日常の風化
寒い日が続く。11時に起きた。
だらしのない日常に変化が起こらないのが怖くて、noteを登録した。
簿記3級のテキストを開いた。試験日まで、1ヶ月を切ったところだ。テキストの内容を確認しながら、ノートに書き写す。書くといっても見直すためではない。理解できればそれでよかった。
集中が切れると、ルドヴィコ・エイナウディのDivenireをかけた。フィギュアスケートの樋口新葉さんが演技していたのをきっかけに知った作曲家だ。静謐を感じるしっとりした曲が多く、集中できるのではないかと思った。
勉強をしながらも頭はどこか別のことを考えている。果たして、この勉強方法は合っているのか。この資格を取得して意味はあるのか。そんなことを考えていると、気になることが増えて、スマートフォンに手を出してしまう。
いけない、集中しなければ。ノートに戻り、何を勉強していたかの再確認が始まる。
昼過ぎになり、母親と買い物に出かける時間になる。玄関脇にある自転車の鍵を探すが、ない。直前に使ったのは父だったが、彼は外出している。
最近の父は、鍵をよく失くす。外出先に置いてきたり、自転車に差しっぱなしだったり。加齢による記憶力の低下もあるのだろう。
スペアの鍵を探し出して、自転車に乗った。スーパーは混んでいた。買い物を始めたときにはこの混み具合が苦手だったものの、今では何も感じなくなった。
豪雪による野菜の価格高騰が見込まれる、と母は言う。ずしりと重い白菜を鞄に入れ、買い物を終えた。
再び自転車に跨ると、母が、健康診断でいくつ身長が減っていた。体重も減っていた、と話した。「痩せたんだね」とだけ返す。もっと気を利かせた話をすればよいのに、他の考え事に夢中なせいで、いつも口数が少なくなってしまう。
帰宅してからは、また簿記の勉強に戻った。今度は別のアルバムを流した。
Ludovico Einaudi - Primavera
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