見出し画像

受験塾の合宿の良いところって?(塾講師による「二月の勝者5巻」読書会②)

自律学習サカセルの講師一同は、週刊ビッグコミックスピリッツに2018年より掲載されている漫画「二月の勝者」を愛読しております。
この漫画、綿密に取材され、中学受験業界を面白おかしく、とてもリアルに描写しているから塾講師が読んでもおもしろい。

そこで、自律学習サカセルの講師、三宅、増田、K・Mの3人によるこの漫画の座談会を通じて中学受験と中学受験塾業界についてご紹介したいと思います。(各講師のプロフィールは自律学習サカセルHPよりご覧ください。)

受験校決定のタイミング

―この作品では夏休みの合宿前ですが、受験校を考えるタイミングとして早すぎる、遅すぎるということはないですか?

増田:黒木さんが赴任したのが2月くらいだったと思うので、普通じゃないですか?もっと前から伝えるところもありますね。

増田:10月に個別面談なりがあるんですよ。で、そこで言うんじゃ遅いんです。検討して、じゃあこういうプランで行きましょうね。というのが10月、11月の個別面談です。

K・M:つめの段階ですね。

増田:だから8月くらいに種を蒔いておくのって全然間違いじゃないです。

三宅:6年生はだいたい夏休み前の前期の面談と秋の後期の面談。前期の面談はあくまで種蒔きだったり、塾側が家庭の方針を知るっていう面談。で秋は受験パターンの決定の面談。受験パターン決定の時にいきなりここ受けようというと抵抗もあるだろうし、事前にすり合わせておくというところも重要かなと思う。

ー「不安や不満や攻撃はすべて塾にぶつけてください」という発言があるのですが、どのような効果を狙っているのでしょうか?

K・M:僕、似たセリフを保護者会で実際に言ったことありますね。

K・M:まず、親子が喧嘩になることが目に見えてるんですよね。まず相談ごとは1回講師の方に預けてもらってこちらから生徒に伝えるようにする。そうすると子供は講師の言うことの方を聞きますので上手く行きやすいと思います。後は、家庭との情報の共有にもなるというのもいいですね。

K・M:実際こちらに言わずに上手く行かなかったことってありすぎて挙げられない。喧嘩は日常茶飯事になっちゃうんですよね。スケジューリングとか、勉強をしろとか、約束事とか、宿題をやっているかどうかのチェックとか。こういうのは親と約束するのではなくて、先生と約束すると生徒は比較的聞いてくれるかな。

増田:他人なんで、親よりマシなんです。

三宅:この時期はまだ親御さん冷静、穏やかなことが多いから、その段階でやばくなったら言ってくれと伝えておくと予防にはなるかな。秋以降の方が親御さんとしても大分厳しくなってくる。

K・M:子供も親も感情的になりやすいですからね。

中学受験塾、合宿の効果とは

ー少し話が変わりますが、今回は合宿も大きく取り上げられています。合宿って今どの塾でもやっているんですか?

K・M:基本合宿をやってる塾って高校受験の塾というイメージがありますね。

増田:早稲田アカデミーはやっていますが、売上の一部を合宿で得ているので、コロナがなければこれから無くなる理由はありません。あの手この手でその質を高めるためのインセンティブが講師に用意されています。他の塾ではそれをあまりやらず、校舎に来させて長時間勉強という形態を取っていますね。

K・M:合宿はリスクが多いんですよね。体調を崩すどころかもっと重症になってしまうこともありますし、盗難や喧嘩もありえます。

K・M:早稲アカでは小4まで合宿に行くんですけど、やっぱり、子供を預かるのはリスクがあります。高校受験生の経験からノウハウがあるからやりやすいというのが、早稲アカだけ合宿を行っている理由の1つだと思います。

三宅:日能研とか四谷大塚とかは合宿をやらずに、特に後期の日曜特訓(日特)でこの学校を受ける生徒はこの校舎、という形で集めたりはしている。SAPIXはしない。夏はやってないんじゃないかな。

K・M:作品の中では先生もふわっとした感じですけど、実際は殺伐としてますね。生徒たちも軍隊のように並ばされて統率をとってやっていくんですよ。こんな和気あいあいとはしてないですね。これもリスクを抑えるためなんですけど。

増田:盗難あったから余計その傾向が進んだかもね。

K・M:そうですね。まるみさんは実際の合宿に行ったら大丈夫かな?という雰囲気はあります。ある意味、そこで生まれ変わるというのは合宿の1つの意味合いみたいです。

ーその効果はあるのですか?

K・M:結構ありますね。他の生徒や場の雰囲気が刺激になったり、高校受験の子だったら、ホテルごとに分かれているので、あいつ名前知ってるぞ。みたいなことがあるんですよね。

ーまるみさん見たいに萎縮しちゃう子も一定数いますか?

増田:親御さんが謙虚なタイプに多いような気がします。この後学校の選択の件でJG受けさせないというのが出てきますけど、こういうの多いですね。

増田:親御さんの方針なのか分からないですけど、子供が「子供から小さい大人になるタイミング」で大きい選択を自身にさせてないのかななんて思う時があります。

K・M:まるみさんみたいなタイプの生徒が合宿で休むことがあるんですけど、それが負のスパイラルに入る時があるんです。「合宿ってあんなに長いのによくやったよね。」ということがそのあとの心の支えになることがあるものなので、そこで踏ん張れないとその後も踏ん張れないことが多いですね。

三宅:俺はこれはこれでいいと思うけどな。まるみさんは周りと自分の力の差を客観的に見れてるから。それを今後自分の糧にしていくか、それでつぶれちゃうかは本人次第。ただ、まるみさんにとって、合格する生徒がどのくらいのレベルなのかを体感するいい機会になったんじゃないかな。

---

ということで今回は受験校決定のタイミングと中学受験塾の合宿について話してきました。

他のトピックと同じように、二月の勝者では講師や講師が受験校に関するアドバイスをするタイミング的にもリアルに描かれているようです。

また、合宿については現状大手の塾で合宿を採用しているのは早稲田アカデミーだけのようですが、その効果に関しては教育面だけでなく、精神面での成長も見込んでいるようです。しかし、現実はかなり厳重な管理のもとで行われるもので生徒にかかる負荷はかなり大きいものになっているのかもしれません。

次回は、6巻の話題に入ってゆきます!それでは!


個別指導・家庭教師の
自律学習サカセル

〒154-0001
東京都世田谷区池尻3丁目4-2 SSビル池尻901
Tel:03-5787-5563

HP:https://sacacell.jp/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?