誰にでも優しいのは、あなたの弱さだったのね

#むぎのの恋物語

誰にでも優しい人でした。
でも、そこが嫌いでした。
でも、その嫌いなところも含めて大好きな人でした。


電話で告げられた
「ごめん、浮気してた」

この言葉が私たちの恋人関係に終止符を打った。

浮気?あの優しい彼が?

その疑問を抱えながら言った「別れよう」に彼がなんの躊躇いもなく「うん」と。
静かに電話を切った。涙が溢れた。
弁明も何も無いことに腹が立ってまた、泣いた。

数週間が経って友達伝いに元カノが病気であったことを知らされた。
その元カノに「そばに居て欲しい」と頼まれた、と。
断れなかったんだろうな、優しいから
そう踏ん切りをつけようと努力した。


あとから気づいた彼の優しさが本当に憎くて
それでも嫌いになれない自分が嫌になった。
たくさん泣いて、立ち直ってはまた泣いた。

あの頃、あなたが好きだった曲を聴いて、
あなたのお気に入りの香水を嗅いで、
あなたが好きだったエナジードリンクを飲んだ。
「おいしくないじゃん」
また泣いて、泣いて、

私は乗り越えたの。

あれは、本当の優しさじゃない。
誰にでも優しいのは、たぶん彼の弱さだったんだろうと思った。嫌われたくなかったんだろうと思った。

本当の事を言わないのは、偽善だと思った。
優しさの受け売りが、私を酷く傷つけ、元カノへの同情を生んだ。

ああ、元カノになったのは私だったね。

彼との最後のトークは
「あなたは優しいよ、素敵な子だよ」
と残されていた。

昨晩、彼がその彼女と別れたことを知った。
ざまあみろという黒い感情と幸せになって欲しいという白い感情が私の中でひしめき合っている。

もう、彼に連絡を取ることは無いだろう。
そう思いながら、あなたとのトーク履歴を、
連絡先を、あなたと見た景色の写真を削除した。

あなたの中で私は最後まで素敵な人でしたか?


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