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日常での速歩は運動ではなくなる!? シン「身体活動基準・指針」はまだ変更がありかと…検討会から

8月31日開催の第2回健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会を傍聴しました。
資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34957.html

第1回の検討会レポートはコチラ

今回は「健康づくりのための身体活動基準2013」の改訂案として、具体的な「身体活動基準2023(案)」が提示されました。構成案は下記のとおり。

【資料1】身体活動基準の見直しについて(案)P3

上の画像の青い部分が【参考資料2】身体活動・運動の推奨値(案)、緑の部分が、【参考資料3】身体活動・運動に係る参考情報(案)になります。
身体活動・運動の推奨値は、高齢者、成人、こどもの3種についてA4表裏2ページ、身体活動・運動に係る参考情報も、各シートはA4表裏2ページ多くても4ページにて作成されており、簡潔に提示し、読みやすく手に取れやすくしたいという意図を感じましたが、どうしても盛りだくさんになっていますね。なかなか難しい。

そして今回の改訂案の土台、根本となるのが、身体活動・運動の推奨一覧(案)です。黄色の部分が前回からの変更点です。

【資料1】身体活動基準の見直しについて(案)P5

●「身体活動・運動の推奨値一覧(案)」にはかなり意見が…

上記の「身体活動・運動の推奨値一覧(案)」について、検討会ではかなり活発な議論がされました。
○筋トレは、運動に入るので「その他」はいらないのでは。
○「身体活動」には、生活活動+運動となっているのに「運動」が別立てになっているのがわかりづらい。
○「座位行動」を別立てにすることで、立ち上がればいいだけという間違ったメッセージを送ることにならないのか。座位中断後、体を動かしていくことを入れるべきでは。
○「座位行動」を別立てにする場合は、立位や歩行ができない人への配慮をしっかりと記載すべき。
○表の行の項目は、それぞれandなのかorなのか、わかりづらい。
○「高齢者」は65歳以上となっているが、エビデンスの元となるデータの対象者は何歳がメインなのか。
○「こども」の推奨値が部活などの運動をしていないこどもであることを明記すべきでは。
○「こども」の運動のし過ぎについての注意を記載すべきでは。
○18歳未満全てを「こども」と表記してよいのか。

などなど、思い出すだけでもかなり意見が出ていました。もちろん構成員の意見同士でも相反する意見も出ており、意見が全て反映されるというわけではないかと思いますが、事務局側は「持ち帰り」の部分が多くなったように感じました。

●運動の定義が変わる!? 速歩は運動ではない?

個人的なインパクトとしては、「健康づくりのための身体活動基準2013」では、運動の定義として、表の欄外に「運動:スポーツなど、特に体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施し、継続性のある身体活動。」と記載されています。

【資料1】身体活動基準の見直しについて(案)P2

今回の改定案では、表内に「運動※3」とされ、表の欄外に「※3身体活動の一部で、余暇時間や体育・スポーツ活動の時間に、体力の維持・向上や楽しみなどの目的で、計画的・意図的に実施する活動」されています。

比較のために再掲 【資料1】身体活動基準の見直しについて(案)P5 

鈴木構成員から「今までの特定保健指導などで、通勤時に一駅前で降りて早歩きで歩くことを運動と認識して指導していたが、これは運動ということではなくなるということですか」という問いに、
事務局は「運動の定義に変更はないという認識」と回答しましたが、
研究班の澤田構成員は「運動の定義に、余暇時間や体育・スポーツ活動の時間に行うことを加えた」という回答があり、オンラインでの傍聴でありながら、構成員間にざわめきを感じました(オンラインなので完全に私の気のせいですが…)。
別な委員から「運動習慣のある・なしが、健康日本21の目標や国民健康・栄養調査項目に設定されているし、特定健診の質問票にも運動習慣ある・なしを想定した項目もあり、かなりいろいろなところに影響が出るのでは」といった発言もあり、ここも持ち帰り案件となりました。

●運動指導者等向けのシートについて

次に、運動指導者等向けのシートへの議論となりました。
○基準・指針について、国民全体へはもちろん、専門職の認知度を上げることが重要。
○産業保健向け、指導者向け、政策立案者向けなど、シートを読んでもらいたい方を記載しては。
○「働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント」シートでは、デスクワークだけでなく、介護職場の腰痛・転倒についても触れては。高年労働者への内容を入れては。
○「全身持久力(最高酸素摂取量)について」シート では、機器での測定だけでなく、日常でわかるもの、歩行速度などを入れては。
○高齢者などで腎機能が低下している人が、良いと思って筋トレ後にプロテインをとりすぎるケースがあるので、注意が必要といった情報提供をしてほしい
○指導者向けであれば、言葉の表現は略したりせず、正しいものを使うべきでは。
○他省庁で作成の運動資源マップなど、情報としての重要性はもちろん、連携が進むための内容を入れては。
○「身体活動支援環境について」シートの内容は、現在自治体が作成している健康増進計画等の作成時期なので、早く情報提供してもらいたい
など
構成員から意見が出ていましたが、時間も超過しており、若干時間切れの感じで終了となりました。
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「身体活動・運動の推奨値一覧(案)」は、次回は多分かなり修正したのものが、提案されそうな気がします……。

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