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タイミーに入社し、プロダクトデザインチームを組織化するために実行したこと

【宣伝】タイミーではプロダクトデザイナーを募集しています! ご興味のある方はぜひお話しましょう!
カジュアル面談(YOUTRUST) 

こんにちは、横田です。2024年2月、タイミーにプロダクトデザインマネージャーとして入社しました。

タイミーには、コミュニケーションデザイングループとプロダクトデザイングループが存在し、それぞれマネージャーが在籍しています。
私はハーフコミットの2週間と、正社員3週間がたったところで、プロダクトデザイングループの組織化キックオフをおこないました。ここまでにとったアクションを紹介したいと思います。

これまで一緒に働いてきた方には、元気でやってますということで読んでもらえたらと思います!

最初は最初で大変

さて、最初のミッションはマネージャー不在だったデザイナー組織を組織化するというものでした。お任せくださいといって入社したものの、インプットすること・考えることが盛り沢山です。

  • このポジションはこれまで存在しなかったため、組織運営の戦略をたてつつ自分で業務定義をおこなっていく必要があります。

  • そもそも、組織化とはなにか?なんのためにするか?どうやるか?を外部環境・内部環境・中長期的ビジョンをふまえて設計する必要があります。

  • これらのプロセスに必要な情報は、個社の職種組織である以上は、他社事例をそのまま転用することができず、また職種特有のナレッジも社内にはありません(あるか自分しか判断できません)。必要なサポートと情報を自分で探索・調達する必要があります。

なんといっても、序盤で組織の文脈をゼロからキャッチアップすると同時に、必要な情報を収集し・ビジョンをみたて・伝達する活動はそれなりに負担が大きく、入社いきなりクライマックス感があります。

マネジメント能力・リーダーシップのあり方はすでに参考にすべきいろんな考え方があります。
しかし、最初期にどう行動するかが重要であることは明らかでありながら、そのアクションについてはあまり言及されることがありません。マネジメントキャリアを経験する個人が試行錯誤する中で秘めている要素といえます。

デザイナー組織の組織化は過去にも何度か取り組んだことがあったり、入社前にそれなりに考える時間があったりしたので、ある程度行動の段取りをかためて取り組むことができました。

ということで、個人的に仕込んで臨んだことをアウトプットしてみようと思います。いうまでもなく組織化・組織運営は長期戦であり、まだスタートにたった地点です。
この記事に書いてあることのいくつかはもしかしたら見直すこともあるかもしれません。引き続き学びながらメンバーとがんばっていきたいところです。

トランジションに直面するマネージャー

まず、最近のインプットでよいレポートがあったので紹介したいとおもいます。

EYと立教大学は、内部昇進ではなく外部(会社・部門)からやってきたマネージャーを「トランジションに直面するマネージャー」として、短期・長期の成功要因をリサーチしたレポートを公開しています。

要点
- マネージャーが成果を上げるには、マネジメント行動の内容それ自体よりも、着任前か着任後かなど、どのタイミングで行動するかが重要である。
- マネージャーが短期的な成果にとどまらず、中長期的に成果を上げ続け、組織の持続的成長を実現するには、メンバーへの働きかけと育成を通じてマネージャー自身のキャリア充実を図ることが重要である。

https://www.ey.com/ja_jp/workforce/conditions-for-managers-who-can-deliver-results-early-on

リサーチでは部長以上、10-300名以上をみるマネージャーを多く割合に含んでいるため、組織成功のプレッシャーがかなり高い状況下のマネージャーを分析していると捉えています。

このリサーチはサンプルが極端に多いわけでないものの、個人的にも過去の経験から納得感が高い内容が多く、明確なメッセージを含むアウトプットでした。マネージャーを受け入れる組織が心得るべきエッセンスが語られていると同時に、マネージャー本人が必要な支援を取り付けていく指針も利用することができます。

『立教大学・EY協働のマネジメント行動研究調査レポート』p5, 2022, EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
『立教大学・EY協働のマネジメント行動研究調査レポート』p6, 2022, EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社

詳細はレポートを参照いただくとして、エグゼクティブサマリー①にあげられている項目を私なりの言葉で記述してみます。

成果を上げているマネージャーに共通する行動

  1. スタート前ダッシュ - 期待されていることを明確に認識し、長期・短期のビジョンを明確に伝え、周囲から必要な支援を引き出すこと。

  2. 臨機不変 - 組織化されていない状態からの変化を要請されているので、現状をそのまま受け入れるのではなく、スタンスを主体的に設定し表明すること。

  3. 人知れる努力 - 諸政策をリードするために必要な実務能力を顕現させ認知してもらうこと、自ら率先して取り組む姿勢を示すこと。

成果を上げやすい組織カルチャーのキーワード

  1. 組織の連帯感 - チーム内・内外の連携の質が諸活動のレバレッジにきく。

  2. 周到な準備 - 新入社員は何が何だかわからないところからスタートなので、仕込みはぬかりなくやりきることが有効。

  3. 情報の透明性 - 新しいプロセスの導入と巻き込みには、積極的な開示姿勢と明確な伝達が重要。

モメンタムをぶちあげる

よい取り組みを考えるのと同じぐらい、勢いや雰囲気を作っていくこと自体も大事です。
最初はしばらく様子をみて……というはじめ方もありますが、マネージャーと言う立場で組織化を仕掛けるには、ある程度まとまったパッケージをもってして(分析と構想を一段落じっくり詰めて)早期に展開・実行することが有効だと考えています。モメンタム・機運を明確につくっていくということです。

着任した以上は、まわりはお手並み拝見というほどでないにしても、これから何が起きるのだろう?から、何も起きないという雰囲気になり、大胆なアクションが効果的に取れなくなってきてしまいます。そして、これまで存在してなかった物事に取り組むためには、相互の関連性や意図、基本的なスタンスなどの情報を揃えた状態であるほうがベターです。
さらには、初期の成功体験が必要なのはマネージャーだけではなく、ともに働くメンバーにとっても同じであり、この成功確度を速やかにあげていくことも重要です。

そういったことが実行可能かは環境によりますが、初期の特権は明確に意識してどんどん行使したほうがいいと思います。

※転職者の心構えはKashidaさんの記事がお気に入りで、都度都度読ませていただいてます。こちらもどうぞ。

前置きが長くなりましたが、次の項目から具体的にとったアクションを説明します。


初期行動の全体像

長くなるので、全体像をはじめに挙げます。当然ながら、これらは相互補完関係にあるので順番どおりにやったのではなく、同時並行ですすめてきたものです。

  1. 縦横無尽に顔合わせをする

  2. 徹底的に自己開示する

  3. 行動スタイルを選択する

  4. 組織化の意義と成長戦略を考える

  5. 組織としてやることを明らかにする

  6. フェーズを定義する

  7. キックオフをおこなう

  8. 他部門にも見えるようにする


1 | 縦横無尽に顔合わせをする

入社時の上長でDirector of Productの大歳華王志さんから「ぜひいろんなメンバーと関係構築してみてほしい」というリストアップをもらいました。これをもとに、メンバーはもとより多様な社員と1on1をおこなっていきました。
少し多すぎかもしれませんが、職種横断的な関わりが多いので本部をまたいで40名以上と会話していたようです。関係性は以下のようにさまざまです。(全員あらかじめトピックを用意してたので大変だった!)

  • 同じチーム・隣のチームのメンバー

  • 組織課題に取り組んできた人たち

  • 創業期からいてこれまでの変遷に関する情報を提供してくれる人たち

  • 自チームのメンバーと深く業務で関っている人たち

  • 自分の構想上将来コラボレーションできそうな人たち

  • 自身と共通の不確実性に直面している人たち

このように着任前から多角的にインプットをおこない、構想を練っていきます。このアクションには次のような視点もあわせて取り組んでいました。

  1. 教えてもらうだけではなく、構想や感想を伝えてフィードバックをもらう、種を蒔く機会にする

  2. トランザクティブメモリー(誰が何を知っているかという知識パス)を早期に形成する

どちらの意味でも先んじて実施するメリットがあるので、可能な限り一気に取り組んでみてよかったかなと思います(もちろん今もじわじわ広げてます)。すでに活躍している人たちを指名してコミュニケーションとり放題のボーナス期間です。

よく語られることの一つですが、新入社員が心得るべきことの一つは、自身の理想や経験則とは異なる実態に直面しても、リスペクトをもって学ぶ姿勢をもつことだと思います。現在の状態は、段階ごとに最適なアクションを探索して実行してきた結果であり、新しくやってきた者が表層的に評価を確定できるほど単純ではありません。自分のものさし自体をアップデートすることも必要です。
(余談ですが私の場合はタイミーより前のフェーズの環境で物事を立ち上げることが多かったので、生みの苦労はめっちゃ分かります…)

経緯を教えてもらって過去を追体験するほどに「すげえ……よくやりましたね」と思うことがたくさんあり、学びも多かったです。

2 | 徹底的に自己開示する

新しくやってきたマネージャーは、時としてミステリアスな存在になり得ます。(おまけに、意気込む割に注目されてもなかったりしますが!)
「はじめまして」期は新入社員の行動や反応への予測が難しいため、チームメンバーはしばしば私のふるまいに慎重にならざるを得ない場合が起きえます。
これらは日々の業務や特定の状況での反応を通じてゆるやかに解消されていきます。しかし、その過程で私を深く知る人とそうでない人との間に自然と隔たりが生じてしまう恐れがあります。タイミーのデザイナー組織はフルリモートでもあります。

このような状況を避けるためにも、自分についての情報を先んじて文書で共有することが効果的だと考えています。将来増えてくれる仲間のためにも。

そこで参考にしたのが、StripeでCOOをつとめたClaire Hughes Johnson氏が Google時代に公開した Unauthorized Guide(非公式ガイド)というドキュメントです。これをカスタマイズして6000字程度書いてみました。日本語では「自分の取扱説明書」とよばれているものに相当します。いい訳ですね。

ここには、「自分はこう考えている・このようなことが苦手・こうしてほしい」に加え、過去にもらったギャップフィードバックを含めて書きました。自分も完璧ではないのでともに成長していきたいというメッセージでもあります。

目次はこんな感じでした

「マネージャーたるもの弱みを晒すべからず」というスタイルもまた一つではあります。ただ、マネージャーはフィードバックを受けて弱みが表面化する機会がどうしても限定的なので、個人的にはおすすめです。
チームビルディングでこれのプチ版をみんなでやってみてもいいかもしれません。

3 | 行動スタイルを選択する

次に、行動スタイル・あるいはマネジメントスタイルの選択です。
マネージャーの行動スタイルはすでにいくつかの類型が知られており、状況に応じて切り替えたり組み合わせたりすることが有効です。
マネージャーは組織の状況・これまでに育まれてきた文化・自身の適性・将来の展望をふまえて意図的に行動スタイルを選択する必要があります。そして個々のスタイルには状況別にpros / consがあり、正解はありません。

過去に類似の役回りをしてきたり、それに伴う期待を寄せられてるとしても、一旦それらは全部リセットして考えました。もちろん自分の得意と必要な行動が重なっていることは一つの成功要因ですが、自分がこういうタイプである・こうしてきた、などは一つの要素にすぎないと捉えています。

例えば、次のような論点を検討することになるでしょう。

  • プレイングマネージャーとして実務に関与するか?

  • これまでメンバーが自律的におこなってきたことにレビューなどの制限を加えるか?

  • 物事をどれほど明確にしていくか?

  • あたらしく発生した組織アジェンダを誰が担っていくか?

  • 人手が不足した時やイレギュラーな事案への対処を誰が担っていくか?

  • 1on1の目的を何におくか?

  • マネージャー・メンバーの心理的関係性をどうしていくことが理想か?

  • などなど

また、実務的なところとしては、マネージャー・メンバーの関与関係については、範囲・強さを定義していくことになります。個別の業務に関する整理には、 RACI Matrix や Delegation Porkerのようなフレームワークを活用するとよいでしょう。もちろん着任時に細かく詰めきれるわけではないので、タイミーにおいては、スタンスを明確にして表明しました。

  • 組織的なアジェンダについては、初期は集権的に(つまりマネージャーがリード)し、形式化したら積極的に配っていき、分散貢献的にしていきたい

  • マネージャーはただの役割である

  • 組織はみんなで運営する

  • 一次情報に近い距離にある現場のメンバーの判断を重視する

  • 事業推進を担う職種的横断チームのイニシアチブを維持する

何らか現状がすでにあったとしてもなあなあにせずに、変えるのか・変えないのかを含めて明らかにすることは重要です。暗黙知にするべきではありません。

4 | 組織化の意義と成長戦略を考える

組織化が必要なこと自体は判明しているものの、そもそもなぜ組織化するのか・どんないいことがあるのか・どうやるのか?という整理をおこないました。
このあたりはある程度一般論ではありつつも、自分の言葉で言語化をおこないました。特に、タイミーのプロダクトデザインは組織化が途上であったものの、少人数ゆえに効率的かつ高品質に業務が遂行できている状態であった(私の評価)ため、あえて組織化の意義を明確にしたい意図がありました。

組織とは、単に集まった人々の集団を超え、共通の目標達成のためにメンバー間の役割と機能を特化しつ、統合することです。このプロセスは、集団に明確な方向性を与え、個々の努力を一つの成果に結びつけるために不可欠です。企業における組織化は、以下のような追加的な要件を満たす意義があります。

1. 主体性:組織は単なる個人の集まりではなく、独自のアイデンティティを持ち、内外部に対してその存在と意思を認識させる主体です。
2. 互換性: 効率的な活動を可能にする共通のスキルや概念を備え、たとえメンバーの変動があってもその本質を保持することができます。
3. 成長: 日々の活動を通じて、また追加の取り組みを通じて、その成果を私たちの資産として蓄積させることで、より高い目標に対処できるようになっていきます。
4. 成果: 明確な目標と成果に向け、最適な方法で目標達成を促進する構造を持ちます。

上記の成果として、デザインの職能を通じて事業に適切な影響を再現性をもって提供できる状態をつくることです。

キックオフ資料より

次に、組織の成長戦略の考え方を記述します。なぜ成長戦略がでてくるかというと、組織は時間を経れば経るほど進化できることを推定するからです。そして、稼働可能量の増加よりもより高い成果を実現することを目指します。
ここでは、システム思考の枠組みを使用して、成長の原理を表現してみることにしました。システム思考は、要素間のフィードバックからなるシステム観念から大局的なメカニズムやレバレッジポイントを発見する思考法です。

システム思考は、私たちの従来のものの見方を補完、刷新する「新しいものの見方」(ピーター・センゲ)です。
従来のものの見方の特徴は、出来事をスナップショットで見て対処すること、要素還元型の考えに基づく分析や分類を行うこと、パターンや因果を線形に捉える傾向があることなどです。しかし、こうしたものの見方では、今日の複雑性や脆弱性を増した組織システムや社会システムの中で成果を出し続けることが難しくなっています。
システム思考では、大局の流れを観ること、つながりを含む全体像を観ること、根本を観ることによって、複雑なシステムにおいてもより本質的で持続的に成果を創り出すことを意図します。

https://www.change-agent.jp/systemsthinking/
実際に描いた図

一旦いまのところは、物事の因果関係を詳細に説明することではなく(運用し始めるまでは青写真にすぎないので)、どのような要素でメカニズムを設計すべきかを見出すことにしました。
連携を増やす・チームで強くなる・貢献機会を増やす・人を増やす の4つです。
システム図があると、それぞれの因子を理論上は組織成長につながっていることを説明できたり、外在的なはたらきかけとして実行しなければならないアクションを明確にできます。

5 | 組織としてやることを明らかにする -  Organization Agendaの定義

次に、組織としておこなうアクションの全体像を明らかにします。
デザイナー組織が独自にもつべき仕事を枠組み化したものとして、Organization Agendaを設定しました(以下はキックオフ文書からの引用です)。

組織を一つの経営体とみなしたときに、組織としての活動を次のようにわけて考えてみます。組織の効果的な運営と、ミッションの実行たる事業です。

メンバーは職種横断組織にアサインされていることが多いため、職能組織に紐づく活動はややもすれば"副業"とか、任意的な活動であると感じることもありえます。まだ体系的に取り組んでいなかったアクションを明確に組織の仕事であると宣言する必要があります。
運営項目と事業項目にわけて、以下のように列挙しました。

デザイナー組織の運営

組織運営は、組織の方向性や目的を定義し、長期的な成功に向けての基盤を築くことに焦点を当てます。

  • プロトコルデザイン: 組織のミッション、ビジョン、価値観を定義し、相互に理解する。

  • ブランディング: 組織の外部および内部に対するポジショニングやプレゼンスを確立する。

  • 採用: 組織の方針やブランディングに基づき、適切な才能を引き寄せる。

  • キャリアサクセス: デザイナーのキャリアパスと成長機会を定義し、個々の目標達成を支援する。

デザイナー組織の事業

タイミーというプロダクト・会社に対してデザイナー組織が影響を及ぼす活動。

  • コラボレーション: チーム間および部門間のコミュニケーションと協力を促進し、共通の目標達成を目指す。

  • プロセスマネジメント: 効果的・効率的なデザインプロセスの継続的な改善。

  • ナレッジマネジメント: 組織内の知識共有を促進し、ベストプラクティスや学習を組織全体で共有する。

  • インサイトマネジメント: ユーザーに関するインサイトを管理し、施策レベルに活かしていくこと。

  • デザインマネジメント: 高い品質のデザインを一貫性をもって実現・維持すること。

  • ツールと基盤: 効果的・効率的なデザイン活動を支えるためのツールや基盤整備をおこなう。

(ちょっとカタカナ語がすぎるきらいがあるので変えていこうかな…?)

中身としてスタンスをとってる点があるとすれば、デザインマネジメントやナレッジマネジメントは運営項目ではなく、事業項目として挙げています。デザインの活動はデザイナーだけのものではないという考え方をしており、その上では、デザインの品質向上やナレッジマネジメントなどの働きかけはデザイナー組織のみならず全社スコープで実現していくことだからです。同時に、事業項目は他部門と協働しておこなっていくことを念頭においています。

若干オーバーラップはありながら、デザイナー組織が持つべき機能定義としては汎用的に他社でも運用できると思います。(流用してみた・改変してみたという方がいたらぜひ教えて下さい!)

これにてデザイナー組織の活動はすべて上記の枠組みいずれか、ないし複数にプロットすることができるようになりました。これらはゆくゆく、ドキュメントの整理単位や、組織目標および評価、タスク管理などへのラベリングとして活用することができます。

6 | フェーズを定義する

いま、私たちが向き合っている・これから向き合うフェーズはどのように捉えるべきかを分析します。

組織運営に関係する意図を正当化するのは、方針とファクトであり、ファクトたる状況はしばしば期間限定です。したがって、現在とその次について、過去・未来と区別してどう理解しているかを表明し、方針を論理的にサポートすることが有効でしょう。Why nowです。そして「もしかしたらこうなるかもね」といった予告や未確定事項も導かれます。典型的には次のようなトピックがあるでしょう。

  • 自組織・上位組織・全社のフェーズ

  • 競合企業などの外部環境

  • アラインするべき上位組織の方針

  • そのフェーズでトレードオフを選択するスタンス

重要な仕事として数期先の状態定義をおこない、ロードマップを作成することも必要ですが、デザイナー組織全体でつくっていきたかったのでキックオフ時点では保留しました。
前出のOrganization Agendaで挙げた枠組みをつかってやっていくことになるでしょう。

7 | キックオフをおこなう

上記で考えたようなことをすべて文書にしたため、全員で読み合わせをおこないました。1万字ぐらいになったので事前に通読を依頼しました。
みんなでワークショップ的に取り扱いたい事項がすでにどっさりあるので、インタラクティブな要素では簡単な質疑応答や感想にとどめましたが、そもそもここまでのトピックをみんなでつくっていくというアプローチをとってもいいかもしれません。

スタンスを明確にして説明したので、すでに翌日から組織スコープに関することにはメンバーからサジェストをもらえるようになりました。それらも、説明した通りに対処していくだけなので、一次対応がスムーズになった点では良かったかと思います。

8 | 他部門にも見えるようにする

せっかく組織に転換点を設けたのであれば、他部門にそのままシェアするとよいと思います。冒頭のモメンタムをぶちあげることでもありますし、今の状態を知ってもらう
そして、具体的なクイックウィンを他部門との連携のなかで実現していけたらよいかと思います。

また、組織化と同時に採用活動の本格化にも着手していますが、採用関係者に共有することができます。

おわりに

以上、トランジションに直面するマネージャーとしておこなったアクションや、組織化の初期セットアップ内容について説明しました。
初期からチームで目線を合わせ実効性をもって取り組むには、ゼロから情報の調達と構想をおこない、複合的な要因を同時に加味してトランジションを実行することが必要です。

それにしても、序盤でかなり多くの定義付けをおこなってリスクはないのかという懸念もあるかもしれません。実際には、変わらないだろう部分・どうせ変わるだろう部分にあたりをつけてグラデーションをつけてますし、肝心なことのいくつかはまだまったく見えてなかったりもします。

ここまでにあげたアクションは計画を綿密におこなうというだけではなく、EYのレポートが指摘する、周到な準備・臨機不変・人知れる努力などの初期の成功につながる行動をのせることができるプロセスだったかと思います。

私が入社した時点でのデザイナー組織は、極端に目先の介入を必要とするべき問題がなかった点、全メンバーが組織化にポジティブな受け止めで接してくれている点において、非常に恵まれた状況であったと感じています。
適切な支援やフィードバックをくれるみなさんには非常に感謝しております。

ということで、まだ自分のなかではスタートラインなので、これからみんなでやっていきです。デザイナー組織の運営の中身はまた今度。

【追記】タイミーでの働き方についてまとめた記事を書きましたので、こちらもどうぞ。

読んでいただいた方へ

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参考になった文献


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