大阪と京都で巡ってきた美術館・博物館の覚書:後編【きまま日記26】
こんにちは、にしうらです。
今回は前回に引き続き10月末の大阪、京都旅で巡ってきた美術館・博物館の企画展、常設展の感想まとめの後編です。
お付き合いいただければ幸いです。
国立民族学博物館(大阪)
旅の2日目に訪れたのは吹田市の万博記念公園の中にある国立民族学博物館。ここは文化人類学と民族学をテーマにした世界最大級の民族学博物館を持った研究所。
展示されている資料の数が膨大で3〜4時間使っても見切れないという話をちらほら聞いていたので、この日の予定はこの一館のみ。
「よーし!見るぞー!」と意気込んで入場。
毎週土曜日と4~5月・10~11月の毎日、11:00から15分間演奏しているそうですが、入った時はちょうど演奏が終わったあたりでした。残念…。
そして待望の展示室へ…!
常設展示(オセアニア)
中央で斜めになっているのは実物のカヌー!
ミクロネシア連邦のサタワル島で使用されている大型帆走用アウトリガー・カヌーで、1975年にサタワル島から沖縄海洋博会場まで3000キロメートルにおよぶ航海に成功した船だそう。
別角度から。大きすぎてだいぶ下がっても画角に収まらない。
こちらはオセアニアで使用されていた伝統的な貨幣。現代的な貨幣が浸透した現在でも、家を建てる時や婚姻儀礼の時などに使われているそう。
聞いていた通り、様々な国の様々な地域、時代の生活用具、祭りや儀礼の楽器や仮面や彫像がずらり。どれも興味深く、そして物量が半端ない。
最初は展示に圧倒されて、展示品をひとつひとつ驚きつつ見ていましたが、最初のオセアニア〜アメリカの部屋まで見終えた辺りでふと気づきました。
「あっこのペースだと閉館までに絶対見終わらない…」
果てしなく続く常設展示
そこからは全体をざっくり見つつ、気に入ったものがあれば写真を撮って…という感じで前へ前へと進み、最後は早足で閉館10分前くらいにようやく常設展示の出口にたどり着きました。常設展示を観終わったら企画展も観たいな〜なんて思っていたけど、そんなのは甘い考えだった…。
そんな感じで、駆け抜けながら撮った常設展示の写真をおいておきます。
館内にアイヌのチセ(家)や、カザフスタンの天幕まで展示されているのに驚き…もう1日くらい使ってじっくり観たかった…。
博物館の公式サイトはこちら👇
今回行けなかった企画展『交感する神と人―ヒンドゥー神像の世界』の会期は12/5まで。
そして一緒に博物館へ行って、色々案内したりお話してくれた赤夏さん、本当にありがとうございました。赤夏さんいなかったら、本当にどこから回っていいかわからず迷って時間つぶすところだった…(方向音痴)
旅の話しながら回る国立民族学博物館、最高でした。
旅好き漫画家の赤夏さんは素敵な旅行記や創作漫画をたくさん描かれているので、興味のある方はこちら👇のpixivやBOOTHで作品を見てみてください。どれもおすすめです!
太陽の塔
そして国立民族学博物館と同じ万博記念公園にある有名な《太陽の塔》、初めて実物見ました。思っていたよりも大きくて感動!
これは帰り際に撮った写真。
次来た時は内部も入ってみたいなあ。
大阪中之島美術館(大阪)
最終日の3日目は午後から大阪中之島美術館へ。離れていてもすぐ目につく黒い箱のような特徴的な外観。面白い建物〜!
この美術館は展示室が2フロアあって、1つの美術館で2つの企画展を同時に開催しているのが特徴。自分が来館した時は『長沢芦雪展』と『テート美術館展』の2つが開催されていました。
奥に向かって伸びているのが、長沢芦雪展が開催されている4階展示室への長い登りのエスカレーターです。テート美術館展へ行く場合は更に5階へ登ります。
特別展 生誕270年 長沢芦雪 -奇想の旅、天才絵師の全貌-
このフォトスポットの右のわんこの看板を、おじいさんが何枚もスマホで撮影していて和みました…芦雪の犬かわいいもんね。写真撮りたいよね。
長沢芦雪は江戸時代中期に京都で活躍した画家で、円山応挙の高弟(弟子の中で、特にすぐれた者のこと)。
日本画については自分は不勉強であまり知識はないのですが、それでも生き生きした動物たちを大胆な構図で描いた作品はどれも絵として面白く、楽しく観れた展覧会でした。芦雪、シンプルに絵が上手い。
ポスターのメインビジュアルで使われている《牛図》は後期のみ(11/5〜)の展示だったので観れなかったのですが、前期展示のみの《虎図襖》と《龍図襖》の2点が並んで展示されている様子はすごい迫力で「生で観れてよかった…」と心から思いました。
正面に置かれてた椅子に座ってしばらくぼーっと眺めてました。
また、襖6枚に渡って描かれた《虎図襖》《龍図襖》とは対照的に、方寸(3.1cm×3.1cm)という極小サイズの紙に五百羅漢(釈迦の弟子五百人)を描いた《方寸五百羅漢図》も印象に残った作品です。小さすぎて最初は作品に気づかずに通り過ぎるところだった。
あと《蹲る虎図》が見る前から「丸くて可愛いな…」と思ってたけど実物もまん丸で可愛かった…。
『長沢芦雪 -奇想の旅、天才絵師の全貌- 』展の会期は2023年12月3日まで。
テート美術館展 光
『テート美術館展 光』は英国・テート美術館のコレクションより「光」をテーマに、18世紀末から現代までの絵画、写真、素描、映像、インスタレーションなど幅広いジャンルから厳選した約120点の作品で構成した展覧会。
なんとこの展示、一部の作品以外は写真撮影自由でした。嬉しい。
「光」がテーマということもあって、白一色の壁にシンプルな展示。キャプションの装飾も控えめ。
これが個人的に一番驚いた作品。
ターナーがロイヤルアカデミーで教授だった時に講義のために制作された遠近法の図解。絵の雰囲気から感覚の人だと思っていたので、こんな理論の人だったんだ…とびっくりしました(超失礼)。
ターナーさんすみません。
モネの、この雲とか波を描く時に出るくるくるした筆のタッチが好き。モネのくるくるタッチを見つけては一人ほくそ笑むのが趣味です。
幅広いジャンルの作品が色々あって面白い展示でした。
インスタレーションは撮影不可のものがちょいちょいあって載せられなかったけどジェームズ・タレル《リーマー、ブルー》(1969)やリリアン・レイン《液体の反射》(no.58)(1968)が印象に残っています。
インスタレーション作品をぼんやり眺めるの結構好き。
『テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ』の会期は2024年1月14日(日)までです。
ちなみに『テート美術館展 光』は今年の7月〜10月まで東京・国立新美術館で開催されていた企画の巡回展です。2021年に上海で初めて開催された後、ソウル、メルボルン、オークランドなどで巡回開催され、日本が最終会場になります。
国立新美術館で開催された方は見逃してしまったので、当初は「大阪で観れてちょうどよかったな〜」と思ったのですが、このレポートを書きつつ「せっかくなら新美術館の方も見て、巡回で展示がどんな感じに変わるか比較すればよかった…」なんて思った美術館オタクでした。
こちらは展示室フロアのロビーに設置された作品。大阪中之島美術館、建物自体も面白くてうろうろ歩き回ってしまった。
大阪中之島美術館は所蔵しているコレクションも素晴らしいのですが、館内に常設展示室がないので観る機会が少ないのだけが残念…😭
美術館を出た後は伊丹空港に移動、夜の飛行機で帰宅しました。
20年ぶりの京都に初めての大阪、とっても楽しかった!
おわり
…ということで、今回は大阪で巡った美術館、博物館の感想でした。
国内旅の美術館巡りも楽しいですね。大阪や京都もまた行きたいし、別の地方にも行ってみたいなあ…という気持ちが強くなりました。
次のきまま日記なのですが、今月はちょっと時間的な余裕がないため11月後半(11/15、22、29)はお休みをいただきます。12/3のコミティアに参加予定なので、それ関連の告知は更新します。
イベント準備と仕事が落ち着いたら、また日記も更新再開しますね。
それでは、また次の更新で。
2023.11.08
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