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文学フリマ東京38・参加の記録のようなもの

ヘッダ画像は帰り道の歩道橋上から撮影したTRCの勇姿。
(これはイベント棟ではなく物流施設(倉庫)の棟です。)
★雨模様だったのでどんより~とした色合いですが、前回と違い周りはまだ明るかったです。

今回でひとまずTRCでの開催が一区切りとなった(次回はビッグサイトで開催)文学フリマ東京38に参加された皆様、お疲れさまでした。
見本誌コーナー、およびブースにて、発行物をお手に取ってくださった皆様、ご購入くださった皆様、ありがとうございました!

全体の雑感です。
・一般入場が有料となり、さて人出はどんなもんかなと思っておりましたが、前回並だった模様。
当方のブース前通りの人の流れも、大体前と同じぐらいの印象でした。
なお、第一展示場の人出はすごかったらしい。小説より、エッセイやノンフィクションの方が、一般的には読む敷居が低いし興味を持たれやすいというのはあるのかもと思ったり(当方が出店している幻想・ファンタジー(小説)ジャンルは、多分一般参加の方には一番人気の薄い分野ではなかろうか)。

・文学フリマは参加年代が幅広いなーという印象。あと、老若男女問わず、オシャレな服や髪型の方が結構いらっしゃるので見ていて楽しい。

・手をつないで歩いている二人組がおられました。文学フリマデート?!(いいなー)

・今回初めて(ついに!!)、第一展示場と第二展示場の一階連絡通路が解放されているのを見ました。最後(?)に見られてよかったなーと、謎の満足感。

・今回、出店者、一般入場者どちらも、入場者証はステッカー式ではなくリストバンド式に。手首に巻いてぺたりとつなげたはいいのですが、服の袖に入ってしまい、その都度引っ張り出しておりました。その後、服の上から巻いている方を見かけ、正しいつけ方を知りました。長袖の服を着ている場合、上から巻くべし。

・当方、「戦わない系」ファンタジーゲームブックを作って売っています。なぜ『戦わない』と冠しているかというと、作っている本の内容が文字通りの意味であることを説明するため(既存のファンタジーもののゲームブックは、怪物などと戦う機会のあることが一般的)と、リスペクトしているゲームブックシリーズを、わかる方にはわかってもらえるようにするためです。
ゲームブックを「好き」あるいは「懐かしい」と手に取ってくださる方と、ゲームブックとはなんぞや、と思いつつも手に取ってくださる方、両方いらっしゃるのが文学フリマのよいところなのですが、果たして自分の作ったものは、両者に楽しんでもらえているのか、どちらの方にも「???」なのか。
基本、「読んで」楽しめるものを目指しているので、読書が趣味で、小説を読みなれている方なら(世界観が合えば)少しは楽しんでもらえるかなとは思っているのですが、逆に、システム、というのか、数学的というのか、そういう面白さは薄いので、そういう方向性を好む方には物足りないと感じられるかもしれません。
アナログならではのしかけなど、もっと加えていけたらと思っておりますが、その方向の面白みも、足りていない感。

・今回も、行き帰り共に「京急 平和島駅」からTRCまでの道を歩きました。前回は(文学フリマ公式サイトで案内されている、徒歩)南ルート、今回は北ルートでしたが、北ルートの方が歩道橋を通る距離が短く楽かも。
文学フリマ東京の開催地は変わってしまいましたが、別のイベントなどへの参加の際、TRCまで歩こうかなという方には北ルートをお勧めします。

次回は……?
・ビッグサイト開催となる東京39、早々に出店確定枠で申し込み済です。
出店者数の増加に伴い、TRCでは三会場に分かれざるを得ない状況でしたが、次回はワンフロアでの開催となるので、見回りやすくなりそうです。

秋(冬)はゲムマと文学フリマで二回ビッグサイト通いか~と思っていたら、秋ゲムマは千葉の幕張メッセなのでした。
秋ゲムマは、横丁ではなく一般ブースで申し込もうかと思っております。一日にするか、思い切って二日参加してみるか、それが問題だ……。おっと、話がそれました。


個人的に、文学フリマの好きなところ
・申し込みに余計な情報が必要ないこと
→申し込み時、それを知らせる必要が本当にあるのか……?と思ってしまうような情報まで収集しているイベントが結構ある中、必要最低限の個人情報しか収集していないところは、リスク管理の上でも、個人的にも(余計なことは聞かれたくないし開示したくないので)ありがたいです。

・見本誌コーナーの運営方法(展示は既刊、新刊問わず1ブース3種まで。新刊は資料として寄贈してもよいし、回収してもよい)
→当方、発行物を資料として保存されるなんて真っ平御免なので、見本誌提出が必須のイベントには参加しません。
文学フリマは、見本誌コーナーの利用も、提出も自由なところがよいです。

・先着申し込み枠がある
・ブース費の支払いは出店確定してからでよい

→合理的。

・出店、販売などの用語
→赤字だろうが趣味だろうが、「売って」いることには変わらないので、それでよいと思ってます。
当方、個人的には、「お迎え」とか「頒布」とかいう用語を個人発行の本やゲームに使いたくない勢です。
「展示」「即売」会なので、出展でも出店でもいいんじゃないかなとは思っております。
その手の用語の違和感といえば、無料配布、略して「無配」というのが自分にはどうにもしっくりこないのですが、皆様はいかがでしょうか。
無配、という言葉だけを見ると、「配」ら「無」い、という意味に感じられてしまいます。
そもそも、個人的にはあんまり略していない略語が好きでないというのもあるのですが……。
(Illustratorをイラレ、というのはひとまずアリとして、Photoshopをフォトショ、InDesignをインデザって、それ略す意味あるのかい、とか。略称ではなく愛称のようなものなのでしょうか。)







余談。拡大路線などについて
企業や人気のあるプロ作家さんのブースについては明らかに配置に配慮がみられるので、今後東京開催の文学フリマは、ビッグサイト開催が続くのであれば、その広さを活かし、企業とか、企画系向けの、大型ブースの(広い、壁際配置、その分高額)申し込みプランがあってもいいかも、とは思わなくもないです。サイン会をするとか、4桁冊搬入するとか、そういう場合はそちらを申し込むという感じで。
企業でなくとも、同テーマでにぎやかに合同出店したい方がいらっしゃるかもしれないし、高騰するイベント開催費用の足しにもなるのでは。
プロや企業など、人気のある方・団体が出店することによって一般参加者が増え、ついでに我々のような(ちっこい個人、団体の)ブースも見てもらえる機会がちょっとは増えるように思うので、良いことなんじゃないでしょうか。
イベントが小規模の方が見てもらえる、(あるいは全体を見回りやすくてよい)という意見もありますが、それぞれ一長一短ある感。

個人的には、一次創作も二次創作も、「文学」もまんがも絵もグッズでも、そして作り手が個人であってもプロでも企業でも、作り手が「自らが〈文学〉と信じるもの」をなんでも受け入れる懐の深さが文学フリマのいいところだと思っているので、現状に特に不満はないです。

実力の高さとか作っているものの良さは前提として、(自分の場合はそもそもそれも足りていない、)更に「何か」のきっかけでもなければ、人気者の仲間入りをするのは難しいもんだよなー、……と、現実を知る機会にもなっています。

そして、自分の書いたものを形にして発表・販売したい、している方が(自分を含め)こんなにもたくさんいるということを、実際に体感できる、大変面白く興味深い場です。





反省会(個人的な)
今回、もうひとつ前に参加したイベントで間に合わなかった新刊を今度こそ出すぞと思って制作していたのですが、いろいろあって間に合わず。
いろいろの中身↓ すべて、私の計画の甘さが原因です。

・そもそも作業計画に無理があった(工数計算ができていない)。

・前のイベントに新刊が間に合わなかったので、(在庫がそれほど多くはない)別の既刊「消えた相棒」を持っていったら売り切れたので、今回重版したのですが、そのために行った校閲作業に時間がかかってしまった。

・それとは別の既刊「元剣士と雪の民」も重版予定だったのだが、新刊作業が押して校閲作業が全然できておらず、4月イベント後に行ったのだが、予想以上に時間がかかってしまった。
(主人公の境遇が不憫すぎて、自作なのに読み返す度泣いてしまうので(あほなのはわかってます)、校閲作業は非常にしんどかった。もう(しばらくは)、重い話は書くまい。
なお、他の方が読んでも泣ける話なのかどうかは分かりません。中身のない、浅い話なので、失笑されるかも。そもそも、ゲームブックに泣ける要素が要るのかといわれると、多分要らんよなーとか……。)

・重版に向けての校閲にかかる時間を甘く見すぎていたということもあり、↑の通り、ぎりぎり何とか発行できるのではなかろうかと思っていた新刊が出せませんでした。二兎追うものは一兎も得ず。

・そして、今回も宣伝、ブース設営準備も実行もほぼできず。
 宣伝やブース装飾をしっかりしたからといって売れるものでもない、ということは分かっているが、やらないよりはやる方がいいと考えている。
(ただし、内容などはよいところもそうでないところも含め、正確に伝え、その上で購入の判断をしてもらえるよう努めたい。誇大広告や押し売りはしません。)

今回のブースの様子。雑! ひでぇ!
今回他二冊に合わせて「元剣士と雪の民」の主人公(中央)をざっくり描いてみましたが、雑!!
(元々、重版時に表紙を二色刷りに変えることを検討しており、それ用に描いていた下描きを軽く仕上げてみたものです。今回は初版のカラー絵を調整して使ったのでこの絵はPOPのみ。今後使うとしたらもっとちゃんと仕上げます)

……というわけで、今回は、重版した既刊2種と、去年の12月に出した、今のところの最新刊であり、文学フリマでは初売りの本「竜姫のために-光る木の実と灯台守-」、合わせて3種を販売しました。
最新刊は、在庫数がそれほど多くなかったこともあり、今回で初版は売り切れとなりました。
(ただいま重版用に見直しをしております。そして新刊「蜃の迷宮」の完成は後ろ倒しに……。こうなったらじっくり仕上げるつもりです。夏ごろに良いイベントがあればそれ用の新刊としたいところなのですが、今のところ参加予定のイベントはありません。
京都ゲムマは申し込みを検討しておりましたが、費用対売上のバランスが悪すぎると判断し、(小規模サークルとしては、こういう場合は京都旅行を楽しむ方向で参加するのが正しい姿勢で、それも検討したのですが、連休中ということで宿が取れるか不明、取れても高額になることから、)今回は見送りました。小規模イベントに対し、参加したい方が多く、倍率が高かったようなので、申し込んでいても参加できなかった可能性が高かったのですが……。)

なお、重版とか売り切れとか、字面を見るとなんとなく景気がよさそうですが、別にそんなことはなく、一回に現実的な部数しか刷っていないためです。
少部数でも無理のない費用で本を作れることは、大変にありがたいとしみじみ感じる今日この頃です。
文学フリマ(や、各種同人誌即売会)が盛況なのは、例えば十冊だけ刷った場合でも、買い手から見て納得できる程度の価格で販売して、印刷費だけなら赤字にはならない程度、あるいは(たとえ一部も売れなかったとしても)趣味の範囲で出せる額で印刷していただける印刷会社様が存在していることが大きな理由の一つになっているかと思います。
(例:文庫判160P、表紙コート紙にカラー刷り、本文淡クリームキンマリにスミ刷りとして、10冊分の印刷費は安いところなら送料込み5,000~6,000円程度。売価が7~800円なら、同人誌としてはそう高いとは感じないし、売り切ったら印刷費だけなら赤字にはならない。)
販売が振るわなくても、作った本を、本棚に並んだ市販の(好きな作家さんたちの)本の間に差してにんまりしたり、ページをめくって読んでみたりするのは、だれかに読んでほしい文章を書いたり、多少なりとも商業デビューを夢見ていたり、見ていたのであれば悪くない経験です。
(もうすでにプロの方で、仕事とは別種の本を出すんだという方もおられるかもですが……。)

なお、いずれの場合でも、もし今までいわゆる同人誌的なものを印刷会社に依頼して作ったことがなければ、最初からうまくいくことは稀かと思います。
個人的なお勧めは、一冊だけの印刷発注にやさしい(一冊でも安く、そして意外と盲点となりやすい送料も、一冊の発注であればメール便が使えるところが大変ありがたい)「ちょ古っ都製本工房」さんに、まず一冊発注し(本紙校正をするということ)、その仕上がり具合とデータとを見比べて調整、それから改めて必要な冊数を発注する方法です。
noteにて、この方法を取られている方々の記事を読み、なるほどこれは間違いないと、感じ入った次第です。
この方法のよいところは、量産前と後、同じ印刷会社に依頼できる点です。
当り前じゃないかと言われそうだし実際そうなのですが、笑、
・一冊だけの印刷でも安い
・たくさん刷る場合は部数に応じて安くなる
この両方の条件を満たしているのはちょ古っ都さんだけかと思います。
本紙校正(本機校正)は通常それなりの費用がかかってしまうため少部数の同人誌では現実的ではないですが、ちょ古っ都さんなら無理なくできます。しかも、ちゃんと製本までした状態で。完成した状態を手に取って、印刷、製本の状態(開きやすさ、紙の様子など)を確認できるのは非常に分かりやすいです。
リピーターが多いのも頷けます。
★印刷会社によって、印刷環境も機械も異なるので、A社で刷って大丈夫でもB社ではうまくいかない場合もありますので、試し刷りは同じ会社でないと意味があまりありません。

なお、この方法を実行するのに一番重要かつ必要なのは、充分な準備期間です。

またなんだか話がそれてきたのでここらへんで終了いたします。
印刷やそのためのデータ作成などについては、そのうちまとめて記事にするかもしれません。


余談:印刷について
今回、重版した2種は別々の印刷会社様にお願いしましたが、本文の紙はどちらも「モンテシオン」です。「消えた相棒」と比べ、表紙がカラーの「元剣士と雪の民」の方がページ数が40Pほど少ないのですが、紙の厚さが一回り上なので、厚みは同じぐらいに仕上がりました。
そして、気になるめくりやすさですが、どちらも非常に満足できる仕上がりでした。
前回「雪の民」がめくりづらい仕上がりとなったのは、本文をコミック紙にしたことが原因のようです。今回表紙はコート紙(180kg)+マットPPですが、そのせいでめくりにくい、ということはありませんでした。
文庫本を出される方で、嵩高紙を使いたい皆様にはモンテシオン(真っ白でよければモンテルキア)、おすすめです。

印刷の仕上がりは……どちらもなぜか濃いめに出ました。
モンテシオンもモンテルキアも紙色以外は変わらないかと思い、目に優しく、汚れも目立たないモンテシオンを選びましたが、モンテルキアの方が平滑度が高いような気がするので、もしかしたらそちらの方が仕上がりが良くなるのかもしれません。次の増刷機会があればモンテルキアにしてみます。
または、単なる製造上のブレかもしれません。(試し刷りなしの)一発勝負、そして廉価少部数のオンデマンド印刷なので、細部の仕上がりについてはブレがあるものという覚悟と寛容が必要。
印刷がちょっと(、いや、割と……?)「??!!」な出来でも、こうして「本」の形になって仕上がっているだけで、値段分、いやそれ以上の仕事はしていただけていると考える次第です。
(もちろん、出来がよいに越したことはないですが、期待値を上げすぎるのは無茶だろうという話)
★真っ白が真っ黒になっているほどでもなく、前にも書きましたが、元データをさんざん見ている作者でなければ、気にならない、気にするほどの状態でもないのかなとは思います。
★当方の発行しているゲームブックには挿絵が入る、それも、かなり細かい線画(1200dpiの白黒二値画像で、いわゆるスクリーントーン的なものは使わず、ハッチングしたり、ちまちま描き込んだりしている)なので、本文印刷の仕上がりが大変気になるのですが、本文に絵が入らないのであれば、どの紙、どの印刷方式でも、充分満足できる仕上がりです。

それから印刷方式ですが、オンデマンド=トナー式印刷(コピー機と同じ方式)とは限らず、印刷会社、および使用する紙などの仕様によってはデジタルオフセット印刷で行われることもあるようです。
今回、「元剣士と雪の民」の第二版は、本文デジオフ印刷です。


余談の余談:校閲の際、コンビニプリントを利用しておりますが(A3に8P分合わせて出力しております)、今コンビニに置かれている複合機はびっくりするぐらい質が高く、印刷がきれいです。細かい線画もくっきり。つるつるした、コピーに適した紙だからというのもあると思いますが、印刷の質に関して言えば、印刷会社様に依頼するオンデマンド本と同等以上です。
デジタルデータを直接出力できるし、余白を見越してデータを作っておけば、原寸でも出力できます。

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