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【舞台感想】『カリスマ de ステージ』4月2日昼公演

行こう♪行こう♪カリスマハウス♪

池袋Theater Mixaにて2023年3月30日〜4月9日上演の舞台『カリスマ de ステージ ようこそ!カリスマハウスへ』を観劇してきました。

カリスマハウスは実在していました。あってたまるか!

めちゃくちゃ面白かったのでこのnoteに感想を残しておこうと思います。初見さんにもオススメできる、いやむしろここから入場してほしいほどの出来でした。やった〜!

(おことわり)
※わたしは感激すると記憶がなくなるタイプなのでだいぶ内容を忘れています。
※しかしネタバレはあります。
※記憶に偏りがあるかもしれません。でも箱推しなので許してください。
※脈絡がなかったり尻切れトンボだったりしますがご容赦ください。印象でお送りしています。
※10000文字ありますが内容は薄めです。

全体を観させていただいてまず思ったのが「初見に優しい〜〜〜!!!」ということ。

舞台化します、と聞いたとき、全編新作脚本なのかなと思ったんです。でも違った。繋ぎ目はアレンジしてありますが基本はボイスドラマ本編の#1〜#7そのものでした。

そりゃそうだよな!初見で彼らの生活を浴びてしまったら楽しむより先にまず困惑してしまうからな!

というわけで舞台オリジナルの数本を除いてだいたいの内容はボイスドラマと同じでした。
でもなんでかな、3次元に出てくるとまた別のベクトルの面白さがあるんです。舞台は生ものなのでその時々の「瞬間の笑い」があるのはもちろんなのですが、単純に彼らを実世界に引っ張り出してはダメだったという根源的アレみたいな笑いがすごかったですね。マジで。

誰がいちばんダメだったかって、そりゃあ天彦以外に誰がいるのかって話ですが。
天彦、ヤバかった。演者さんが人気のかたらしいというのは聞いていましたが、そんなの抜きにしてもあの天彦はとても良かったです。股下2kmは伊達じゃないぞ。

その長い脚でポールダンスするんですよ。いつか3次元で天彦がポールダンスしたらいいな〜とは凡人誰しも思いますが、実現するとは思っていなかったでしょうね。わたしもね。思っていませんでした。

で、原作の#1〜#7をやるなら避けては通れない『性』の回。先日のイッキ見配信に参加していなかったわたしは恐れ多くもこの回の内容を忘れていました。

風呂

「自主規制」の幕が張られたときはもちろん笑いましたが、その理由が「風呂だから」であるとはまだ気づいていませんでした。内罰のターンで飛び降りた大瀬のあられもない(※グロッキーの意)姿に対してだと思って……。
まさか風呂に乗り込んでくる天彦のあられもない(※セクシーの意)姿を隠すためだったとは……。

天彦ってガチで存在するんだ……というより、できるんだ……というのが天彦に対する感想ですね。いたもん!大使いたもん!
自主規制幕の後ろの天彦、脚が長すぎて幕の高さがギリギリなのが面白かったです。アウトだよ!途中で追加のカーテンを持ってきてくれた依央利が「じゃ、ごゆっくり!」と去っていくの、完全にお風呂屋さんの人でした。そして見捨てられた猿ちゃん……。

しかもそのあとセクシー生着替えまで控えているとは。度が過ぎるぞWSA。でも天彦だからOKです。

原作でももちろんそうなのですが、#1〜#7は誰か1人がヤバいときは誰か1人がツッコミに回る、いわゆるボケツッコミ持ち回り制が完成しているところなのでこんなにヤバい天彦も次の『正邪』ではドのつくツッコミ役なんですよ。面白いのなんの。

原作はボイスドラマなので、基本的にセリフがない限りキャラがその場にいるかどうかわかりません。『カリスマ』は動画付きなので表現できなくはないですが限度があり。例えば原作の『秩序』では、ラスト付近で突然猿ちゃんが登場した感じになりました。

でも舞台は「今、どこで誰がなにをしている」が一目でわかってとても面白い!舞台版『秩序』、途中でリビングにやってきた猿ちゃんがやりとりに耳を傾けるうちにしびれを切らした感じになっていて「あーこういう経緯だったのか!」とものすごく納得しました。もうね、そこかしこでカリスマたちが動いているので目が足りないんです。14個くれ。

どのエピソードも見どころしかなかったのですが個人的にツボだったのは正邪のターン。
大瀬の財布から抜かれてたの、あれ万札じゃなかったですか?悪人すぎる……。そして「明らかに他の人の鞄」と言うだけあるナチュラル系のトート。そこから出てきた畳むタイプの財布。「そのお金をしまって」うん。「財布は鞄に戻して」うん。
で、それを投げた。投げた!?

これはカリdeステにありがちなことなのですが、みんなよく物を投げるんです。結びの一番かよ。
でも原作ではふみやと天彦しかいないシーン。投げられたトートは台所の裏に飛んで……「パシッ」誰かがキャッチした!

性のパートの引きからこっそり台所の裏に隠れていた大瀬だ!
『正邪』の流れとして大瀬が出るのはセオリーですが、まさか最初から話を聞いているリライトとは。恐れ入りました面白いです。
パート中ずっと台所の裏でこそこそしているのが見えていましたが、トートが飛んできたときだけすごく躍動感があってツボでした。

あと『自愛』のリライトもよかった!
テラくんはたびたび鏡を割りますが、舞台の道具である鏡をいちいち割ることはできないので「どう演出するんだろうなあ」と内心楽しみにしていたんです。

鏡の下敷きになっていた……。

ナイス改変に心のいいねを100万回押しました。なるほど!要は(もう1人のテラくんによって)テラくんの身動きが取れなくなればいいのです。天才か。

テラくんの挙動、かわいくてかっこよくて綺麗でまさにテラくんそのもの!素敵でした。鏡の下敷きになってから1拍置いて鏡をギュッと抱き締めるところとか、猿ちゃんをまんまとこき使うところとか。
テラくんのワンピース衣装を着こなせる人間がテラくん(2次元)以外にいたなんて信じられん。いるよ〜!テラくん(3次元)!

自愛パート、テラくんもさることながら、置いてけぼりにされているふみやと依央利もかわいいんですよね。最後置いてっちゃうところで「またダメでしたね〜」「これで5回目か」って言っててなんかツボでした。

舞台のふみやは原作に寄るというよりも「伊藤ふみやという概念に寄る」感じで、最年少19歳のクソガキっぽさと人を妙に納得させる思考の異質さとを併せ持つ独特の雰囲気がたまらない最高の仕上がりでした。

特に『自愛』ではさっさとお出かけしたい年相応の反応が見られてかわいかったです。ボイスドラマでは感情を声に出さない感じですが、舞台だと(それを踏襲しつつも)結構表に出してくるのが「伊藤ふみや、実際にいたらこんな感じか」というリアルな質感になっていて個人的に感動しました。

そして舞台版依央利、かわいすぎる。
かわいくてびっくりしてしまいました。巷(Twitter)で「血色の良い依央利」「とぅるとぅる」と話題だったのですが、実際目の当たりにするとヤバいですね。細いし白いし、なにより一挙手一投足にキュートさが詰まっていて。原作依央利役の福原さんがイベントで見せてくれる、緩やかだけどキメには追いつくあの挙動がそのまま受け継がれていて「依央利の共通箇所」を感じました。

ケツパラガスのターンも他のキャラクターの待機中も、本当にかわいい。カリdeステ2があったら絶対に「ルリホ〜!」って言ってください。
(追記:カテコで言ってくださったらしい! 最高)

(カリdeステ2、仮に作るとしたらブレイク編とかになるのか?だとしたらこの依央利がデカい鉄球を背負うことに……?うわ絶対背負ってほしくないな。心配。依央利を気遣うハウスのみなさんの気持ちが痛いほどわかる)

余談ですが観劇後に行ったお店にいた子供のお名前が「いおり」らしく、親御さんに呼ばれるたびに脳裏に依央利がチラついておりました。将来の夢奴隷とかだったらどうしよう

『カリスマ』は本編がボイスドラマなだけあって、本編の余白を埋めるように楽しむことができるのがとても新鮮!
普通、舞台化って「引き算」なんですよ。限られた時間と限られたセット、限られた衣装バリエーションなどの中で作品を表現しなくてはならないので。簡略化したり筋を変えたり、その変化を楽しむところでもあります。

でもそれは原作がアニメとか漫画だったときの話。原作が声しかないボイスドラマだった場合、ストーリーにキャラの動きがつくこと自体が「初」なわけですよ。「足し算」なんですよ。
もちろん前述の通り舞台は原作とは少し違うものなので完全なる本編とは言いがたいですが、今まで見られなかった細かい描写がたくさん見られて幸せこの上ないです。
『服従』の理解と依央利、あんなにドタバタ走り回っていたんだ、とか。

個人的に「足し算」としていちばんだったのは猿ちゃんです。『反発』で「俺はお前にケチャップを絶対渡さねえ」と啖呵を切るところ、あんなにビシッとキメているとは。挙動が大袈裟だからこそ直後の「なんだそりゃ。子供?」というツッコミの切れ味が最高です。

わざわざ遠くに置いたケチャップを、反発して渡してしまってからもキュート。動きがつくと猿ちゃんの素直さが目に見えてわかって、ギャグとしての緩急が面白かったです。「は?ケチャップならそこに……あっ!」で大きめの声出して笑ってしまいました。

あと「かわいく手を振ってお見送り」のシーン。わたしの中では胸の前で小さく手を振る感じだと思っていました。が、まさか両手でブンブン大きく振っていたなんて……!
確かに!猿ちゃんのかわいさは明らかにそっちの方向!ありがとうカリdeステ……(感涙)

舞台で3次元化されることでわかること、めちゃくちゃたくさんあって書ききれない気がします。ヤバいぞ。

実世界に飛び出してきた理解お兄さんのヤバさでも書くか。
あの笛、実際に目の前で吹かれると予想以上にうるさいのなんの。もちろん観劇に足るレベルではありますが、非難のターゲットとして笛攻撃を受ける身ならばイライラしてたまらないでしょうね。

あと挙動がいちいち健康的で笑いがこみ上げてきます。体操選手的な「お手本のような動き」をするので、理論上正しいはずなのにどうしても面白さが勝っちゃうんです。それがまさに理解お兄さんという感じで最高でした。

『内罰』での大瀬との絡みもまた然り。
原作の『内罰』は大瀬の部屋での話ですがカリdeステは全編リビングでの出来事。ゆえにネックなのは……そう!首吊りロープの所在ですよね!

大瀬の部屋には常時ロープが下がっていても不思議ではありませんが、さすがにリビングに掛かっているとなると猟奇的になってしまいます。さあどうするのかな。わくわくして観ていたところ……

ロープ持ち込みで事なきを得ていました!

リビングに首吊りロープを持ち込み、さらにカウボーイのように紐の先をぐるぐる回して梁かなにかに引っ掛けようとしていました。西部劇かよ!普段の大瀬との挙動のギャップで不意打ち笑いが止まらず……。

しかもそこから没収したロープを理解お兄さんが丸める!投げる!すかさず鳴る「ヒュ〜」という気の抜けた効果音!向かうところ敵なしすぎる。
わたしの観た公演ではロープとビニール袋をまとめて投げる際にうまく巻けず「あ〜!まとまらない〜ッ!」と叫ぶ理解お兄さんが観られました。アドリブなのかな〜と思っていたら初演でもあったらしい!今作は自然なセリフ回しが多いのでどこが台本なのかわかりにくいのもいいですね。

舞台の大瀬くん、全体的に「躍動」していて具現化して本当に良かったなあと思いました。首吊りロープぐるぐるもそうだし、後述の事件パートで走ってやってきて決めポーズだけして帰るところもそう。

ロープがだめならとナイフを取り出すところも面白く、同時にゾッとするところがありました。本編では明らかなフィクション(ギャグシーン)として描かれているのでほぼ確実に笑いに接続する場面ですが、画面もなにも隔てないリアルの場で目の当たりにすると「こいつ本当に死ぬ気だぞ」という緊張感がひりっと伝わって、改めて『カリスマ』という作品の深さを感じました。

『カリスマ』、別に100%トンチキで構成されているわけではないんですよ。存在と非存在の狭間で聴き手に対して問いを投げかけてくる、そういうコンテンツだとわたしは捉えています。
その「存在と非存在の狭間」そのものとしてのこの舞台化、作品として非常に完成されていて芸術点が高いんです(※個人の感想)。

そして舞台オリジナルの殺人事件パート。
被害者はもちろんこの人!と言わんばかりの配役、「この中に犯人がいる!」と言わせたかっただけであろうあらすじ、この荒唐無稽さがまさに『カリスマ』って感じでした。
こんなに人数がいてキャラも立っていたら殺人事件のひとつも起こしてみたくなりますよね。わかる。わたしも身に覚えが。

まず誰もアリバイがないのが面白い。7人もいて全員単独行動なのが本当に彼ららしくて好きです。
「犯人はこの中にいる!」を叫ぶのが理解お兄さんなのも至極真っ当な配役。それぞれの動機を挙げていって疑心暗鬼になる場面で依央利が「服役のため」と言われていてむせました。確かにやりそう。でも直後の「人の役に立つ負荷がいいの」というセリフにさらに納得。依央利はそういう人だよね。
でも結局服役に魅力を感じてはいるのが「らしい」です。ご奉仕とMが同居している
あと同じく動機のシーンで猿ちゃんだけたぶんこうだったんじゃないか劇場が展開されていて恒例の流れだな〜と思いました。

「犯人はこの中にいる!」で1人1人にスポットライトが当たるシーン。リビングにいないはずの大瀬が部屋と反対側の扉から急いで出てきて決めポーズだけして捌けたのがかわいかったです。演出上の難点をやや力技で解決していくところ、もはや定評を得つつあります(わたしの中で)。

「この中の誰も、殺してない」
全員の主張が出揃ったあと、ふみやが言ったこのセリフ。こういう場合通常では「誰かが嘘をついている」前提で嘘つきを探す流れがセオリーですが、ふみやは全員の言い分を素直に捉えています。

カリスマハウスはそれぞれの信頼によって成り立ってはいますが、嘘のない関係ではありません。言いたくないことは言わないし、自らのカリスマ性を曲げることはほぼ確実に避けます。
しかしふみやはこの状況でもハウスの面々を信じました。「誰もやってないんだから、それでいいじゃん」
投げやりだし、事象の解決にはなっていません。でも彼が「誰もやってない」とはっきり言うことで、仮住まい生活のこれ以上の破綻が防げたわけです。

『カリスマ』という作品はただのトンチキではありません(2回目)。
シナリオライティング上「普通こう展開するだろう」という簡単な流れを外れ、一見悪手に見える行動であっても(そして実際に悪手であったとしても)それを選ばなければ見えなかった視点からものを見る。
正直舞台版でもこの雰囲気が味わえるとは思っていませんでした。コメディ作品としての側面が見られればそれで満足、と期待していましたがそれをはるかに超える出来でしたね。

この「若干鬱屈としたONE PIECE」みたいな作風をよくぞステージに落とし込んでくれたと思います。感謝。

あとストーリーが一段落ついたところで「次回!」と突然『コナン』次回予告のパロディを始めるの、やめてくれませんか。腹筋が持ちません。それっぽいBGMに載せた真面目な茶番に弱いんです。『たぶん自害している殺人事件』の文字列だけでもう笑える。昨今よくあるラノベ系出オチタイトルっぽいのもポイント高いです。

オリジナル2本目の『さよなら伊藤ふみや』も良かった。家を出ると言い出したふみやを引き止める、という『さようなら』に類似した入りパターンですが、引き止める言葉をかけたカリスマたちが撃退されていくさまは『ゼリー』に似た趣があってコメディと真面目さが良い塩梅にミックスされていました。

依央利の勧誘、断ったのは意外でした。ふみやはああいうのに飛びつくタイプだと思っていたので。でもそうか、一生奴隷でいてもらうのは「重い」のか……。
カリスマハウスでの生活はあくまでも「仮住まい」。伊藤ふみやはこの生活を「破壊」するのは嫌だけれど、いつかは「終わる」ものだと認識していそうですよね。だから一生の奴隷になってもらっちゃ困る。そんなに依存してもらっても困る。

いい感じだった猿ちゃんの引き止めが反発のカリスマ性によって真逆の方向に舵を取っていくシーンで引き笑いが爆発しました。わりと本気で「猿ちゃんがんばれお前ならやれる」と思っていたので。お笑い鉄板ネタなのに今初めて観たみたいな新鮮さで笑えました。

今気づいたのですがカリdeステってお笑いライブだったのかも……?

そして大瀬の引き止め。「大瀬くんが動いた!」って理解お兄さん、そんな「山が動いた」みたいな言い方。でもわかる。もしこの話が『ゼリー』後のことなら「ふみやを言いくるめられるのは大瀬」という認識があってもおかしくないですね。

結局引き止めるまでもない話だったというオチですが、個人的には大瀬が渡した絵をふみやが「置いていった」ことが気になりました。「大切にする」というセリフがありながら、置いていく。しかも出ていく直前に猿ちゃんに渡してすらいる(突き返されたけど)。

わたしなりの解釈ですが、これは「今はまだハウスを出ていくときではない」というメッセージだと思いました。もちろんこれがみんなが危惧したような別れのときだったら、鞄に入れて持っていったと思います。

でも旅だよ?絵持っていっても邪魔じゃん。

劇としてエモーショナルにするならば「あなたの絵(=気持ち)と共に旅をしよう」となると思いますが、これは『カリスマ』だし相手は伊藤ふみやなのです。帰りはたんまりスイーツを手に入れてくるはずの伊藤ふみやなのです。
心のこもった贈り物であっても、邪魔なら家に置いていくはずです。
家に。

「家に」置いていったのです。
帰るはずのない家にものを置いていくはずがないのです。今玄関から出ていったとしても、必ず帰ってくる。シェアハウスメイトが帰宅するなんて当たり前のことに思えますが、当たり前だと言いきれないからカリスマたちは焦ったのであって。
ミステリアスでどう行動するか読めない伊藤ふみやという人間に対し、唯一の決定事項「帰ってくる」が与えられたシーンだったのかな、と思いました。
「お前らの分も買ってきてやる」という言葉もまた、然り。

エピソードの帰結としてすごく綺麗だな。結局彼らは内部分裂することもないしどこにも行かない。トラブルもたくさんあるけれど、なんだかんだ一緒にいる。劇のラストとして、『カリスマ』という作品の表現として、美しくまとまっていました。

ここで舞台は一区切り。最後はライブパートでお別れ!
ライブパートはカリdeステのメインテーマ(フニクリ・フニクラサンプリング)のほかに3曲。猿ちゃんテラくん理解お兄さんのエクササイズ、天彦依央利のケツパラガス、大瀬ふみやのデス会議でした。

ゲネプロ動画のときから「なんだ?このエクササイズってやつは」と思っていましたが、実際に観てみて「やっぱりなんなんだ?」と思いました!
やろうと思えばエピソードに絡めることもできたはずなのにあえて謎エクササイズに走るこの作品が大好きです。

「先生お時間いいですか」はまだ、まだわかる。ギャルピとトリケラトプスでなにもわからなくなりました。

理解お兄さんの腕がピーンと真っ直ぐ伸びているのがとても理解お兄さん。たぶん小学1年生のときに交通安全教室で習った「横断歩道は手を上げて渡りましょう」を25歳になった今でも実践しているのでしょう。手を上げるのには理由があるのよ身長178cm草薙理解さん。

テラくんはギャルピなどしなくてもナチュラルボーンテラくんのはずなのに、凡人たちに向けてのビューティーレクチャーをしてくれるのが優しい。ギャルピに今ならウインクもお付けして68万円送料無料となっております。安いね!
舞台版のテラくん、なんとなく原作よりも可憐な感じがしてめちゃくちゃ好きです。そのためこのエクササイズシーンのテラくんピクチャーが頭から離れません。破壊力強め画像。

そして問題のトリケラトプス。
「トリケラトプス!ぶっ倒すぞ!」
トリケラトプス……ぶっ倒すぞ……?
ちょっと待て猿川慧。ツッコミどころが多すぎて。まずなぜトリケラトプス?「猿」とか「ウルフ」とか動物モチーフが多い猿ちゃんですが、さすがに絶滅動物はお初です。草食恐竜だし。しかも「ぶっ倒す」らしい。トリケラトプスに一体なんの恨みが。
ないのか。恨みとか脈絡とか特にないからぶっ倒すのか。反発かな。

と思ったらこれ、元ネタあるらしいですね。
範馬刃牙の必殺技「トリケラトプス拳」らしいです。腕の振りも似ているので確定ですね。ネタの入れ込みに余念がない。猿ちゃん刃牙好きなのかな。

でも猿ちゃん、トリケラトプス拳はトリケラトプスをぶっ倒す技ではないのよ。
刃牙は読んでいませんが、調べて得た情報だと「トリケラトプスを真似た拳法」なのでむしろトリケラトプスは仲間か師匠みたいなポジションです。トリケラトプス「と」(もしくは「で」)ぶっ倒す。
でも猿ちゃんはトリケラトプス「を」ぶっ倒す。もしかしてこれ、漫画の内容にも反発してる?多重のボケすぎて伝わらん。人間を置いていくことをなによりの楽しみにしていません、このコンテンツ?

2ndシーズンでは猿ちゃんがトリケラトプスをぶっ倒す回があるのかもしれません。むしろあってほしい。逆輸入してほしい。

次はケツパラガス。ケツパラガスといえば天彦の代名詞ですが、元はといえば依央利も居合わせたネタでした(『買い物』)。『カリスマ ワールド エキスポ』の性のパビリオンを彷彿とさせる今回のケツパラガスは、歌パートの中にケツパラガスパートが組み込まれた感じのinマダガスカル。「買い物」+「ブギ」は笠置シヅ子の『買物ブギー』の踏襲ですね。洒落が効いてる。

ところでこのカリdeステ、ここが初ケツパラガスではないんですよ。劇の中でもケツパラガスのタイミングがあって、早口言葉は1度やっているんです。そしてライブパートで2度目のケツパラガス。演者さんを殺す気か!
それなのに澱みなくクリアするのですからとんでもないことです。わたしにはノーミスに聞こえたのですが間奏のところで「依央利さんちょっと間違えましたね」「やっぱり難しいですねこれ」とやりとりしていたのでなにか間違えていたらしいです。凡人にはどこだったのかわかりませんでした。すごい!

そして件のやつ。エクササイズは完全新規。ケツパラガスは劇中でも触れられた『買い物』から。……でも『デス会議』は劇中でミリも触れられていなかったのになぜ楽曲があるんですか!?

ゲネプロ動画を観ていたので『デス会議』のシーンがあるのは知っていました。でも劇パートで触れられなかったので「日替わり演目なのかな〜」と思っていたんです。ライブパートねじ込み、そんな芸当が許されると思っているんですか?めちゃくちゃ許す――――

「2人でやってるPerfume」という前評判は耳に入っていたのですが、わりとしっかりPerfumeでした。よく聴いたら放送コード的にアウトなPerfume。
「ちょっと面白く死にたい」「OKシンキングタイム」のシュールさ。シュールだけど美的感覚に訴えるところもあって、デス会議独特のあの雰囲気がそのまま曲になった感じでした。月蝕會議さんの素晴らしいお仕事。

原作の曲の傾向(ソロ曲準拠)としては大瀬は高音域でのBPM遅め、ふみやはラップですが、ちゃんとそれが反映されているのがすごい。両方のメロディ傾向をドッキングさせて活かしあっています。というか大瀬のこの高音域、舞台で再現できるんですね。感動しました。

原作タイトルは『デス会議』ですが今回の歌詞は「デスサミット」。それもうデス首脳会議ではないですか?デスの首脳って、なに?(存在しないダイナゼノンのサブタイトル)

4月2日マチネ、カテコは2回でした。みんなお別れをしてくれたあとにそれぞれの扉に帰っていくところで「もう終わっちゃうのか」とちょっと切なくなりました。なにか耳打ちされるまで絶対にお辞儀しない猿ちゃん(依央利とテラくんが1回ずつ耳打ちしていた)、天彦の部屋の扉を開けてあげる依央利など最後まで見どころたくさん。

みんながいなくなったあとふみやだけ残り、最後のお辞儀。これがもう「The・伊藤ふみや」でした。
客席に向き直り、ポケットに手を突っ込んで仁王立ち、そのまま腰を折って深めのお辞儀。この深さのお辞儀でこんなに誠意が感じられないことあります?こんなに義務っぽいこと、あります?悪いことして「謝りなさい」と叱られた小学1年生が「ごめんなさあ〜い」とやるみたいなガキんちょ感があってすごかったです。雑なのではないですよ。誰に対しても先入観を持ち合わせないある意味のフラットさが反映された、丁寧な伊藤ふみやしぐさでした。2回も見られて幸せ。


なんと!ここで!ついに!感想を完走いたしました!褒めて……。
2000文字くらいでサラッと書こうと始めたのに結局10000字書いていて泣きました。これでもいくらか端折っているんですよ。

でもここにつらつら書いたとて公演自体を観ないことにはなにも伝わらないと思います。もしまだご覧になっていないかたがいらっしゃいましたらぜひ、ぜひカリdeステを観てみてください。
そしてそこにカリスマハウスが具現化しているというSAN値ピンチ案件を目の当たりにし、慄いてください。

みんなで観よう♪カリスマdeステージ♪

【4月2日マチネ セクシーワード】
チンアナゴ

【その他ひとこと感想】
・伊藤ふみやが理屈をこねるときの曲、現代アートのインスタレーションっぽいんだなと思った。
・甘彦は公演終了レベルの寒さ
・目に黒線の入った伊藤ふみやの画像、全凡人が求めてた。
・ステージの曲、原作同様に有名曲のサンプリング路線だったのが好き。初見の舞台でもノれる。
・フニクリ・フニクラとあともう1曲サンプリングあったはずなのに思い出せない。なかったのかもしれない。【追記:ありました。『おおブレネリ』でした。全体曲2パターンありました。ヤッホッホイでした。】【さらに追記:全体曲3パターンでした。アルプス一万尺もありました。大盤振る舞い?】
・理解お兄さんのコスチュームってあんなにセクシーでしたっけ?
・AJから来たヒプ民のかたがMVのコメント欄に残した「伊藤ふみやって人はラッパーなんですか?」という質問が個人的にツボだったのですが、舞台見て思いました。彼はラッパーなんですか?
・「せかい・せくしー・たいし」が原作そのままのふにゃふにゃフォントで+100000000点。
・ダンス用ポールがずっと出ているのでことあるごとに演者さんが遊んでいた。
・全員曲のときだったかな?大瀬がこっそり自室に戻ろうとするのを「ダメダメ」というように引き止めて一緒に踊らせる依央利がいました。
・「ヤッホーカリスマDays」のときに手拍子を促してくれたテラくんの美しさが今でも目に焼き付いて離れません。
・デスサミットの背景映像、既視感があるな〜と思ったらテクノ法要だった。大瀬の一周忌はテクノ法要にしてくれませんか
・大瀬から没収したナイフに映る自分に見とれちゃうテラくん
・天彦のパートで劇場全体が爆笑しているのがわかってすごかったです。天彦を観るためだけにチケット買ったっておつりがくる。
・で、セクシー体操ってなに?
・カリスマハウスにテレビがない矛盾の話、個人的にはふみやの外出理由が結局謎のままになるという点においてめちゃくちゃ好きです。原作にありそう。コメント欄で指摘されてヒェッとなるやつ。
・観劇時「せめてなにか主張していこう」と思って青系の服を着て物販待ち時間に人間失格を読んでいたのですが、妙〜に死にたくなったのであそこには湊大瀬の生霊かなにかがいたんだと思います。ライブでよく日向さんに憑いてるあの
・帰り道ですれ違った女子高生がわたしをチラッと見て「○○ちゃんそういえばカリスマって知ってる?」と隣の子に話しかけ始めたのですがわたし一つもグッズとか身につけてなかったんですよね。あの感じだとステに行くわけでもなさそうだし、わたしそんなに凡人感滲み出てましたか?
・端の席だったのですが間違えてペンライトつけちゃったり退場時に目薬ケース落としたりとはちゃめちゃにご迷惑おかけしてすみませんでした。お隣の優しいお二人様のおかげで楽しく観ることができました。ありがとうございました!!!

みんなカリdeステ観よう!!!以上!!!

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