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海外駐在前に読みたいおすすめ書籍 #5 - 「具体⇔抽象」トレーニング 思考力がアップする29問

自己紹介

ご覧頂きありがとうございます。新卒で食品会社に就職し、営業職を経験したのちにアメリカの子会社に赴任。約10年間海外駐在しています。
自分自身への備忘録も兼ねてアメリカでの体験や自身の考えをnoteに残していきたいと思います。同じ境遇やこれから海外に挑戦したいという方にとって少しでも参考になれば幸いです。

はじめに

読書というのは自分ではない誰かが人生をかけて得た知識や経験を疑似体験できる非常に素晴らしいものだと思います。

海外駐在に向けては渡航する国によって、すべき準備は変わってくると思いますが、読書は渡航先に関わらず大きな助けにとなると考えています。

自分自身が実際に読んで、これは海外駐在前に知っておきたかったなと感じた書籍を紹介させていただきます。

おすすめ書籍#5:「具体⇔抽象」トレーニング 思考力がアップする29問(細谷 功著)

この書籍は創造力、問題解決力、分析力を高め、幅広い分野での思考力向上に役立つ良書だと感じます。

ではなぜ本書が海外駐在員にとって示唆に富む書籍となりえるのでしょうか。私がそう考える理由は2点あります。

理由①:海外においては前提を疑うことが重要

「日本の常識は世界の非常識」とはよく言ったもので、日本は世界的に見て特殊性の高い国家だと感じます。当然その環境下で育った我々日本人は知らず知らずに、特殊性の高い前提で物事を理解しようとします。

それを認知バイアスと呼んでもよいかと思いますが、海外においてはその認知バイアスを意識せずに物事を理解しようとすると、本質を見誤ってしまうリスクがあります。

もちろんどの国においても認知バイアスというものは存在するもので、認知バイアスを持っていること自体が問題ということではありません。問題なのは認知バイアスを持っているということを意識せずに異なる前提の中で判断をしてしまうことです。

そこで具体⇒抽象というプロセスで物事を理解することが海外ではより重要になってくると感じます。この具体⇒抽象は帰納法的なアプローチと言ってもよいと思います。

帰納法とは具体的な事例や観察から一般的な原則や法則を導き出す方法のことを言います。つまり実際に起きている事象から、その背景にある前提や常識を見出す思考プロセスだといえます。

そのプロセスを通じて、自身が認知バイアスというフィルターを通してどのように物事を認識していたのかが見えてくると思います。

駐在員は役割として事業に対する課題解決を求められることが多いのですが、その課題は与えられるというよりは、自ら見出すことを求められます(事業ステージにもよるとは思いますが)。言い換えると社内の蓄積や情報が限定的な海外では何が課題なのかも把握できていないことが多いとも言えるかもしれません。

その時に大きな力となるのが具体⇒抽象(≒帰納法)的アプローチだと感じます。いくつかの関連する事象を見て、そこに共通性を見出してここに課題があるのではないかと課題の場所を特定するプロセスが重要になってきます。

理由②:コミュニケーションスタイルの違い

また駐在員の役割としては、事業課題を見出したらそれで終わりではなく、それらの対策を戦略に落としてこんでいくことが求められます。

その段階に入ってくると、今度は今までの逆で抽象⇒具体(≒演繹法)的なアプローチが重要になってきます。

我々が日本人としての認知バイアスをもっているように、現地社員も同様に非認知バイアスを持っています。加えてアメリカ社会は、ハイコンテクスト社会である日本とは真逆で様々な文化背景を持つ国民で成り立っているローコンテクスト社会です。

出典:https://www.academyhills.com/note/opinion/14070204Rochelle_Kopp.html

そのような環境下では”以心伝心”を期待することは不可能で、具体⇒抽象(帰納法)的アプローチで見出したコンセプトを抽象的な概念や指示で終わらせず、明確なコミュニケーションをベースとした戦略や戦術に落とし込む必要があります。

それが不十分だと上司は部下に対して、なぜ動かないのだ?と感じ、部下は上司に対してなぜ指示を出さないのだ?と感じ、相互に不信感を募らせることになってしまいます。

最後に

具体⇔抽象化する能力はすべてのビジネスパーソンが持っておくべき普遍的なスキルではありますが、なぜそれらが海外駐在員でより重要になってくるかということを考察させて頂きました。

本書を通じて具体化と抽象化を自由自在に行き来できるスキルをトレーニングし、日々それを実践することにより、分析力や仮説設計力、最終的には課題解決力につながってくるのではないでしょうか。


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