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WMS(倉庫管理システム)とは経営資源の見える化 part1

(この記事を読んで欲しい方:流通や小売事業の経営職、管理職の方、個人法人問わず在庫管理をシステム化したい方、通販事業の方向け)

 さて、今回は物流倉庫でよく利用されるシステムの話です。倉庫管理システムのことで通称、WMS(Warehouse Management System)と言います。読み方はそのままダブルエムエスです。
 今回は2部パート構成でお届けします。
part1  ①WMSの機能 
part1  ②ユーザーの習熟度によって変化する、求める機能
part2  ③経営資源の見える化

 特に②③はあまりネットに情報がないです。通販物流に7年従事し、元物流センター長の私の経験を記したいと思います。
ではいってみましょう。

あまり専門用語を使用せず、なるべく平易な用語で説明したいと思います。

なぜWMSが必要か

まず、そもそもなぜWMSが必要なのでしょうか。
それはズバリ、

<経営資源の見える化>

です。もちろん、他にもいろいろな理由があげられます。
・正確な在庫の把握
・作業のムリ・ムダ・ムラをなくす
・業務の標準化
など。どれも正解です。では、なぜそれらが必要なのでしょうか。
真の目的は経営資源の見える化と私は考えています。

WMSの機能

WMS=倉庫管理システムの基本的な機能は下記の5つに集約されます。
・入荷管理
・在庫管理
・出荷管理
・棚卸管理
・帳票管理

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(参照 https://it-trend.jp/warehouse_management_system/article/comparison)


 WMSは、日々の入出荷・在庫保管といった倉庫における「庫内物流」の
正確性とスピードアップを実現する仕組みです。
その為に庫内物流で必要となるきめ細やかさで、現物在庫を管理します。

 棚卸では、倉庫の商品や材料、資材などの実数を数えて、WMSデータ上の在庫数(=理論在庫数)が一致しているかを確認します。倉庫の住所とも言える、ロケーション(棚の番号)管理とその棚にしまっている商品の種類と数量がWMSに紐づけられていますので、正確な棚卸しが可能です。

 帳票管理は、日々の作業に使用する入荷リストや、出荷に必要な商品のピッキングリスト、商品に貼り付けるためのバーコードシールの発行などをいたします。

  基本的に倉庫で入荷や出荷をするというのは、モノをある場所から移動させることになります。その場合は全てハンディターミナルという、手で持つ専用の端末機を使用します。これがWMSと連携し正確な作業や在庫管理ができます。前提として商品に貼付されるバーコード読み取りのため、バーコードシール発行の機能がWMSには必要です。

 納入元からすでにバーコードが入荷品についていて、そのデータがWMSに登録されているとシール発行の手間がなく、すぐに入荷作業が可能となります。

WMSと基幹システムとの違い

よく混同しがちなのが、基幹システムとの違いです。下記が一般的な基幹倉庫システムの機能です。WMSと共通するのは在庫の管理機能ですが、前述した入庫出庫や棚卸し、帳票管理機能は基幹システムにはありません。

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(参照 https://it-trend.jp/warehouse_management_system/article/comparison)


 いつ(WHEN)、何の商品(WAHT)が○点入荷し、どこのロケーション(WHERE)で保管し、出荷指示が入ったら注文番号ごとにどの商品(WHICH)と組み合わせて、誰宛(WHO)に送るのか、こういった作業に即したデータをきめ細かく管理するのがWMSです。

WMS習熟度によって求める機能の変化


 さて、ここからが本題です。これを読んでくださっている方はWMSを使ったことがない方が多いと思います。いざWMSを探してみると多種多様な機能がありよく理解できないのではないでしょうか?そこで導入期に必要な機能と導入後に次第に変わっていく機能ニーズについて下記にまとめました。

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 STEP0 導入編 😃

 ここではWMS導入にあたり、現状直面している課題が解決できる機能があるかがまず大事ですね。例えば、
・外見が類似している商品が多く、取り違いが多発。そのためにバーコード管理が必要
・在庫数が一致せず、どの段階で過不足が出ているかわからないからログをしっかり残したい
・複数拠点で使える機能が欲しい

などです。さらには管理面の課題として
・費用は毎月ランニングコストが発生してもいいから初期コストを下げたい
・自社のシステムセキュリティの沿ったパッケージ型orクラウド型にする
・既存システムとの連携自動化

などが挙げられます。もちろんどれか1つではありません。

STEP1熟練度 初級編 😃😃

 ここで大事なのはUIです。導入後から半年間はWMS操作にも慣れる必要があります。それはご自分だけでなく、同僚や物流パートナーなど他の人にも操作を教える必要が出てきます。わかりやすいワードや直感的な操作感、必要な情報が一目でわかる視認性があると助かりますね。ちょっとしたことですが気の利いたUIだと習得ストレスがだいぶ軽減できます。

 特定の品番や商品名を部分一致検索で調べられたり、入出庫ログが任意の期間で検索、表示できてそのCSVファイルが簡単に抽出できるなどです。簡単なレクチャーで覚えることができると、教える方も教わるほうも楽です。

 逆に必要なメニューがTOPになく、ページの奥深くにあるようなUIは使用しづらいです。スクロールをたくさんせざる得ないことも避けたいですね。何に使用するかわからないメニューやボタンなどが目に留まりやすい箇所にあるのは避けたいです。
 
 STEP0のWMSを選択する段階で、素人でもわかりやすいUIになっているか、操作説明を受けずともある程度理解できるか確認してください。実際に操作をするのをオススメします。

STEP2熟練度 中級編 😃😃😃

 この段階になると倉庫全体の業務分析を始めることになるでしょう。担当のあなたはWMSにも慣れ余裕が出てきている頃でしょう。すると今保管する商品っていつ出荷されるのかな?出庫回数の多い商品は、取りにくい場所でなくなるべく出し入れしやすい場所に保管したいな。など倉庫業務のムリムダムラをなくしたくなってきます。(もしくは、担当者が考えておらずとも上司から命令されますw)


  そこで必要なのがabc分析などに代表される分析機能です。
この機能がWMSにあると毎日のように入出荷がある高頻度商品と、逆に1ヶ月に1度しか動きのない低頻度の商品、その中間など在庫商品の特性が見えてきます。

 抽出ロジックは様々で、出荷数だけで見る場合、在庫保管期間で見る場合、倉庫のエリアで見る場合などありますので、自社の特性に応じた分析機能を使用してください。


 ちなみにひとくちに分析機能と言ってもそのレベルはwmsソフトによって様々です。100%充分なものはおそらくないと思います。なぜなら、そもそもWMSは分析を目的としていないからです。

 分析不十分な部分は自分で行うしかないので、せめて入出庫や保管在庫一覧など各種のデータがCSVファイルでエクスポートできる機能があるかを確認しましょう。その時に日時データが入出庫など各作業ログに紐付いた形式でCSVファイル出力できれば良いと思います。

STEP3熟練度 上級編 😃😃😃😃

 ここの段階までくると変化する業務環境への対応が求められます。そしてWMSに必要な機能は拡張性と、外部システムとの連携です。

 企業は成長するためには新ジャンルの商品の取り扱いや、新サービスのリリースなど、既存ビジネスにはない新領域への参入もあることでしょう。はたまた売上が拡大するにつれて、連携する自社システムのリニューアル、新決済システムの導入、新取引先との連携、物流の作業キャパ増大を目的とする倉庫移転などです。

 こういった外部環境への変化に対応がこの段階では求められます。このレベルになると、単一作業レベルの話ではなく、もっとマクロ的な視点での話になります。

 私の経験では、7年間で毎年の取扱量が前年比で1.2倍増える状況でした。そのための作業増に対応するデータベースの増設や移設やロケーション数の増加、大きい話では外部取引先とのシステム連携や物流移転、複数拠点化などを実行しました。

 これらに対応するために、導入時のWMSのデータ処理数の限界値とそれを超えたときの対応、例えば個別カスタム機能の追加開発などがWMS提供業者にできるかを確認しましょう。パッケージを販売する業者は特にカスタムは嫌うと思いますので、自社の業務変化に柔軟な対応を取れる業者のWMSを選定することがベターです。(part2へ続く。こちらから


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