えんぴつぺんぎん

実際には人間です。

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最近の記事

憧れのロマンスカー

  神奈川県の少年にとって、憧れの電車はロマンスカーである。小田急電鉄の特急用車両が受け継いでいる愛称で、新幹線にもつながった初代SE、初めて展望席を備えたNSEなど、代々時代の要請に応えながら神奈川と東京を繋いでいる。  湘南の鉄道少年であった私にとってもロマンスカーは憧れだったが、箱根方面にも東京方面にも東海道線が繋いでいる湘南沿岸部だと、乗る機会も見る機会もない。藤沢駅にいるのは、展望席がないなどロマンスカーらしくないロマンスカー、子供が泣くことで有名なEXEだった。

    • 愛なき言葉

       「愛のあるイジリ」という言葉が嫌いだ。  イジり、もしくはイジるとは、誰かの行動や容姿について、それが一般的に考えられる範囲から外れているのだと、主に笑うことを目的にその誰かに指摘したり、集団での話題にしたりすることであると言える。  イジるということは、その誰かの心を傷つけたり、恥ずかしい思いをさせてしまうから、本来控えるべきことである。イジりはいじめと同一の地平にある行為で、いじめは間違いなく許されない行為である。  しかしそのイジりは、いじめから区別され、時に「

      • リズム地獄

         1月からピアノを習い始めた。土曜日のお昼に、某世界的楽器店が経営する、全国津々浦々にある超大手ピアノ教室の銀座校に通っている。  私は小学生の時にほんの少しだけピアノを習っていた。祖母が指導者の資格を持っていて、近所の子供相手に教室を開いていたのだ。もっとも、生来の飽きっぽい性格に加え、祖母に習っている気楽さもあり、ロクに練習をしていなかった。3年ほど前に、続けられる趣味を持とうとピアノに挑戦することにし、当時使っていた教則本を引っ張り出したところ、こんな初歩的なところで

        • 頭の中身

           「本棚を見せるのって恥ずかしくないですか?」久しぶりに会った後輩氏がいった。自分の頭の中を見せるようだから、という。まったくその通りだと思う。自分の本棚を見せるということは、自分が何に興味を持っていて、どんなことを考えているのかをそっくり話してしまうようなものだ。  東京で一人暮らしを始めてからの本棚はスペースの都合もあって、限られた本しか置いていない。図書館で借りたり、電子書籍を購入したりすることも多いから、本棚にある本は、資格試験のテキストなどの実用書の他は、繰返し読

          水が作る世界

           秋吉台は山口県の概ね中央部に位置する巨大なカルスト台地である。その下にある秋芳洞は、日本三大鍾乳洞に数えられている。総延長は10キロ以上、そのうち観光客が入れるのは1キロ弱だが、それでも日本最大の洞窟の威容は存分に感じ取ることができる。  2022年3月21日、私と友人たちの山口旅行は最終日を迎えた。山口に住むサークルの同期を、ほかの同期2人と訪ねた4人旅。旧交を温めるというほど久しぶりでもない私たちは、いつも通りの下品な会話をしながら秋芳洞の入口についた。  車を止め

          シャカシャカ抹茶

            たまに抹茶を飲んでいる。ちょっとおいしそうなお菓子を入手した時とか、何かの作業のために気合を入れるときとかに、珈琲を淹れる、なんて人は多いと思う。気分を作るために、ちょっと手間のかかることするわけだ。私はその感覚で抹茶を飲んでいる。   抹茶を飲むようになったきっかけは、去年の9月の終わりに遡る。上司が人事に怒られないよう夏季休暇を取らされた私は、近場だがいく機会のなかったところを見て回っていて、浜離宮庭園を訪れていた。  浜離宮庭園は、江戸時代の殿様の巨大な鷹狩用の

          シャカシャカ抹茶

          さよなら青春トレイン

           春は別れの季節である。  2021年3月12日、別れを惜しむ人々がJR東京駅9,10番線ホームを埋め尽くしていた。  主役は185系特急電車だ。40年近く活躍していた車両で、翌13日のダイヤ改正で、担当した特急「踊り子」はすべて後継車両E257系特急電車に、「湘南ライナー」は特急「湘南」に生まれ変わりこちらもE257系に置き換えられることになっていた。合わせて、「湘南ライナー」用に生まれた総2階建ての異色の車両、215系電車も引退が決まっていた。  185系、215系

          さよなら青春トレイン

          自分の生活と料理

           料理が好きだ。  2年前に一人暮らしを始めるまで、料理は母にお任せで、ほとんどしてこなかった。ただ、自分で食事を用意する、という選択肢を持てないことは、自立したとは言えないのではないか、と思い、引っ越した当日からキッチンは使っている。  料理は発見の連続だった。中華料理の味は、鶏がらスープやオイスターソースの味であることや、キャベツからはやたら水分ががでることはすぐわかった。そして食べられるものと美味しいものとの間には果てしない距離があることも。  自分で作ったものは

          自分の生活と料理

           匿名だけど、実名で言えることしか書かないように気をつけましょうね。  自意識を肥大化させる道具にならないようにも気をつけよう。