「若あゆ」を集めた今年の夏
「鮎」というお菓子があることは知っていた。しかし謎の存在だった。菓子なのに「鮎」とはどういうことなのか。鮎の何かが練り込まれているのか。不思議だったけど、見た目も名前もなんだか地味なそのお菓子をあえて手にとってみることはなかった。
今年の初夏のある日、少し離れた医者へ行った帰りに慣れない商店街を歩いた。老舗の店が並んでいる。私はこのような商店街が大好きで、来ると何か買い物をしたくなる。ふと「若あゆ」ののぼりが目にとまった。そしてその足元には飾り気のない真っ白なホワイトボードにこれまた飾り気なく黒いペンで「あゆ 始めました」とだけ縦書きで書かれている。今だ、と思った。長年謎の存在だった「鮎」を今こそ試してみるときだ。
店に入り、「鮎」をひとつ。ソワソワワクワクの帰り道。何の知識もなかったので電車の中で「若鮎」をググる。求肥、というワードに期待が高まる。これは私の好きなものではなかろうか。
帰宅してついにご対面。
かっ可愛い……
かじるともちもちの求肥がみっちりと包まれていて、これはハリのある鮎だわと、鮎をちゃんと食べたこともないくせに思った。
この「鮎」のおいしさとお顔の愛らしさに虜になり、もっといろんな鮎を見たい、鮎の食べ比べだ、今年の自由研究だと思うとテンションが上がった。
さっそくスーパーに地元のお菓子屋さんの鮎があったので購入。袋を開けると
これも可愛い!シンプルなお顔。ひれ?が摘まんで作られてるのもポイント。求肥は四角かった。違いが面白くなってきてますます収集欲が高まる。
最終的に7つのお店の鮎を食べた。特徴的なのは一番右下で圧倒的に薄皮だった。他にもカステラ皮のしっとり具合とか求肥の硬さなどそれぞれ微妙な違いが面白かった。お顔は初めて食べた左上がいちばん好きかも。今年の夏の楽しみになってくれてありがとう。鮎を求めて和菓子屋さんに入るうち、いろんな和菓子の楽しさや美しさも知ることができて新たな扉を開いた気分。そんな28の夏。
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