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(2)ロボット三原則なんて、ぶっちゃけありえなーい?

A:この操作してる男がもうアンドロイドなんです。

服部:こめかみに丸いのがついてるのが目印なんだ?

A:そうです。もう外見上の差異がないので、LEDと制服の着用が法律で義務付けられているという設定です。
 暴走したアンドロイドが人質をとって立てこもっており、彼(コナー)はネゴシエーターとして投入されます。まず隊長さんにご挨拶しましょ。

服部:このアラン隊長というのは?

A:デトロイト市警SWATの隊長ですね。

服部:ああもうここが現場なんだ。コナーもSWATの一員ってこと?

A:コナーはアンドロイドの最大手企業から派遣されたプロトタイプです。人質交渉や警察捜査の補助ができるレベルのアンドロイドが実用化されている世界です。

服部:へーぇ

A:こちらのコナー君が実に多機能でして、こうして周囲をスキャンすると手がかりをマークできます。で、このガンケースを調べますと、銃の種類が推測でき、弾丸から合致したものだということがわかります。条件が揃いますとシミュレートを開始し、アンドロイドが主人の隠し持った銃を使って立てこもったらしいということがわかるんです。

服部:凄いなぁ。あ、そうか、ここが人質の自宅なんだ。他所から押し込まれたわけじゃなく。

A:この家の家政アンドロイドが暴走したんですね。変異体といいますが。こちらで死んでらっしゃるのがご主人です。まあ顔から身元の照合なんかはお手の物で、銃創から内部の負傷具合もわかります。肺上部、腎臓、肺下部に出血。即死ですね。でも正面から撃たれているということは……はい再現シミュレートしますと、振り返ったところを撃たれたらしい。背を向けて何をしてたんでしょうかご主人は?はいシミュレートをすすめますと、手に持ったものを撃たれた際落としたようで……おやあんなところにあった。

服部:なるほど

A:どうやらアンドロイドは買い換えられる予定だったんですね。逆ギレでしょうか。

服部:この真ん中で倒れてる警官は人間?

A:人間です。ここで出るアンドロイドは犯人と彼だけです。

服部:アンドロイドは死なないのか。

A:んー本作の大きなテーマですねそこは。で、この警官も調べますと……撃った瞬間女の子はいたようですね。で拳銃はここに転がったと。ちょっと面白いと思ってるのがこの部分なんですが、当然アンドロイドがチャカなんざ持っちゃならねぇって法律ができてるわけですよ。画面に出ましたが。

服部:ああこれね、はいはい。

A:でも……わかります?手に取るか戻すかが選択できるんです。アンドロイドであればプログラムで武器を持たせないようにできそうなのに。これがゲームの演出か作家のこだわりかというのが興味深い。

服部:なるほど。手に取ったら彼も狙われるの?

A:いや、このように素知らぬ顔で隠し持っちゃいます。

服部:ああ隠すんだ(笑)

A:そしてもう一つ物語の鍵になるのが、床に落ちてるアンドロイドの血液『ブルーブラッド』です。情報媒体でもあり、アンドロイドのシリアルナンバーまで……

服部:今舐めたよね?(笑)

A:分析するんです。

服部:ああ舐めて分析するんだ(笑)

A:この仕草が女性ファンのハートを掴んじゃいまして。

服部:女性プレイヤーもいるんだ?

A:めっちゃいます。二次創作界隈とかもえらい騒ぎです。

服部:いつ発売したのこのゲーム?

A:最近です。半年経ってません。

服部:そんなに経ってないのにゲーム業界では話題になったんだ?

A:とんでもないゲームが出てきたと。

服部:とんでもないか。確かに。今PS4だとこのクオリティのCGでずっと映せるんだねぇ。昔はデモムービーくらいだったじゃない?

A:FFとかバイオハザードもそうでしたね。要所要所だけクオリティ高いムービー流してあとは紙人形って。

服部:今全編これ?

A:全編これです。

服部:映画だねーもう。

A:さあ外に出て犯人と直接交渉です。おっと撃たれた。

服部:こいつ堂々と撃ってるけど、アンドロイドにロボット三原則は適用されないの?(笑)

A:そこなんですよねぇ。よもやロボットじゃないですよってことでもないでしょうが。

載せずにいられませんでしたほんとーにすみませんm(_ _;)m

服部:まあロボット三原則自体いい加減なものだよね。

A:いい加減ですか?

服部:それを止めるプログラムなんてできるわけないじゃない。

A:SFの聖典のように扱われてますが。

服部:あれは全く恣意的な、何の意味もないものです。人間の都合にあわせてアシモフの言った通りにしてるだけ。それが完璧にできるロボットは人間を超えてますよ。
 人間だって自己保存のために相手を殺せるかなんて結論は出ない。そもそもロボットは自己防衛本能を本質的には持ってないわけでしょ?人間の場合は子孫を残すという本能的力学で動いてるけど、ロボットは壊れたら直せばいい。不可逆的なものがないんです。

A:そうかぁ。

服部:例えば永遠に死なない人がいたとして、そういう人には事件も事故も関係ない。絶対的な終わりがなければ、守るものがない。でも人間はそうじゃない。そうじゃないものが終わりがないものに人間を殺しちゃいけないなんて制約をしたって無理でしょう。死を理解しているから、人間の間では人を殺してはいけないというルールが成り立つけど、死を理解できないのだから、殺すことも理解できない。

A:……。

服部:もしアンドロイドが死を恐れるなら、相手を殺さないということも理解できるかもしれないけど……この犯人は変異したことで感情を持ち、人間を殺してまで生き延びようとしたわけでしょう。

A:今犯人は言いましたね。死ぬのは嫌だと。

服部:壊れる(≒死ぬ)概念を持ったということを、人間に当てはめているんだろうけど、ここでアンドロイドがいかに定義されているかはわからないけど、自己防衛というのは自己が滅びることを明確に意識しているから防衛という意識も生まれる。
 ブレードランナーなんかもそうだよね?自分の有限性が生まれると、今まで修理すればいいと思っていたのがそうではなくなり、凶暴になる。有限でなければそうはならない。有限性を理解できない限り、相手を守るとか殺すとかいう議論もないでしょう。

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ロボット(工学)三原則
 アイザック・アシモフのSF小説『我はロボット』に登場する、ロボットの規範を定めたもの。
第一条・ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条・ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条・ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
ブレードランナー
 82年公開のアメリカ映画。人間社会に紛れ込もうとする人造人間(レプリカント)と、その専任捜査官の追跡劇を描き、サイバーパンクの意義を確立させた傑作SF映画。

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