うちの子、あのね / 白文鳥ふーちゃん編
今ではたくさんのペットたちが家族として暮らしています。
犬や猫だけでなく、鳥や爬虫類、馬、ブタ、サルなど多種多様な動物たちが人の良き相棒となった。
その歴史は古く、古代エジプト時代では猫が飼われ、ネズミ駆除の役割を担っていました。また1万年以上前には犬は縄文人と共に狩猟の手伝いをしていた…そんな時代を経て、今では「所有物」としての動物から「家族」へ変化していきました。ペットという言葉は「petty」小さいという言葉と、お気に入り、可愛がるという言葉の両方の意味合いがあります。うちの子自慢をついつい飼い主たちは「うちの子が一番かわいい」って語りがちです。
わたしの良き相棒として、様々な動物たちと一緒に青春時代を過ごしてきました。野良猫のチャトラ、太っちょのビーグル犬、お祭りで出会ったミドリガメ、お庭にやってきたカブトムシ…それぞれ過ごした年月と共に語られる小さな家族たちとのお話は1日じゃ語り尽くせないですし、きっと世界中で良き相棒とのステキなエピソードや忘れられない思い出が溢れているに違いありません。
今日は、約8年間一緒に暮らしている白文鳥のお話をしたいと思います。
忘れもしない、とても大切な出来事を一緒に乗り越えた小さな家族の物語。
🐤🐤🐤
国分寺に大好きなかわゆらしい小鳥専門店ピッコリアニマーリさんというアットホームでステキなお店があります。
ピッコリアニマーリのご夫婦 早瀬川 智さん、環さんとは、狛江店で深い思い出があります。
仕事柄、長期間を出張で家をあけてしまうので、ホテル業務もされているピッコリアニマーリさんへ預けに行った白文鳥(ふーちゃん)を受け取りに、いつも通り車で迎えに行きました。当時は狛江の方にお店があったのですが、こちらのお店もとても可愛らしい雰囲気で、いつも行くのが楽しみでした。
「こんにちは〜!ふーちゃん、元気ですか?」
「おかえりなさい〜!ふーちゃんはいつもすごく元気ね」
奥の方にたくさんのカゴが敷き詰められ、保温された場所に入ると、バサバサと暴れている(?)ふーちゃんが目に飛び込んできました。おてんば過ぎるうちの子はいつも元気いっぱいで、ホテルに預けられていても精神的なダメージもなく、安心して預けていました。
「また、いらしてね〜」
店主に見送られて、店を出る寸前で思いがえないハプニングがありました。
傘を広げる時に、ドアの淵にカゴが少しぶつかって、カゴの底が抜けてしまったのです。驚いてパニックを起したふーちゃんは外にそのまま脱走してしまいました。一瞬のことで何が起こったのかわからないまま、カゴの中を覗くと空っぽでした。
外はとても冷たい雨が降っていて、目の前が真っ暗になったのを今でも思い出すと心が凍てついてザラザラした気持ちになります。さらに冬の寒い中、ふーちゃんを置いていくことなんてできないし、野生でない文鳥は自分でエサも取れず、保温もできなければすぐ亡くなってしまいます。誰かに保護してもらわない限り、生きて戻ってくる確率は低い状況だということを、その場で悟りました。
「ふーちゃん!」
「ふーちゃん!!」
しばらく店主と一緒に近辺を探しましたが、時間だけがいたずらに過ぎていくだけでした。結局、すぐ見つかりませんでした。
急いで仕事場へ戻らなければならない状況だったので、泣く泣くお店を去ることになったのですが、その時の絶望感や罪悪感は言葉にできませんでした。どんどん雨脚も強まり、震えて濡れているんじゃないだろうか…今、どこで何をしているのだろうか…その日は仕事どころではなく、どこか心ここにあらず、その日から空っぽのカゴを何度も眺めて過ごす時間が多くなりました。
いろいろな現実を受け止めなきゃいけないなと覚悟していた頃、ピッコリア二マーリのご夫婦はあらゆることをしてくれました。
警察への手続きや、SNSでの情報拡散、迷子のチラシ制作や配布や、周囲に声をかけて探し回ってくれていました。
毎日状況報告をくれて、全力で対処してくれました。
鳥を飼っているお店繋がりの方や、狛江の近所の方々も心配して手伝ってくれていたと、後から知りました。
わたしも合間にお店の周囲を探しに行ったのですが、白い小鳥の姿はどこを探しても見つかりませんでした。見つからない焦りとふーちゃんへの罪悪感が日に日に増して行き、生きた心地がしませんでした。
短かったけど、まるで一カ月くらいに感じていた3日目。
お店から電話がありました。
いい知らせなのか、悪い知らせなのか、いろいろなことが頭をよぎっていきましたが、思いがけず店主の大きくて元気な声が聞こえてきました。
「先ほど、見つかりました!お店に来ることできますか?元気にしていますよ!」
一報を聞いた時、信じられない気持ちでいっぱいでした。
生きて、再び会える確率の低さを考えれば、奇跡としか言えない。高まる感情を抑えながら、すぐに車を飛ばして行きました。
ダッシュでお店のドアを勢いよく開けると、笑顔のご夫婦が迎えてくれました。急いでふーちゃんがいる奥の部屋のカゴまで案内してくれると、自然に涙がこぼれて来ました。
(ごめんね、ごめんね…寒かったし、怖かったよね…ごめんね)
ずっとグズグズ子どものように泣きながら、カゴ越しにふーちゃんを撫でようと網の間から呼んでいましたが、バサバサとカゴの中を勢いよく飛び回っていました。感動の再会中だから、もう少し寄り添って欲しいという勝手な飼い主の気持ちを他所に、いつも以上に元気なふーちゃんはきっと喜びを身体全体で表現していたのかもしれません(完全なる妄想)
再会を噛み締めていると、隣に小さな女の子がやって来ました。
「あのね、この子、ベランダに飛んできたんだよ!」
「え?(泣)」
店主がふーちゃんを保護してくれたご家族にも連絡をしてくれて、お店に来てくれたのです。お母さんと一緒にやって来た小学生の小さな女の子が一生懸命、当時のお話をしてくれました。
「なんかね、網戸にガシッ!って止まって来たからね、ビックリしてお母さん呼んで、窓を開けたらね、お部屋の中すごい飛び回ったんだよ!」
「そ、そうだったんだね〜(泣)保護してくれてありがとう〜(泣)」
「そしたらね!頭にずっと乗って来て離れないの!」
「そうなんだよ〜(泣)いつも頭乗ってくるんだよ〜(泣)」
「小鳥さん、かわいいね!」
「そうなんだよ〜(泣)うちの子、かわいいんだよ(照)」
当日の時刻などを聞くとパニックになって飛び去ってから、すぐの出来事だったようで、女の子がベランダにやってきた文鳥を家に招き入れてくれたのです。逃げてからすぐ温かい家族に助けてもらい、鳥カゴやエサから全部揃えてくれていたと、小さな女の子のお母さんから聞きました。
それからすぐ迷子の白文鳥のチラシに気付いた女の子が家族に報告して、お店に連絡を入れてくれたことで、無事に再会できました。
全員、お店に集まった瞬間は今でも忘れません。
わたしは人目も気にせず、号泣していました。
ピッコリア二マーリのご夫婦が何度もよかったね、よかったねと涙目で言ってくれたり、小学生の女の子たちは文鳥の過ごした様子をたくさん話してくれました。
そして、この事がきっかけで、ふーちゃんを保護してくれたご家族がピッコリアニマーリさんで小鳥さんを迎えることになりました。
いろいろな優しい連鎖が繋がって、文鳥は何事もなかったかのように元気いっぱいで戻ってきて、すごく温かい気持ちはずっとずっと心の中にあります。
この恩はどうやって返したらいいかわかりませんでした。
感謝の想いは言葉で伝えられるけれど、何度伝えても伝えきれない想いはどうしたらいいのだろう。今回に限らず、たくさんの人にお世話になって生きてきた中で、受けた恩をそのままその人に返せることはありません。
誰かにもらった恩は、また違う誰か必要としてる人へ想いや心を渡してあげることが恩返しになると思ってきました。
それでも何かカタチにできるきっかけの一つがあればいいなと思っていた矢先に移転の話を聞きました。
ご夫婦や狛江店の写真をプレゼントできたらいいなと思い、閉店間際に撮りにいきました。出来上がった写真はご夫婦の優しくて、ステキな笑顔がたくさんでした。ご夫婦の写真があまりなかったそうなので、少しでも役に立てたかなと気持ちが和らぎました。
またステキなご縁がこのお店でたくさん生まれる、そう強く感じました。
鳥さんに興味がある方は是非こちらのお店に行ってみてください。
とてもステキなご夫婦が笑顔で迎えてくれます。
寒い雨の日はいつもこの思い出が蘇ります。
🐤🐤🐤
今、こんな時だからこそ、たくさんの「うちの子」のステキな絆やほっこりする思い出話を伝えたいと感じました。大事な家族について、長く自宅で一緒に過ごす時間の中で、改めてどんな存在なのか、言葉にして残すことができたら。
かけがえのない時を、これからも一緒に歩み続けたい。
次の「うちの子、あのね」は一体どこの子でしょうか?
よかったら、あのね話をぜひ聞かせてください。
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