走る/ショートショート
寝坊した。
寝坊した?
寝坊したっ!!!!!
全力で走るのはいつぶりだろうか。きっと小学生ぶりだ。
冬の全力疾走。
周りの人々は私を変な人、とでも言いたげな目で見つめてくる。
変な人で結構。私は寝坊したのだから。
それにしても、夏じゃなくてよかった。
汗で身体中がベタベタにならなくて済む。
最初の段階ではそう思っていたけれど、走って30秒ほどで気がついた。
ーあれ、冬の全力疾走、きつくない?
冬の凍るような空気が口の中に入って肺に届けられる。
走ることで口呼吸になり「はあ、はあ」と呼吸が弾む。
ー痛い。
そう、痛いのだ。
冷たい空気が喉を冷やして、凍りそうになる。危機感を覚えるほどだ。
走っているから体はあついけれど、喉が寒い。
寒いを通り越して痛い。本当に痛い。
立ち止まりたい。けれど寝坊したのは私だ。
この痛みは寝坊した私への罰なのだ。
早く辿り着け。
辿り着け。
ああ、明日からは絶対に寝坊なんかするものか。
*****
これは、私が遅刻しそうになって全力疾走した時に、寒さが原因でびっくりするくらい喉が痛くなったことを元にして書きました。
もう遅刻しそうにならないようにタイマーはたくさんつけようと思います。
ちなみに、この日はぎりぎりセーフでした。
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