見出し画像

「陽明学 生き方の極意」いま心に響く本探し

陽明学を学びたいと思いながら、ちょうど良いレベルの本がなくて、学ぶ機会を得られていない人も少なくないようだ。今回読みやすい一冊を知り、すぐに電子書籍で購入し、読んでみたところ、自分のような行動派の人間には、共感する内容が多かった。ここに23箇所を抜粋し、私なりのタイトルをつけてみた。あなたの心に響く抜粋があれば、これがあなたの次に読むべき本かもしれない。

〜 知って終わりでは良くない 〜

「知ることは行なうことの始めであり、行なうことは知ることの完成である。(中略)実践が伴ってこそ、ほんとうに学んだことになるというのが、陽明学です。」

〜 行動をもって説得する 〜

「立派な人物はみずからの行動をもって説得するが、ダメな人は口先で言いくるめようとする」

〜 温かさのなかの厳しさ、威厳と謙虚の両立 〜

「『論語』のなかで弟子の一人が孔子の人物像についてこう語っています。先生の人柄は、温かさのなかにきびしさがあった。威厳はあったが、ことさら威圧感を与えなかった。謙虚でありながら、窮屈な感じを与えなかった」

〜 自分磨きは終わりない旅 〜

「自分を磨くことに終わりはない、終わりのない道を歩いて行こうとするからには、「これはどうかな」と思ったことは徹底的に究明してかからなければならない」

〜 人に優しく、自分に厳しく 〜

「中国古典の教えによりますと、人間関係をよくする道は、「自分にはきびしく、人には寛容に」、これを心がけることだといいます。」

〜 絶え間なく自分を磨くこと 〜

「自分を磨くのは一生の課題です。いわばマラソンレースのようなものですから、一歩一歩、着実に積み重ねていかなければなりません。もっともまずいのは途中で投げ出してしまうことです。少しずつでもよいから、毎日の積み重ねが大事だというのです。」

〜 実るためにすべきこと 〜

「志を立てて修養につとめるのは、あたかも樹を植えるようなものだ。根が生えめが出る段階では、まだ幹は生えない。幹が生える段階では、まだ枝は出ない。枝が伸びてはじめて葉が出、葉が出てはじめて花が咲き実が成なるのである。だから根を生やす段階ではひたすら土をかけ水を注いでやるだけでよく、枝や葉、花や実のことに思いをはせる必要はない。(中略)ただ当面の栽培の努力さえ怠らなければ、枝も葉も、そして花も実も自然についてくるのだ」

〜 万物を自分と同一化する 〜

「おのずから是非の判断を正しくし、好悪の心を共通にし、自分とおなじように他人を見、我が家と同じように国を見、はては天地万物を自分と一体のものとみなすことができます。」

〜 良知の命ずるまま 〜

「世の君子たちから、正気を失った人間だと言われようが精神喪失者と非難されようが、いっこうにかまわない。ただ、良知の命ずるまま、もがき苦しんでいる人々を救うために走り回らざるをえないのだ」

〜 孔子に習う王陽明 〜

「孔子は、「天を怨まず、人をとがめず、身近なことから高速なことまで、あらゆることを探究する」と語っていますが、私も、ニ、三の同志とともに、このことばを実行したいと思います。」

〜 役割分担を体のパーツで例える 〜

「それを人間の体にたとえれば、目は視、耳は聴き、手は持ち、足は歩くことによって、体の活動が行われているのと同じです。目は音が聴けないことを恥としないばかりか、必ず耳の聴きとったほうへ視線を向けます。」

〜 自分を制御するのは志 〜

「善念、すなわち善い思いが起こってくるときは、それを察知して充実させる。悪念、すなわち悪い思いが起こってくるときは、それを察知して抑制する。察知して充実させたり抑制したりするのは、志である。それはまた聡明な心でもある。

〜 志の難しさ 〜

志を立てるのは、まだ簡単です。難しいのは、それを持ち続けることです。なぜなら、志を持ち続けていくためには、絶えざる緊張感に耐える覚悟が求められるからです。

〜 湧き出る井戸になる 〜

「数町歩の水源のない池の水となるよりは、わずか数尺にすぎなくても、こんこんと湧き出て尽きない井戸の水になったほうがましである。(中略)井戸の水のように、常に生き生きと躍動させておきなさい、というのです。つまり心に灯をともせ、やる気を出してチャレンジせよ、というのです。」

〜 良知の発現を促す 〜

「こちらの知識をふりかざして相手に押しつけるのではなく、相手が自分のもっている「良知」を発現できるように自覚を促してやればそれでよいのだというのです。今の学校教育とは正反対のやり方です。これが王陽明の弟子たちに対する基本的な態度でした」

〜 志のあるとき、ないとき 〜

「まず「志」を立てることですが、これがあるのとないのとでは、生きる張り合いからしてちがってきます。これがありませんと、世の中の動きに振り回されて、酔生夢死の一生に終わってしまうかもしれません。」

〜 不言実行 〜

「やる気を出してチャレンジすることですが、すでに述べたように、これも大事なことです。ただし、やる気というのは、なるべき外に出さないで、自分の中にしまっておいた方がよいのです。いわゆる内に秘めた闘志です。こうあってこそ長続きもするし、成果も期待できるのです。」

〜 志のない人生を例える 〜

「志をしっかりと立ててかからないのは、”舵のない舟、くつわのない馬”のようなもので、どこに流されていくかわからない、というのです。」

〜 利益を稼ぐ意味 〜

「何のために利益をあげようとするのか、あげた利益をどう使うのか、そこで経営者の志が問われるのです。」

〜 知るは行動が伴うべき 〜

「ほんとうに知るということは、行動を伴うものである。行動が伴わなかったら、ほんとうに知ったとは言えない、というのです。」

〜 事上磨練 〜

「「事上磨練」(中略)本を読んだり、人の話を聞いたりすることだけが勉強ではない。いざというとき、自分を支えてくれるほんものの知恵を身につけるためには、仕事を通して自分を磨けというのです」

〜 落第は恥ずかしいのか 〜

「世間の人々は、科挙の試験に落第することをもって恥だと考えている。しかし私は、落第することによって心が動揺する、これをむしろ恥ずかしいことだと思っている。」

〜 大きな任務と試練 〜

「天がその人に大きな任務を授けようとするときには、必ずまずその人に苦しみを与え、その人の志と反する境遇に陥れる」


励まされ、勇気づけられ、鼓舞されるような力強い内容が多い一方で、遅行同一は、一度でも頭によぎったなら、行動しないとだめといったストイックな考え方とも捉えられる。正義感の強すぎる人には、逆に危ない方向に導きそうな気もする。そのような人には刺激を受けないように注意しないといけないが、いくつかの抜粋に興味を持った方は、きっとこの本を楽しめると思うので、ぜひ手にとって読んでみることをお勧めする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?