エッセイ|20年の時を経て分かったこと
その昔、もう20年前になるか。
日本のマダムたちを夢中にさせた「冬のソナタ」という韓流ドラマがあったのをご存知だろうか。ちなみに私は一度も観たことがなく、そのころは「白い巨塔」を楽しみにしていたような気がする。なにしろ山崎豊子の作品が好きだったからだ。
「冬のソナタ」はなぜマダムたちの心を鷲掴みにしたのだろう。甘さか?やるせなさか?はたまた「ヨン様(主演のペ・ヨンジュン)」の美しさなのだろうか?もしかしたら、恋愛から卒業した世代の恋心を刺激したからだろうか。
はたから見ても、とにかくものすごいブームだった。
TVをつければ「ヨン様」という言葉を聞かない日がない。
韓国語を習う女性、しゃべれるようになる女性、「冬ソナのロケ地へおもむくツアー」なんていうのもあった。
ドラマが好きだからって、いくら俳優が好きだからって、韓国語を覚えるとか、ましてや近いとはいえ韓国まで足を運ぶなんてどうかしてる…決してバカにしていたわけではない。その情熱に驚いていたのだ。
さて。
何が言いたいかというと、その気持ちが少し分かってしまったのである。子育てが終わり(もしくは終わりに近づき)、時間にも心にも金銭的にもゆとりが出る年代。何かに夢中になるにはちょうどいい…のではないか、な?
わたしはアラフィフになって初めて「推し活」なるものを始めて、でもそれは単なる「ライトなファン」でしかなくて(はじめての推し活、という記事をかいたのでご興味ある方は読んでみてください)、そこを入り口として「本命ともいえる推し」と出会った。
ライトなファンといっても、ライブや、運よく撮影会やサイン会には足を運んだ。ただし近場に限って。遠征なんてもってのほかだ。韓国語が分かったらいいわね~とは思って教材を購入してみたがどうにも気が乗らなかった。
だがしかし。本命は違った。
先月その本命が、いちいち本命と書くのはアレなのでストレートに書くと、数年前に大ヒットした『Shine(ピンナリ)』を歌ったK-POPグループ『PENTAGON』のフイがソロデビューしたのだ。ちなみにピンナリを作ったのもフイ。天才だ。
ソロデビューにあたりアルバムを出すわけで、そうすると事前の告知含めお祭り騒ぎのようなカムバック期(表立った活動期)が始まる。
アルバムも、どこから買うかで特典が違うし、韓国から買うから韓国語を読まなければいけないし、アプリでのフイのライブ配信はもちろん韓国語で喋っているし、DMも韓国語だし(自動翻訳は意味不明なことが多い)、なにもかも韓国語。当たり前だけれど。
ヨントン(映像通話)に当選しようものなら、絶対たくさん喋りたいから「韓国語わからなーい」の状況にはなりたくない。
そうなると、これはもう真剣に韓国語を習得したい。その熱量が上がるのだ。
そして実はデビューショーケースにどうしても参加したくて韓国に飛ぼうとしていた。弾丸日帰りでもいいかな?と本気で計画した。それは叶わなかったけれど。
これ、20年前のマダムたちと同じではないだろうか?
違うのは、彼女たちはヨン様という「人」に夢中になったけれど
私はフイの「音楽」に夢中になった。
もちろんフイ自身も好きだ。歌声もダンスも音楽家としての才能も。でも何か少し違う気がする。でも違いは微々たるものかも知れない。
そんなわけで、20年の時を経て当時のマダムの気持ちが分かった。ああ、これか、これなのだ、と。
最後に
この音楽をぜひあなたにも。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?