大学受験 出願相談
私は教育業界に関わる中で、これまで塾講師として働いてきた経験があります。
多くの塾や予備校の先生方、また高等学校の先生方もされているように、
私も受験生からの「どの大学に出願しようか」という出願相談にのることがありました。
自分自身で志望校や出願校を考えられる受験生もいますが、特に塾や予備校に通う受験生や保護者の多くは情報を求めています。受験生に携わる者としては、入試方式や、どんな大学・学部・学科が存在するのかといった情報は提供できるように備える必要があるかと思います。
ただし、受験生や保護者の中には
「どこを受験すればいいですか?言われたところを受験しようと思います。」
と、全てを塾や学校任せにしようとする人もいるので、こちらとしては情報は提供しつつ、それを受験生自身や保護者でも確認して決めてもらうのが原則だと思います。
いろんな多くの受験生や保護者と話をしてきた経験から、【大学受験の出願相談について思うこと】を書いてみたいと思います。
私個人としては、塾や予備校は「○○大学に合格したい!」という受験生にどれだけのサポートができるのかが大事だと思っています。
たとえ合格の可能性が低く、厳しくても、受験生自身が諦めていないのに、指導する側が諦めてはダメだろうと。
『合格するためにはどんな勉強をどれくらいする必要があるのか』を共有して、「めざすのであれば一緒にがんばろう!」という指導のできる塾や予備校が多くあってほしいと思っています。
逆に、「あなたの成績だと△△大学だよ」という指導をすることはしないでほしいと思います。
ただしなかには(言い方が悪いですが)口だけは目標が高く、しかし行動が伴っていない受験生もいるので、そういったケースではきちんと話し合いをして、何を目標とするのかもう一度確認していく機会を作ることが大切ですが。
基本的に選択権は受験生自身(とその保護者)にあるべきだと思っています。
もう何年も前の話になりますが、印象深い受験生の話をさせてください。
その受験生は大学受験浪人1年目でした。
その受験生は2つの大学(A大学・B大学とします)で出願を迷っていました。
A大学が第一志望で、B大学と比べて難関です。
一方、B大学は高校生の時に受験して不合格になった大学です。
A大学でも合格の見込みはあったのですが、確実なことなんてありません。本人としては不安で仕方がないというのが正直なところだったと思います。
実際、出願締切のギリギリまでこの2大学で悩んでいました。
でも最後は「何をめざして努力してきた(浪人の)1年間だったのか」という思いを勇気に変えて、A大学に挑戦しました。出願を済ませてからは、これまで以上に努力を積み上げていました。
結果、第一志望のA大学に合格。
仮にB大学だったとしても十分にすごいことだし、A大学に挑戦しなかったからと言ってもそれまでの努力が無駄になるなんてことはありません。
塾・予備校の都合としても、もしもA大学が不合格になってしまうよりは、少しでも可能性の高いB大学に出願させる方が良かったのかもしれません。その受験生にとっても、A大学に挑戦はしたけどダメだったという結果よりもB大学を選ぶ方が現実的だったのかもしれません。
しかしその受験生は挑戦しました。
そこでこう思いました。
きっとこの先、もっと重大な選択肢を目の前にしても、この生徒は「挑戦すること」を選べる人なんじゃないかなと。
こんな受験生に対してできるサポートといったら、本当にちっぽけなものかもしれませんが、
一緒に悩んで、どうしたいのかに耳を傾けて、後悔のない選択を最大限応援すること、
さらには万が一の時のセーフティネットまでも一緒に考えておくことだと思います。
ここでどれだけ多くの時間を割いてあげられるかが、受験指導の要ではないでしょうか。
合格発表の日、発表の時間になってすぐにくれた電話口での安堵を含んだ涙声は、私にとっても大きな自信になりました。
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