#18 やりたいこと・向いていること

 どこかのだれかさんと、あえて同じタイトルで書いてみる。


 この間ふと、そういう話になったのだ。たまたま同じ世界に足を踏み入れた僕と知り合いの彼とで、「SEとして技術特化の人間orマネジメントの人、どちらになりたいか?」と。

 恐らく、ここで大半のSE見習いは「技術特化の人」と答えるのではないだろうか。自分もそうだ。SEという職業は大雑把に分類すれば技術者。高い技術を持つ人に憧れるのはある意味当然だろう。勿論マネジメントというポジションを甘く見ているわけでは無い。優劣の問題では無く、あくまで方向性の話だ。

 彼も同じ考えだったようだが、少し違っていたのは彼が「自分はマネジメントの立場に向いている」という意識を持っているらしい。なりたいものと向いているものが違うと、そういう話のようだった。本当かどうかはさておき、本人がそう思っているのなら恐らくそれはあながち間違いでは無いのだろう。俺はお前にマネジメントされるのなんか嫌だな、と思ったけど。

 でも、「やりたいことと向いていることが違う」というのは往々にしてあることだと思う。野球は打てるやつが1番すごいと思っているけど、実際にいつも評価してもらっていたのは守備能力だった。科学に興味があって、その道に進めたら楽しいだろうなと思っていたけど実際はがっつり文系だ。最初の問題だって、自分のなりたい道が向いているのかは分からない。

 ただ「なりたいものを目指す」ことは重要だと思う。マネジメントをすることになったとしても、技術が要らないわけではない。「どうせ技術特化にはならないし」という人とそれを目指した人との間にレベル差が生まれるのは容易に想像がつく。頑張った結果なりたいものになれればそれも良し。もっといえば、「今はマネジメントの仕事してるけど、技術専門になれるように努力は今もしてるよ」なんて人は能力的に最強だろう。よほど道を間違えない限り、「なりたいものを目指す」ことは無駄にならない。


 この話を考えていて、ふとサッカーの長谷部誠選手が思い浮かんだ。長谷部は37歳になった現在もヨーロッパの第一線で活躍していて、強みであるその司令塔としての能力は、ヴォルフスブルクのフェリックス・マガト元監督(長谷部をヨーロッパに連れてきた人)をして「彼は唯一、チームを導ける日本人選手だ」と評価するほどである。ちなみに僕は日本人選手で長谷部が1番好きだ。

 今回の話でいえば、長谷部は間違いなくマネジメントの人だ。ゲーム全体を俯瞰してその舵取りを責務とし、自ら積極的にゴールを狙うようなプレースタイルではない。しかし、長谷部自身それを目指してそうなったのかというと、そうではないのではないかと思う。『心を整える』を読む限り、もっと他になりたい選手像が実はあったんじゃないかと、そう思う部分がいくつかあるのだ(読んだのだいぶ前だからもしかしたら違うかも)。だからこそ、ただバランスよくプレーできるだけではなく、全てを高水準にこなせるユーティリティプレーヤーでいられるのだろう。


 最初の話に戻ると、結論としては「技術特化の人になりたいのでまずはそれを目指します」ということである。それが向いていようが向いていまいが、とりあえずはなりたいものを目指す。その後どうなるかは知らない。



…………こんな感じでどうだろうか、知り合いの彼。

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