【コロナの向こう側へ】変わらない日常と、そこで見つけた小さな幸せ
今回取材するのは、富山県黒部市の専業米農家「濱田ファーム」です。
濱田ファームは、代表の濱田智和さんと、奥様の濱田律子さんが、米作りから直売までを自らの手で行っています。
“専業米農家” “米作りから直売までを自らの手で”
これって実は珍しいことなんです。
私も今まで「お米だけではやっていけない」という農家さんの声をよく耳にしてきました。
しかし、日本人の主食である米にこだわりたい、専念したい!という思いから、お米だけを、しかもほぼ全て智和さんが手塩にかけて作っています。
そのお米は、できるだけ農薬や化学肥料に頼らない無農薬・減農薬コシヒカリ。
ですが、智和さんは「味が美味しいだけじゃ人は買わない」と言います。
濱田ファームの直売の秘訣は一体何なのでしょうか。
さて、最近、自粛やステイホーム、リモートワークといった言葉を耳にする機会が多くなりました。
コロナウイルスで生活がガラッと変わったという方も多いのではないのでしょうか。
私は家にこもることが多くなり、梅雨とのダブルパンチでどんよりとした気分になっています(笑)。
では、農家さんの生活はどうでしょうか?
今回は奥様の律子さんに、コロナ禍の農業についてお話をうかがいたいと思います。
聞き手:奥野香子
律子さん:「生産現場に影響は全くなく、農繁期と時期が重なってコロナどころじゃなかった、というのが正直なところです。
売上に関しては、ほとんどBtoCだったから、売り先がなくて困るようなことはなかったかな。
逆に、例年この時期、新規のお客様から注文を頂くことはほぼなかったんだけど、ステイホームで自炊をするようになった首都圏の友達とか、口コミが広がったりして、新しく注文を受けることが増えました」
律子さん:「地元のお寿司屋さんに卸している農家さんがいて、大きな販路を1ヶ月失ってしまったっていうのはあったみたい。
ただ、お米は、お花とかお魚と違って、何年間でも保管できるし、むしろお寿司は古米の方がいいと言われていて。保管しておけばこの先でも売れるから、それほど困ったということではないかな、と思います」
律子さん:「来ないと思います!(笑)。
確かに東京では、コロナで働き方や生き方が大きく変わって、アフターコロナの暮らし方を考えている人が多いかもしれない。そこで、田舎や農業が選択肢になってくるかもしれない。
でも、これって、東日本大震災の時にも言われたことだけど、結局『農業で生きていこう』と覚悟と決断を決めた人はほとんどいなかったように思います。
コロナで情勢が不安な今も、なんとなく『やっぱり農業だよね』って憧れを抱いているだけであって、本当にそうする人が増えるわけではないのかな、と、田舎から見てると感じます」
富山で農業を生業とする律子さんならではの視点で、新鮮でした。
直売や自炊などを通して、農業や食に関心を持つ人は増えたかもしれませんが、実際に生業として農業をする人が増える、という段階に至るまではハードルが高いのかもしれません。
律子さん:「うちの娘は高学年で手もかからないし、そんなに変化も苦労もなく、ずいぶん長い春休みだな、という感じでした(笑)」
律子さん:「農作業のお手伝いは、あくまでお金目的(笑)。でも、毎日早起きしたり、やり続けないとお金はもらえないって気づくいい機会だったかなと思います。
お小遣いを稼いだり、毎日お昼ごはんを自分で作ったり、学校では学べない”生きていく力”を学べたことが、彼女にとって良かったんじゃないかな」
見た目インパクト大な「トマト丸ごと炊き込みごはん」!
律子さん:「お米2合にトマト丸々1つ、大さじ1杯のオリーブオイルと塩小さじ1、いつもの水加減からトマトの水分を考えて80~100ccほど少なくして炊くだけ。
化学調味料を入れたら間違いなく美味しくなるんだけど、私は素材そのものの味を味わいたいから、なるべく使わないようにしていて。それが私自身のこだわりかな」
律子さん:「5月に完売していて、少し期間が空いてしまうのですが、10/1に出る新米を楽しみにお待ちいただければと思います!
例年、10月からマルシェ(青山ファーマーズマーケット、ヒルズマルシェ)でも販売しています」
律子さん:「正直、マルシェでお米はあまり売れなくて。カラフルで変わってるお野菜とか、美味しそうな果物とか比べちゃうと、お米は地味な存在で、なかなか立ち止まって買ってもらえないのが現実。
でも、私にとってマルシェは、お米を売る場所ではなくて、お客様や友達と会ってお話をする場で。なぜなら、私が生きていく上で最大の目的は、お米を売ることではなくて、お米を通していろいろな人に出会うことだから。それが、自分の人生が楽しくて、豊かだって感じるところかな!」
いかがだったでしょうか。
私は記事を書きながら、「日常」という言葉がパッと思い浮かびました。
今までと変わらず、お米を作り、届ける。
でも、その日常の中に、律子さんならではの、暮らしの工夫やこだわりも見つけることができました。
どんよりしがちな毎日だけど、私も日常の中に小さな幸せを作れたら、見つけられたら。
この機会に自分の暮らしを見つめ直してみようと思います。
実は今回、律子さんに取材をするのは2回目でした。
1回目の記事の題材は「農家の嫁」です。今回少し垣間見れた律子さんの芯のある生き方・働き方がたっぷり詰まった記事になっています。
「米だけではやっていけない」と言われる中、どうして濱田ファームは専業米農家が実現できているのか、冒頭で気になった方も是非、こちらの記事を読んでみてください!
インタビュー記事はこちら
【濱田ファームのSNSについて】
たくさんありすぎる濱田ファームの魅力から、イチオシポイントを律子さんにうかがったときのこと。
「どの農家さんが作るお米も美味しいし、無農薬・減農薬のお米を作っているところは私たち以外にもたくさんある。だから、私たちの特色は“お客様との交流”。お米づくりや私たちの情報発信から生まれる交流を大切にしているところかな」
日々の“食べる”にストーリーを感じることも、日常の中で小さな幸せをつくる、見つけることに繋がるかも?
ぜひ覗いてみてください!
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※こちらは2020年に作成された記事です。
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