見出し画像

とにもかくにも、リズミカルに生きる|映画「1秒先の彼女」を見て

社会人になり、よく『せっかち』だと言われるようになった。

「歩くのがはやくて声がかけれられませんでした。トイレ我慢してました?」とか「レスが異常にはやくに返って来ますね。すごいです!」だとか。褒められているのかなんだかわからないが、周りから言われることで「あれ、私なんでいま急いでたんだろう。」と我に返ることが多くなり、最近自認するようになった。

私のせっかちは、今考えると完全に生まれ育った環境が起因していると断言できる。なぜなら、23時半に食べようと決めた年越しそばを待ちきれずに22時45分には食べてしまうような家庭で育ったのだ。久しぶりに実家に帰省すると、その時の流れの速さに懐かしさを感じるほど。
こちとら家族みんなで生き急いできた。巣立ったとて、急に止まることなんて出来まい。


この映画の主人公の女性は、題名の通り人よりもワンテンポはやく生きている。効率的に仕事をこなすが、その性質で人に迷惑をかけることも。
そんな彼女とワンテンポ遅く生きる彼の、ファンタジーにあふれるストーリー。二人のキャラクターが前向きに描かれており、次第に愛おしく感じる。


物語の中で「人生は記憶のパズルだ」という言葉が出てくる。

では、私は一体(無意識に)せかせか生きてる中で、どれだけのピースを見落としてきたのだろうか。正解はわからないが、死ぬ間際の私の走馬灯はバカ早く回ることだけは確実だ。

劇中のおっとりした彼は幼い頃から写真を撮ることが趣味で、様々な瞬間を写真に残してきた。
そういえば、私は友達とご飯に行った時、料理の写真を撮らずにみんなより先に食べ始めてしまう事象がよく発生する。まあそれは食い意地もあるんですが…。彼のように一瞬一瞬を噛みしめて、後から振り返るような時間が私には必要なのだろう。

また、もはや違う空間を生きる彼が、人知れず彼女のサポートをする描写が度々出てくる。同じようにきっと私も気づかないうちに誰かに助けられているんだろうな、としみじみ考えさせられた。
自分を理解して肯定してくれる存在は大きい。

ちなみに私は早く書くことを優先するがゆえに、字がビビるほど汚い。可読性の低い自分の字にあきれ、仕事では手書きメモをしないように心掛けている。
以前研修のグループワークの際にメンバーから出た意見をメモしていると、「リズミカルな字を書きますね。」と言ってくれた人がいた。
せっかちだなぁ、と言われると傷つくというよりいつもなんだか申し訳ない気持ちになる。本人にとっては皮肉だったのかもしれないが、その一言がポジティブに受け入れられたような気がして無性に嬉しかった。


この映画は、周りの人のおかげでありのままで自分でいられることに改めて気づかせてくれた。
たまには休止符を打ちながら、リズミカルにアップテンポに自分らしく生きていこう。


この記事が参加している募集

映画感想文

映画が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?