見出し画像

オフィス街とわたし



月曜日、午後12時。


お昼を食べようとテラス席に座った。晴れた日の日差しは強く、黒い服を着た私の背中をじりじりと温め続ける。肌寒いこの頃だが、太陽に当たり続けた背中は、暖かいを超えて少し鬱陶しいくらいの暑さになる。もう、冬が間近だというのに。


平日のこの時間は、スーツやオフィスカジュアルな服を着た人々が財布を片手に一斉に街に出る。思いがけない日差しの眩しさに目が眩まないよう、片手を額のあたりにかざしながら信号を渡る。


どこを探してもランチは最低1000円〜、ちょっと綺麗なところに入ればたちまち1500円だ。小洒落た店名とメニューを見て、今日も胃袋にいれる食材を選ぶ。

「お決まりですか?」

(昨日から無性に食べたかったパスタにしようかな。ランチメニューのパスタはクリームパスタか、最高。でもこのリゾットも美味しそうだなあ…舞茸と鶏肉か、非常に良い。迷うなあ、値段は……一緒か……迷うな……。)

「ランチセット、舞茸と鶏肉のリゾットで。」

迷った結果、未来の自分の健康のために身体に気を遣おうと決意したことを思い出し、より身体に良さそうな方を選ぶ。

かれこれここ4年で何度も仕事を変えてきたが、どの会社も在宅勤務(私がそれを好んで選んでいる)で、新卒から今まで、週5で会社に足を運んだことがほぼない。


今も出社は週1で、出社日は会社の同僚と周辺の良さげなお店を開拓するライチタイムを楽しみに向かう。


たった1時間弱のこの時間は、なぜか会社に行くことそのものよりも自分と社会がつながっているという感覚を取り戻してくれる大切な時間だ。


シャキッとスーツで街を歩く人々、立ち並ぶ高層ビル、新しいそれを建設中の工事現場、大通りを走る車、近所のコンビニにいる人よりも3倍は忙しそうな店員。


動き回っているこの街も、夜中や土日は静かになるけれど、平日の昼に毎日ここにいるのは疲れてしまう。週1くらいがちょうどいい。


大自然が好きなわたしだけれど、オフィス街も案外きらいじゃない。住みたいとは思わないけれど、通いたいとは思う。通いたいとは思うけれど、頻度はかなり低くて良い。


そんな、付かず離れずの距離感がオフィス街とわたしのベストである。選ぶ食べ物、選ぶ会社や働き方、時間の過ごし方。そのすべてが人によって違い、自分にとって心地良いものがあるはずだ。それらがすべてちょうど良い時、心も身体も健やかに安らかになる。


来週も、1日だけまったりランチを楽しみにオフィス街に会いに行こう。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?