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ソーシャルディスタンスアートって?

また各地でなんちゃら宣言が発動されつつあって、4月のことを思い出します。あの頃、文化活動を「不要不急」と捉える発言や動きが多く見られましたが、まだまだその考えはなくなりそうもないですね〜。健康のために活動が制限されることは仕方がないけど、文化活動の軽視は人々の心の健康を脅かすんじゃないかと思います。

そんな状況の中でも、いろんな芸術関係者がオンラインなどを駆使した新しい芸術受容の形を模索していますね。リアルならではの参加型アートも然り。夏の京都では、「ソーシャルディスタンスアート」が今日から始まります。

参加型アートとは

参加型アートとは、一般的な展覧会などのように作家と鑑賞者が分けられるのではなく、鑑賞者が何らかの形で作品に参加するアートのこと。参加型アートは主に3つに分類することができます。

リレーショナル・アート…アートと日常を同じフィールドとしてとらえようとするアート。
リクリット・ティラバーニャ(1961-)による「美術館でカレーを振る舞う」という企画などがある。この作品は、衣食住の食を美術館に持ち込むことにより、美術館の鑑賞者を日常に引き戻すことで、アートの日常化を図ったものである。
インタラクティヴ・アート…鑑賞者が作品に触れる、作品の一部になる、制作に関わるなど、直接作品に介入するアート。
ジェフリー・ショー(1944-)の《レジブル・シティ》は、画面に投影されたバーチャル空間を、鑑賞者が自転車のペダルをこぐことによって移動するというもので、このようなメディア・アートはインタラクティヴ・アートの最もよくある形であるともいえる。
ワーク・イン・プログレス…インスタレーションの一部でもあり、完成を目的とせず制作過程を鑑賞者に見せるアート。
川俣正(1953-)の《「工事中」再開》は、東京・代官山の一角に橋を掛ける様子を見せるインスタレーション作品だが、この時展示場所付近の歩道橋が撤去直前であった状況を受けて、その歩道橋が観覧場所のひとつに設定された。このような作品は、作者にとってその場所であること、制作過程を見せることが重要な要素となっている。

参加型アートの目的

芸術は、資本主義の台頭により消費対象物としてビジネス界に進出しました。さらにメディアが拡大すると、芸術を消費することはもはや当たり前に。

危機感を抱いた多くのアーティストやキュレーターは、このような芸術の在り方に警鐘を鳴らし、アメリカンポップアートなど新しい芸術で大量消費社会に対する批判を訴えました。更に、鑑賞者を作品に参加させることによって、鑑賞者の受け身の意識を変えようと動きはじめました。

こうして生まれた参加型アートは、壁に飾られた、あるいはケースに入れられた作品を鑑賞するだけの美術館システムにも影響を与えることになります。アート作品に留まらず美術館そのものまでもが日常生活とかけ離れた場所となっていることの違和感に気づいたというわけ。

最近では企画展に合わせたワークショップやインスタレーション作品の展示のほか、「盗めるアート展」など新たなスタイルの展覧会や、美術館の枠を超えて地域に密着した展示が注目を集めつつありますよね。

ちなみにメディアの発展以前には、伊藤博文らが派遣された1900年のパリ万国博覧会以降、日本美術を嗜好する「ジャポニズム」が流行しました。この原因は、屏風絵や扇子、着物に至るまで美術が工芸品として生活に根付いた日本文化が注目されたことにあると思われます。

西洋の美術家たちは120年前から「アートと日常の融合」という点に注目していたのかもしれませんね。

自粛生活における参加型アートの問題点

参加型アートとは、鑑賞者が参加して初めて成立するアートです。鑑賞者が作品のある場所に集まるというスタイルが一般的となります。

しかし、2020年2月ごろから人が多く集まるイベントのほとんどは中止に追い込まれました。参加型アートは、多様な文化的活動の中でも特に危機的状況なんじゃないでしょうか。

アート全体においては、2020年7月3日より開始された文化庁初のオンライン企画展「DOMANI・明日展plus」をはじめ、インターネットを利用したさまざまな試みが進められています。既に一般化していた民間のオンライン美術館やオンライン展覧会も、急速に成長しています。

ソーシャルディスタンスをアートに

では参加型アートはというと、つい先日までは、泊まれる演劇さん(参加型演劇を参加型アートに含むかという問題は無視)などオンラインでいろんな試みがありつつも、通常対面式で行われるイベントを家庭に持ち込む形式に留まっていました。

これはこれで感染リスクもないしおうち時間が楽しくなっていいのですが…ソーシャルディスタンスをあえて活用した「二条城×ネイキッド 夏季特別ライトアップ2020」が、京都二条城で今日からスタートしています。

二条城といえば、毎年恒例になりつつあるネイキッドコラボのライトアップイベント。2018年のプロジェクションマッピングは私も見に行きました。なつかし〜。写真はマッピングじゃないんですが。

2018年の二条城ライトアップ
写真ぼやけとるなー

今年の目玉は「ディスタンス提灯」。ひとりひとり提灯を持ち歩くことによって、人との距離を保ちつつ自分もアートの一部になれるという、今年ならではの素敵な演出です。

公式サイトより

さらに、個人的にめちゃめちゃ気になるのは「天守復活AR」!今は見ることのできない天守閣を自分のスマホで再現できちゃうらしい…ありがちかもしれないけどわくわくするよね。

公式サイトより

場所はこの辺かな?

そしてそして、今年は遠く離れた自宅から楽しめるVR企画もあります。こちらも天守復活がテーマの模様。えー、マッピングより楽しそうじゃないか?

ソーシャルディスタンスやマスクなどの感染予防、収束祈願などのアートはいずれ出てくるだろうと思ってはいましたが、恒例イベントを中止にせず臨機応変に対応したネイキッドさん、さすがです。

参加型アートの可能性

「新しい生活様式」が参加型アートに新たな動きを作りつつあって、きっと今現代アートと呼ばれているものたちには別の名前がつけられて、今年以降に手がけられた作品たちは新しい現代アートになっていくのでは、と小さな期待もあります。
オンラインで再現するアートもますます増えそうですが、やっぱり生がイチバンだよなと感じてしまうのは事実。でも、これだけデジタルが進歩しているなら、ネット上でしか楽しめない「ネット・アート」ブームの再来も近いように感じませんか?

前述したように、参加型アートの目的はメディアの台頭による受け身の消費活動アートと日常の隔離に対する警鐘です。

参加型のネット・アートは、あえてインターネットという大きなメディアを利用することで、メディアをコミュニケーションツールと捉えるようになったSNS時代を象徴するものとなりそうです。また、インターネットは現代社会にとって衣食住に次ぐインフラストラクチャーとなっていて、通信販売など生活に密着したツールをテーマにすることで、日常へのアプローチに有効活用できるんじゃないでしょうか。

まあ、外に出るに越したことはないけどね〜(4ヶ月ぶりにバイトに行って無事全身サロンパスになった私の二の舞にならないでね〜)

二条城×ネイキッド 夏季特別ライトアップ2020
会期
2020年8月8日(土)〜 8月30日(日)※会期中無休(雨天決行、荒天時は中止の可能性あり)

開催時間
19:00〜21:20(閉場22:00)

会場
元離宮二条城

チケット料金
大人:1,200円、小人:800円

その他詳細は公式サイトからどうぞ。

おしらせ!

満を持してタイポ展が開催されます!
出展しまくります!!!!
原宿だよお近くの方は、、お近くの方だけでも、、遠くからは来れないからね、、リフレッシュに来て!!

↑詳細随時更新中〜

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