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「自由研究」を深掘り

2022/08/15更新:「最後に」の項目に追記しました。

私のマガジンに「夏の自由研究」の項目を載せておりますが、皆さんは既にご覧頂けましたでしょうか。
まだの方は下記リンクからどうぞ。

昨日緊急で自由研究にケチ付ける輩への記事を掲載しましたが、今回は小学生や中学生における夏休み宿題に必ず出てくる「自由研究」について深掘りして行きたいと思います。


自由研究の始まり

自由研究は、そもそも夏休みの宿題では無く「授業」だった事はご存じでしょうか。
「えーっ!?」「嘘だろ!?」と思う方もいるはず。

これ、本当の話なのです。

――小学校の自由研究は、いつごろ始まったのですか?

自由研究は、1947年の学習指導要領に盛り込まれたのが始まりとされています。当時は算数や国語のような教科の一つに位置づけられ、子どもがそれぞれに関心を持ったことに取り組む時間として始まりました。

引用:withnews

1947年に学習指導要領としてこの自由研究が取り込まれ、その目的としては「子供たちが関心を持ったことに対し取り組む時間」だったそうです。つまりこの時は「正式な小学校の授業」として扱っていたのです。

「子供たちに好きなことをして能力を伸ばしてやりたい」と言う思いが自由研究の授業採用に繋がったとか。
しかし、自由研究は4年後の1951年に学習指導要領から外れてしまい、授業から姿を消してしまったのです。


授業から夏休みの宿題の定番へ

1951年に姿を消してしまった「自由研究」。その理由はこの様に記されています。

――なぜでしょうか。

そうした発展的な学習は通常の授業の中でやればいいという考えから、学習指導要領の改定の時になくなりました。

さらに高度経済成長がやってきて、系統的な知識・技術といった基礎的な学力を養うことが学校教育の軸になっていきました。

それが受験の学習へとつながり「いい学校に入りいい会社で働く」ことによって社会に認められる時代になって、当時目指された自由研究の理念は影が薄くなっていったのでしょう。

引用:withnews

つまり、学習要領が「好きなことをして伸ばす」から「学力アップ」と言うシフトへと繋がってしまったのです。ここを境に受験して良い学校へ進学し良い会社に入ってエリートを狙うと言う、ある意味奴隷に近いような学習へと変貌を遂げてしまいました。

夏休みの宿題の定番として「自由研究」が登場したのは不明ですが、夏休みが長期間の休暇になる事から、この間に「子供たちが関心を持ったことに対し取り組んでもらおう」と言う気持ちが反映されたのかと思われます。
学習指導要領から外れた現在、強制力は持ち合わせていないようですね。


自由研究の賛否

今、自由研究がいるかいらないかで話題となっているようです。

夏休みの宿題の定番「自由研究」を巡り、今、SNS上では子どもを持つ親たちの間で「要らない」という声が上がっています。

ツイッターから:「圧倒的に面倒な自由研究。何もやろうとしない息子。提出も自由にしてほしい」

宿題のなかでも、手間と時間がかかるのが、自由研究。子どもたちに、本音を聞いてみました。

小学6年生:「1年生のころとかは、よく分からなかったけど。6年生になってきたら研究するのが好きになってきた」

小学4年生:「(つらいのは)自由研究。テーマ決めたり、色々調べたりするのが大変。(テーマは)まだ決まっていない」

小学5年生:「嫌いな宿題は自由研究。調べるのが面倒くさいから」

小学2年生:「作ったり書くのが面倒くさい」

番組で小学生や、その親に独自に調査したところ、8割近くが「自由研究が必要」と考えている一方、およそ2割は「要らない」と答えました。

「要らない」派の親から聞こえてきたのは、結局「親の自由研究」になってしまうという声です。

小学3年生の男の子の父親:「何をやるか選ぶのは、子ども自身で選ぶのは難しいかもしれない」

SNS上でも「毎年、テーマを何にするか考えるだけで胃が痛い」といった声が上がっています。

引用:Yahoo! JAPANニュース

約2割が不要という回答となっているようですが、大半はテーマを考える時点でつまづく事が多いようですね。何故このようになったのか?


正しい答えではないかと思いますが、2つ出します。

1つ目は学習要領を「学力アップ」目的に変えてしまった。
2つ目は「読書感想文」を同時に入れてしまった。


1:学習要領を「学力アップ」目的に変えてしまった

先ほどの「自由研究の始まり」にてこちらを取り上げましたが、そもそも授業に入れていたものを外してしまい、「学力アップ」目的で廃止してしまったのが大きいでしょう。
先ほどのニュースの記事でも「調べるのが面倒くさい」の回答がありました。それは学力を中心に行っていなければこのような回答には至らなかったのです。学力アップ目的に変わった学習方法が蔓延してしまい、自由研究の意欲を減退させた可能性が高いと思われます。

2:「読書感想文」を同時に入れてしまった

夏休みの宿題でもう1つ挙げられるのが「読書感想文」。実はこれが自由研究の意欲減退に繋がっていたのではないでしょうか。
人間の脳には「限界」と言うものがあります。許容を超えてしまうと当然パンクします。夏休みの宿題において脳をフルに使うのが「自由研究」「読書感想文」の2つなのです。
子供の能力で考えると、「自由研究」「読書感想文」の2つを強制するのは流石にどうかなと思いますね。


私が考える「自由研究」の在り方

ここまでは自由研究についての説明でしたが、ここからは私が考える「自由研究」の在り方について。

まず、私として「自由研究」はありです。
何故なら、自由研究をすることによって新たな発見を導き出せるからです。
先ほどのニュースの中に「AEDの設置場所を調べた」内容を取り上げており、それが実際に役に立ったと言う事例がありました。
自由研究は、AEDの設置場所調査などの実地調査、様々な仕組みなどを調べて作る「再現工作」、仮説・憶測などを出して調査するなど色々な方法があります。勿論、これはニュースだろうが新聞だろうが道具を使うなど、内容はどんなものでも構わないのです。


研究内容にテーマの定めがないから「自由研究」なのです。


ちなみに私がマガジンで取り上げている「夏の自由研究」はカメラ・鉄道関係がメインですが、取り上げているテーマはそれぞれ異なっています。

例えば「カメラ製造会社で色の出方が違うのは何故?」では、製造会社が異なるカメラにてそれぞれ撮影を行い、色の出方が違う理由に仮説を立てて調査した記事になります。

もう1つの「北総鉄道と新京成電鉄はお互いに乗り入れていた ~「新鎌ヶ谷駅」の開業が運命を左右した?~」は、互いの鉄道会社の歴史から紐解き、もし新鎌ヶ谷駅が無かったらの推測を踏まえた記事となっています。

つまり、自由研究のテーマは何でも良く、日頃の行い・趣味などから疑問に思ったことを探してみるのが最善なのです。これは夏休みに限った話ではなく、登下校中・学校がお休みの時でも構いません。

もう1つとしては、「自由研究」「読書感想文」を選択制にしてあげる事です。2つのうちいずれかにシフトする事で、脳をパンクせずに取り組むことが可能になります。読書が好きであれば読書感想文、研究が好きであれば自由研究に回せば子供の能力を阻害せずに夏休みの宿題をこなせるのではないかと思います。


最後に

今回は「「自由研究」を深掘り」を取り上げました。
私は小学生の夏休みの時に宿題として自由研究を色々とやって来ましたが、一番大変だったのは小学6年か中学1年の時の「PHS基地局の調査」でした。
PHS自体は携帯電話やスマートフォンにシェアを取られて廃れてしまったものの、1997~98年当時は最先端の携帯電話でした。そして電柱に必ずと言っていいほど「NTTパーソナル」や「アステル」などのアンテナが自宅近くでも結構あったんですね。今となっては懐かしい光景でした。

最近では、NHK Eテレでも「自由研究55」と言う番組が夏休み期間中に放送されているので、以前よりか自由研究のテーマも作りやすくなったのでは無いかと思います。

今回はここまで。最後までご覧いただきありがとうございました。

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