくちゃびっくりしました。コラボメニューなんかめっちゃ赤かったのに!!!!薔薇要素ゼロ?!?!?!赤といえば仮面舞踏会で着てた服ぐらいです。マジで。そんなことある……????()

シャンデリアの話

オークションから切り替わってシャンデリアが上がって過去に戻っていくシーン、明かりがゆらゆら動く様子が亡霊みたいで、ファントムが原作とかでは「オペラ座の幽霊」とも呼ばれていたなんてことを思い出したり。
あと上がっていくとき、てっきり舞台の中の天井の位置に行くのかと思ってたらまさかの手前(観客席)側でめっちゃびっくりしました。え?!?!そこ可動域なの?!?!?!って…笑

キャストの話

3月10日のファントムは岩城雄太さん、クリスティーヌは藤原遙香さんだったんですが、優しい声色ながらも奥に狂気を宿したファントムとふんわりした喋り方や動きのどこか夢見がちなクリスティーヌの組み合わせめっちゃ良かったです…………夢の中にいるような、どこか現実味のない感じがして。
岩城さんファントムのなんとなく紳士らしすぎない立ち姿がもう…………めっちゃ良い………………(語彙力)
加藤迪さんのラウルも爽やかで甘めな美男で藤原さんと良くマッチしてました。
次行く機会があれば飯田達郎さんのラウルも観たいな……(好きなのにエリックもカジモドもまだ見れてない)
キーパーソンとなるマダム・ジリーも戸田愛子さんのはっきり口に出して言わずともどこか重い背景を匂わせるような演技も素晴らしかったです。マジで。最高………………👍

音楽の話

やっぱりこの舞台で好きなのは"The Phantom of the Opera"のシーンですよね。
ファントムがクリスティーヌに「歌え!」って言うとき、見つめあっていたのを強めに突き飛ばすように前向かせるところあるじゃないですか。"The Music Of The Night"のクリスティーヌの手首掴んだり顔グイッて押したりとかもそうなんですけど、ああいった女性に対してでも扱いが荒めな動作があることによって、ファントムの人と接することの不慣れさとか不器用さが更に出てて好きです(不器用な男キャラ好きになりがち)
そういえば映画版の"The Music Of The Night"では鏡に映る花嫁を見て気絶したクリスティーヌをお姫様抱っこして運ぶシーンがあったけど多分四季版では放っておかれてましたよね(記憶が正しければ)。そもそもあのナヨっとした四季版ファントムにはお姫様抱っこなんかできなさそうだし。()

クリスティーヌのやらかし

クリスティーヌは天真爛漫で夢見がちな女の子なので、ファントムの事情や心境なんてもん知る由もないんですよね。
だから「マスクの下の顔を知りたい」という好奇心だけで仮面を外してしまった。まぁその結果めちゃくちゃ怒られるしクリスティーヌはその醜い顔にビビり散らかすことになるわけですが。自分のせいやぞ……笑
仮面外す直前にファントムの後ろでチラッチラッてしてるクリスティーヌが可愛かったですね。
そういえばこの時、ファントムは楽譜を書いてたけど、あの中華っぽい()服装って何だったんだ……???
(追記:劇団四季HPに載ってました。ボートの中のクッションとあの服装は当時の流行りだそう。「流行にも敏感な怪人の美的センスが…」←不覚にもちょっと笑った)

ファントムかわいいな…って思ったシーンの話

見出しの通りなんですが。笑
私が可愛いなと思ったところ、まず一つ目は"All of I ask you"の後のファントムのリアクション。
こっそり見てたの自分なのにうわ〜〜ヤダ〜〜聴きたくね〜〜!!!ってなってたのマジで可愛かったですね。
あと純粋にすごいとこに乗ってんなと思った。上に通路があるっぽいなーってのは分かってましたがあれ、乗れるんだ…………!?!?!?って。
ファントムが書いた『勝利のドン・ファン(ドン・ファンの勝利)』のシーンで本来ドン・ファン役のピアンジを殺害して入れ替わっていたところです。ヒロインのクリスティーヌはドン・ファンの愛人?恋人?役なのでかなり濃密な絡みがあるわけですよね。クリスティーヌ側は相手がファントムだなんてつゆ知らずしっかり抱きしめてるし。その時のファントムのぎこちないけど手首を強めに掴んでるあの荒い手つきといったら!!!もう!!!愛おしい!!!!()
よく見るとどこかビクビクしてるような動きをしてるのでこれからの方やもう一回観に行く方がいらっしゃればぜひじっくり観察してみてください!!!!!!

ラストのセリフの話

ファントムに「私を嫌えばこいつを殺す。さあ、どちらか選べ(意訳)」って究極の選択を迫られたクリスティーヌの「醜さは顔にはなくて、汚れてしまったのはあなたの心(意訳)」っていうのがもうしんどすぎやしません???
"The Phantom Of the Opera"の時も「あなたを恐れはしない」みたいに言ってたんですけど、それと言い回しは似ているようで意味が全然違うんですよね。
初めは「自分の音楽を歌わせたい」って思いだったはずなのに少しずつ歪んで崩れていってしまった。怪人は本当に醜い存在になってしまったんですよね。
そんなファントムを哀れむようにキスをしたクリスティーヌで泣けたし、自分にキスをするクリスティーヌの背中に両手を回すものの触れられないファントム…………🤦🤦🤦🤦
そのキスによって自分の恋が報われないことも、「音楽の天使」になれなかったことも分かってしまったファントムが今までのことを全て忘れようとするみたいに「行け!行ってしまえ!」って叫ぶのも報われなさが辛かったし、指輪を返しに来たクリスティーヌへ"I love you"と初めて伝えるのもしんどかった。ラウルとの婚約指輪だったからクリスティーヌの元へ返したのにわざわざ戻ってファントムに渡しに来たんですよ。セリフもほとんどないのがこれまた巧妙で。
でもそのI love youは自分自身の言葉ではなく、ラウルが過去にクリスティーヌに対して歌ったメロディの一部でしかないっていうのが…………

最後に隠れ家まで辿り着いたメグが椅子の幕を引いた瞬間、仮面だけが落ちる演出もめっちゃ良かった。
恐る恐る仮面を手に取って、不思議そうに眺めていたメグは一体何を思っていたんでしょうか。

オルゴールと「あの曲」の話

本作でカギとなるアイテム、最初のオークションシーンで出てくる猿のオルゴール
最初は優しい音色だな、としか思わないんですが、物語が進んでいって最後にもう一度聴くとそのオルゴールの曲が"Masquerade"だったんだと分かって更にしんどい…………🤦🤦🤦
エンディングでクリスティーヌが去った後、寂しげにオルゴールの猿に触れるファントムが、皆が素顔を隠しているからこそあの仮面舞踏会の中にほんの一瞬でも皆と同じように居られた自分を追憶しているようで。(後述しますが、ここも個人的にかなりしんどかったポイント)
オルゴールの曲、"Masquerade"は第2幕始まってすぐの仮面舞踏会で歌われる曲ですが、あのシーンもかなり印象的でした。個人的にオペラ座の怪人のCMといえば、ってイメージがあるので生で観られて本当に良かった……何回聴いても泣ける。
誰もが素顔を隠して皆平等に、この日だけは誰が誰だか分からなくなる日。
もしかすると、この仮面舞踏会のシーンであの作品を思い出す人も居るんじゃないでしょうか。

そう、私が愛してやまない『ノートルダムの鐘』
個人的に、『オペラ座の怪人』はどこかあの作品と通じるものがあると思うんです。っていうかありますよね?!?!?!似てますよね?!?!?!

(⚠️ここから『ノートルダムの鐘』のネタバレも含まれますのでまだ見てない方はご注意ください。⚠️)

ファントムとノートルダムの主人公カジモドって、結構似てるんですよ。というかストーリーも割と似てるんですよね。
生まれつき顔が醜いところとか、ヒロインを「天使」と呼ぶシーンがあるところとか。どっちもヒロインにキスされてるのも同じですよね。
主人公がヒロインと結ばれないってのも……🤦
顔が醜い点、カジモドはディズニーだからか分かりませんがオペラ座観た後だと表現がかなりマイルドになってたんだなぁ……と思いますよね。
醜さのベクトルというか種類が違う(骨格そのものと表面)のでオペラ座はメイク、ノートルダムはキャストさんが実際に顔を歪めることで表現してるっぽいんですが、オペラ座は特殊メイクがガチ(そりゃそう)でめちゃくちゃ好きでした。醜い〜〜!!!ヤッタ〜〜〜!!!!(語彙力)
何かと共通点の多い2人ですが、それに反して2人の住んでいる場所は塔の上オペラ座の地下で正反対なんですよね。なんとなく彼らの性格にも陰と陽というかプラスとマイナスのようなイメージを感じるので、そういうところにも表れているような感じがしますね。
あと作品中でお祭り(的なもの)に参加しているところも共通点を語るうえで欠かせないポイントだと思います。
オルゴールと「あの曲」の話のところで先述したんですが、ここが個人的にかなりしんどかったポイントです。
『オペラ座の怪人』の原作では、この舞踏会シーンでファントムだけマスクをつけておらず、その醜い顔が逆に高評価だったのだとか。
ノートルダムを観たことがある方ならお分かりでしょうが、トプシーターヴィーの時のカジモドとそっくりなんですよね…………
彼も道化の仮装をしていると思われてエスメラルダにステージに上げられてしまったんですよね。クリスティーヌに仮面を取られたファントムとも重なるなぁと。
ただファントムの思考とか性格とかはどちらかといえばクロード・フロローに近いものを感じました。

まとめ

いや〜〜「すごいらしい」どころかマジですごかった。
本当に切なかったなぁ……そしてめちゃくちゃ良い話だった……少なくともあと3回くらい観たい……………()
書きたいだけ書いたのでオチとっちらかっちゃいましたが本当に…………よかった…………………()
8月あたりのチケットが明日には出るはずなのでぜひ観てください!!!!!!お願いします!!!!

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