見出し画像

【理不尽に、負けるな。】京急蒲タコハイ駅ならびに蒲タコハイ祭について思う事


【注意】
当記事は、独自の見解も含まれている場合がありますので、皆さんにおかれましては当記事やマスコミの記事などに囚われず、自分の頭で考えるようにしてください。
なお、この記事にお酒の話題を取り上げていますが、飲酒を強要する・させるまたは依存性を強めるような記事ではありません。当記事をもって何かしらの被害に遭われても執筆者は一切責任を持ちません。

上記内容を理解した方のみご覧ください。



「青・空・虹」では、6月1日~7月20日まで「テーマ強化月間」として、テーマに因んだ記事等を取り上げております。
今回は「理不尽に、負けるな。」と題し、あてのない批判を受けられ窮地に立たされた事や、大きな難関を乗り越えたなど、理不尽から抜け出した事例や難関を突破した事例などを取り上げていきます。

ここでは、5月18日~6月16日まで行われている京急電鉄・サントリー・大田区商店街連合会によるコラボレーション企画「京急蒲タコハイ駅」と「蒲タコハイ祭」についてと、アルコール依存症などの依存症に向き合うNPO法人による行動やマスコミの動きについて取り上げていきます。



「蒲タコハイ祭」って何?

いきなり「京急蒲タコハイ駅」「蒲タコハイ祭」と聞かれても「???」となる方も多いかと思いますので、概要についてご説明していきます。

まず「タコハイ」について、こちらはサントリーが販売している低アルコール飲料(発泡性リキュール)であり、1983年に発売。発売当時はタコのキャラクターが描かれたデザインを利用していたとのこと。

【参考リンク】

当時はサントリーが販売していた甲類焼酎の一つである「樹氷」シリーズとして扱われ、その中に「タコハイ」が含まれていたそうだ。

2023年には現行のデザインとなり、女優でフリーアナウンサーの田中みな実さんや俳優で歌手の梅沢富美男さん(※)がイメージキャラクターとして起用され、「こだわり酒場のタコハイ」の名称で再びタコハイの名前が用いられるようになった。

それでは本題である「蒲タコハイ祭」についてご説明しよう。

「蒲タコハイ祭」とは冒頭でも説明の通り、5月18日~6月16日まで行われている京急電鉄・サントリー・大田区商店街連合会によるコラボレーション企画である。サントリーの「タコハイ」と蒲田を掛け合わせた一大イベントである。
同期間中は京急蒲田駅は「京急蒲タコハイ駅」に変わり、京急蒲田駅3階下りホームの2番線を用いて「京急蒲タコハイ駅酒場」として5月18日・19日・6月8日・9日の4日限定で開業された。

京急蒲タコハイ駅酒場の様子(2024年5月18日撮影)

「蒲タコハイ祭」は京急蒲田駅で行われた酒場だけでなく、京急蒲田駅周辺の居酒屋ともコラボレーションし開催したものである。


「蒲タコハイ祭」の宣伝方法

「蒲タコハイ祭」を盛り上げようと、京急は中づりをはじめとした広告の掲出や期間限定で駅名の看板が切り替えられた。

2024年5月18日撮影時
2024年6月14日撮影時(パターン1)
2024年6月14日撮影時(パターン2)

こちらは「蒲タコハイ祭」の広告であるが、サントリーのタコハイ(缶)とイメージキャラクターを務める田中みな実さんが登場している。
祭りが行われる期間や京急蒲タコハイ酒場の開店などの情報を記載しているが、一部の広告ではQRコード読み取りにより蒲田駅周辺店舗で利用可能なタコハイ半額クーポンを贈呈する広告もあった。

これも同じデザインであるが、こちらは「京急蒲タコハイ駅誕生!」をPRしたもの。広告の下には酒場の開店や蒲タコハイ祭の開催などを記載。


駅の西口に掲出された「京急蒲タコハイ駅」の看板。
デザインはほぼ一緒であるが、タコハイが缶からロゴに変わり、駅名が大きく掲げられている。


駅周辺では蒲タコハイ祭り開催中やタコハイ半額クーポンがもらえる旨も。上記以外に先ほど紹介した「京急蒲タコハイ駅酒場」を含め、宣伝を行っていた。

こうしてみると、「タコハイ」のPRと共に蒲田周辺の商店街を盛り上げるために総力を挙げて行っていたことがよくわかる。


イベントに嚙みついたNPO法人

5月18日から順調に始まった「蒲タコハイ祭」だったが、いきなり暗雲が立ち込めてきた。それはアルコール依存症や薬物依存症等に向き合うNPO法人「ASK」(以下「ASK」と記載)がこのイベントに突如噛みついてきたのだ。

ASKのHPには、サントリーと京急電鉄に対し、酒類の広告は駅には馴染まないことや、公共性を無視した愚行等と言った記述がされていた。
(詳しくは下記リンクより)

この一報を見て私は、「【緊急投稿】NPO法人の傍若無人な行動に抗議します」と言う名目で抗議の意味を込めて、ASKの行動に対する記事を掲出した。該当記事は当記事公開に伴い、6月9日に非公開となっている。

ASKの行動により、蒲タコハイ祭は駅名看板を含め一部広告の取り下げは行われたものの、京急蒲タコハイ駅酒場は6月8日・9日共に通常通り行われる予定で進めていた。

通常版に戻ってしまった駅名看板

しかし、ASKは抗議行動には成功したものの、その行動がこの後大どんでん返しとなる事を・・・。


NPO法人の抗議があだに・・・まさかの大盛況

広告縮小で追い込まれてしまったと思われたサントリーと京急電鉄。6月8日・9日の「京急蒲タコハイ駅酒場」は通常開催された。ASKの抗議で利用客が減るかと思われたこの2日間の酒場は、逆に多くの利用客で賑わう事となった。

こちらは6月8日の京急蒲タコハイ駅酒場の様子を投稿したXのポストであるが、京急蒲田駅2番線ホームもとい、通常使用される1番線と3番線ホームとの境目付近まで行列を作った。写っていない場所でも列を作っていたと思われるので、実際はもっといた事だろう。

こちらも同じ京急蒲タコハイ駅酒場の様子を投稿したポスト。内容を見ると一時酒場への入場制限まで設けられてしまったほどであった。サントリーと京急電鉄にとってもこれほど大盛況になるとは予想していなかったのではないか。

最終日の9日も大盛況で京急蒲タコハイ駅酒場は無事営業終了。逆にASKに対し皮肉(?)を込めてなのか称賛するポストも。

これは最終の2日間であると言う事も考えられるが、私が思うにはASKの抗議が逆に大盛況を生んでしまったと考えられる。抗議のニュースを見た途端に「実際に行ってみよう」と思った方が多かったのではないか。もし、ASKの抗議が無かったら来客人数が減っていたか、サントリーと京急電鉄側が違う方法で集客を取っていたかも知れない。


見解

今回当記事を執筆するに当たって、ニュース記事やASKの投稿なども見てきた。私は以下の通り見解として述べておく。

1:マスコミの曲解

1つ目として、ニュース記事はASKを全面支持するような動きを見せていたので、全て曲解しているように思えた。例えばこの記事はその例と言える。

そもそもタイトルからして悪意があり過ぎるし、「子育て環境」など全然絡みの無いネタを用意してくるのでどうも胡散臭いとしか思えなかった。
最終の一文に「おだやかになることを学べ(STUDY TO BE QUIET)」と載せている。「おだやかになることを学ぶ」のは上記記事の方ではないか。
執筆したフリーライターの方には私が執筆している記事を一度でも良いから見ていただき、記事の書き方を見直して欲しいところだ。

2:NPO法人の行き過ぎた正義感

2つ目は、ASKのこのポストである。

問題は下にある「ぜひ抗議を!」のポスト。だが実はこれ、私から見たら「禁じ手」である。

ポストに書かれている「京急お客様センター」や「サントリーのキャンペーン事務局」は当然だが抗議のために用意している訳ではなく、あくまでも「ご案内」のために用意されているものである。例えクレームを入れたとしてもどのみち担当部署へ繋がってしまうのでこの掲示は一見を意味を成すようにも見えるが、実際は殆ど意味を成さない。むしろこの案内がある事で逆に「京急蒲タコハイ酒場の営業は何時から何時までですか?」とかも確認出来てしまうのだ。
本当の意味でクレームを入れる場合であるなら、広報関係かCSR関係の部署になるはずであるのに、私から見たらもったいないとしか思えなかった。

そもそもASKはポストの画像の通り、「アルコールや依存性薬物をはじめとする様々な依存関連問題の予防に取り組むNPO法人です」の記載がされているのだ。本来のASKが取る行動は「依存症患者の社会復帰」「依存症からの脱却」がメインであり、イベント抗議と言うのは「予防」を超える行動となってしまう。ASK側は今回の抗議を「予防のためにやっている」と思われるが、その行動がかえって「正義中毒」を生み出す事へ繋がった。
正義中毒とは、「自分が正しく相手が間違っている」「間違っている相手は罰しなればいけない」意識の事であるが、今回の案件であれば「蒲タコハイ駅のイベント開催は間違っている!」と言う意識がASK側で起こり、看板撤去には至ったものの、メインイベントである京急蒲タコハイ駅酒場は大盛況で終了したという結果となった。つまり「正義中毒者の負け」が決まったのである。

私は過去に下記記事を執筆したが、この一文を覚えているだろうか。

私から見た場合、正義中毒者は物事を一方向にしか捉えていません。言われた者が「負け」と考えているかと思いますが、これはとんだ間違いなのです。

つまり、正義中毒者が行動を起こした時点で正義中毒者の負けが決まってしまいます。

「悪ども」に打ち勝て(4)より


上記の内容に合わせると、ASKが「ぜひ抗議を!」のポストを出した瞬間に、ASK側の負けが確実となっていたのだ。


お酒のイベントまたは広告であっても、このイベントや広告が直接アルコール依存症や飲めない方を誘発するのかはその人の考え方次第である。イベントや広告に興味がなければそもそも見向きすらしない。
お酒の製造・販売メーカーではCMを含めた広告において写真の通り飲酒に対しての注意書きがされている。

広告注意書き部分のアップ

この看板には「ストップ!20歳未満飲酒・飲酒運転。妊娠中や授乳期の飲酒はやめましょう。お酒はなによりも適量です。」と記載されている。これは、飲酒によって引き起こす事故や法令違反(飲酒運転等)や過度の飲酒によって依存症を増やさない事、妊娠中・授乳期の飲酒で胎児や子供への影響を及ぼさない事や、未成年の飲酒によって成長の妨げに繋がらないように酒類の製造メーカーが注意喚起で行っている。

【参考リンク】

こう言うこともあり、小売店(コンビニエンスストア含む)でも酒の販売は20歳以上に限定しており、かつ通常の飲料とは別のショーケースに設けている事が多い。分類のためにラベルなどで注意喚起を行っている場合もある。
話は変わるが、医薬品などのCMの最後には「この医薬品(または商品名)は使用上の注意をよく読み、用法・用量を守って正しくお使いください。」が表示または声で発される。こちらもほぼ同じ様な理由で用いられているが、酒類とは異なり薬事法も絡んでくる関係で「ピンポーン♪」等の音を用いてより強めに伝えている。

ちなみに今回の「京急蒲タコハイ酒場」も、20歳以上や自動車・自転車の運転有無や妊娠中や授乳期の方でないかの確認は行われていた。


これらを踏まえると、ASKの主張は物事を一方向にしか捉えていないように思えた。俯瞰の考えを持っていれば、抗議には至らなかっただろう。


「アルコールや依存性薬物をはじめとする様々な依存関連問題の予防に取り組むNPO法人です」と銘打っているだけあり、社会復帰を目指す活動であれば万人受けはしたものの、今回の様な抗議による正義感や行動は万人受けするものではない。また、依存性の有無はそれぞれの人によって変わるので、全ての方が依存症を発している訳ではない。「酒癖が悪い」「大酒飲み」の言葉を見聞きした方もいるかと思うが、その方が一概に「アルコール依存症なのか?」と思ったらそうでもない。
ASKは今回の様な強行手段を取ったとしても、アルコール依存症が減るわけではないし、逆に自分や法人そのものを傷つける結果に繋がりかねないのではないかと危惧する。

さて、抗議のポストが何故「禁じ手」なのかを解説すると、1つ目は逆にイベントへの誘致を増やしてしまう事。2つ目は「自力で何も出来ない」を晒してしまうからだ。NPO法人かつ抗議するなら、文面やXのポストで案内を載せるだけではなく実際に現場で行う方が最も効果があったのではないだろうか。

こちらのポストは、ヨーロッパの農業を脅かす環境政策を放棄するために、農家達が立ち上がりEU当局へ抗議している時の模様である。
諸外国ではこのように人々達が立ち上がり、巨大な悪への抗議活動を見せているのだ。ASKもこのような感じで行えば、蒲タコハイ祭自体を阻止出来たのではないだろうか。ただし、抗議活動も度が過ぎると威力業務妨害にもなりかねないので、それなりのリスクは伴う。

3:京急蒲田駅2番線を利用した理由

今回のメインイベント「京急蒲タコハイ駅酒場」は京急蒲田駅2番線を用いて行った。現行の京急蒲田駅は連続立体交差化事業の完了に伴い、上下別々のホームかつ3層構造となっている。

京急蒲田駅外観(4枚合成)※2018/8/18撮影

ここからは以下の通り構内図を用いて説明する。

京急蒲田駅下りホーム

こちらは3階にある下りホーム。
1~3番線で構成されており、1番線の先に2番線が用意されている構造となっている。そのため、2番線入線時は1番線を通過する形を取っている。3番線は空港線専用となっており、羽田空港第1・第2ターミナル方面と同方面からやってきた横浜方面行きの列車に用いられる。

京急蒲田駅上りホーム

2階にある上りホーム。
形は3階の下りホームと同じだが4~6番線で構成されており、4番線の先に5番線が用意されている構造となっている。そのため、5番線から出発する際は4番線を通過する形を取っている。6番線は空港線専用となっており、羽田空港第1・第2ターミナル方面からやってきた品川・泉岳寺方面行きの列車や横浜方面からやってきた羽田空港第1・第2ターミナル行きの列車に用いられる。

「京急蒲タコハイ駅酒場」は2番線を用いて行ったが、物理的には5番線の開催も可能である。しかし、2番線と5番線では決定的な違いがあった。

こちらは2階上りホームの5番線。
上層に下りホームがある関係で、日中でも若干暗めである。

実際に「京急蒲タコハイ駅酒場」を開催した3階下りホームの2番線。
決定的な違いとは「明るさ」の事であり、もし5番線で行った場合は蛍光灯こそあるものの別途照明の必要が生じるのだ。対して2番線は日中でも十分か明るさが確保出来るので、照明は不要である。
また、5番線ホームでは途中の階と言う事もあり、同階でイベント開催になると利用客の流れが変わってしまうという懸念も生じる上に、仮に今回の京急蒲タコハイ酒場の最終日の様な大盛況に陥ると入場制限が出てしまい、その他の利用客にも迷惑をかけてしまう。これらの事を考えると2番線での開催が妥当だったと言える。

下りホーム2番線は平日午前7時30分過ぎ~10時06分まで使用され、それ以降は人身事故によるダイヤ乱れ等余程の事がない限り、使用することはほぼ皆無である。

京急蒲田駅下りホーム平日の時刻表

休日ダイヤでは2番線を使う事はなく、専ら1番線・3番線のみ使用される。

京急蒲田駅下りホーム休日の時刻表

「京急蒲タコハイ駅酒場」は5月18日・19日・6月8日・9日といずれも土日に行われており、土日に使う事がない2番線をフルに活かしたイベントだったのだ。

かつて品川方面からの快特が倍増された際に、品川~京急蒲田間の途中駅利用者救済目的で「蒲田ローカル」と呼ばれる普通列車が運転され、運転されていた時期は2番線・5番線のホームはフルで活かされた。
ところが先ごろのプロパガンダの影響で運休が続き、ダイヤ改正と共に廃止となった。もし今でも「蒲田ローカル」が運転されていれば、「京急蒲タコハイ酒場」の様なイベントは行われなかったかも知れない。

つまり「京急蒲タコハイ駅酒場」が2番線で行われた理由としては、「明るさの確保」「平日のみの使用」「利用客の流れを妨げない」「蒲田ローカルの廃止」が挙げられる。ある意味普段使わないホームを使ってもらおうという意図もここに隠されていたのではないだろうか。

最後に

今回は「理不尽に、負けるな。」の一環で「京急蒲タコハイ駅ならびに蒲タコハイ祭について思う事」を取り上げました。

自分が思う事としては、このようなイベントは商店街を活性化する目的としては「大いにあり」と言えます。コラボレーション企画を通して活性化に繋げていく事は、古くから残されている商店街を地元だけでなく地元以外の方々にも知名度を上げるために拡大していこうという意図も見えてきますね。
イベントに噛みついたASKも行おうとした内容は理解出来るものの、それがかえって宣伝効果を生み出してしまった事は予想出来なかったかと思います。私から見たら「正義」の使い方を誤ってしまった事が、逆に宣伝効果を生み出した可能性が考えられます。今般の行動は我々一般の人から見ても見苦しいとして言い様が無かったので、今一度法人としての活動を見直していただき、依存症を解決するように持っていって欲しい事と、正義中毒に走らない事を法人全体の活動として取り入れて欲しいところです。

最後に「京急蒲タコハイ駅酒場」に似通ったイベントとして、名古屋駅の在来線ホームにて「世界の山ちゃん」とのコラボレーション店舗がありました。2023年の記事ですが、是非ご参考まで。
(こちらのイベントはお酒メインではなく、「世界の山ちゃん」の一店舗の扱いとなっています)

↓2024年も行われているようです。(株式会社エスワイフード公式HPより)

お酒に対して好き・嫌いはそれぞれあるものの、主催者への理不尽に繋がる行動だけは避けて欲しいと強く思います。

今回はここまで。最後までご覧いただきありがとうございました。


※同社の「こだわり酒場のレモンサワー」にも出演。


私が執筆した記事をご覧いただきありがとうございます。 「記事が面白かった!」「興味が湧いた!」と思いましたらサポートをお願いします。 是非よろしくお願いします!