東京退屈日記、事はじめ
この街には、あまりに選択肢が多い。店や物が溢れ、ある程度のお金を持ち合わせさえすれば、自由を手に入れることができる。
このことを否定するつもりはない。お金による物質的、もしくは刹那的な自由さによって、自分の存在や価値を日々確かめている自覚はあるからだ。
かごの中の鳥だって、押すと餌がでるボタンつきの籠と、きまぐれに餌が差し込まれる籠だったら、前者を選ぶだろう。ボタンを押すと餌がでる、という行為を通して、何か意味のあることをしている、という錯覚に陥れるからだ。そして、自分の