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Moon Light

24歳の誕生日は、442年ぶりに皆既日食と天王星食が重なった日だった。ただの偶然でも、そんな日が自分の誕生日だと、嬉しくなるものだ。その時間になると、そわそわと窓を開けて空を見上げ、ちょっとずつ赤くなりゆく月を幾度もなく確かめた。

最近夜の月を見ることが増えた。都会に住むようになってから、少しでも身近にある自然を掴みたくて、その一つが月だった。じっくりと見ることって、ふと見上げた空が満月の日だった時くらいだったけど、勿体無かった。本当にきれいなのだ。

いつ見上げても違う表情を見せてくれる空はもちろん美しいんだけれど、いつ見上げても確かな光で照らしてくれる月も同じくらい美しい。多分この世で1番自信家じゃないかくらいの光が、とぼとぼと帰路に着く私を強く優しく照らす。雲に隠れる日ももちろんあるけれど、雲の上では何事もなく光っているし。

もう一つよく月を見る理由が、形がコロコロと変わるところが好きになったからで。30日が一周だと、意外と毎日大きく形が変わっていく。日々が瞬く間に過ぎていくことを月の形で感じとる。ああもうこんなに日が経ったのか、前に三日月を見たのはあんな日だったな、みたいに、時の流れを月で感じるのってなんだかすてきじゃないですか。

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