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現状と乖離している!? 産業保健の今後はどうなるのか

10月17日開催 第1回 産業保健のあり方に関する検討会を傍聴しました。
産業保健のあり方に関する検討会 第1回資料(データも多く参考になります)

この検討会は、産業保健における現状と課題から、今後のあり方を考えるもの。
第1回目ということで、事務局から産業保健の課題と論点について説明があり、以降はフリーディスカッションの場となりました。

●職場における健康課題の多様化と深刻化

職場における労働者の健康保持増進に関する課題として、
メンタルヘルスや働き方改革、労働者の高齢化
女性の就業率の増加に伴う健康課題
治療と仕事の両立支援、テレワークの拡大による課題
化学物質の自律管理
など、多様化していること。

●法令が想定する産業保健活動と実態の乖離

法令に規定されている産業医や衛生管理者の職務が多様化する課題に即しておらず、実際の活動内容とも乖離が生じていること。
事業場の人数規模で、50人、1,000人という区分けの仕組みがあり、中小企業では、産業保健活動がほとんど行われていないところも多いこと。
他にも、保険者と産業保健はどのような連携体制を構築するべきか、健康経営が広がりについてや、労働者は地域住民でもあることから自治体との協力の必要性、健康管理を支援するIT技術の拡大していることなどが課題として挙がっていました。

●産業保健の理想と現実

発言の中で気になったのは、
「産業保健は業務に起因して発生する疾病や、業務により疾病が増悪することを予防することを一義的な目的としてきたが、業務と直接的な関連がない健康問題への対応は、産業保健の中でどのように位置づけるべきか (資料を一部改変)
という論点に対して
業務に派生する疾病を予防(労働安全)だけでなく、全ての労働者に健康づくりをという視点で、個人の疾病の管理、健康問題にも対応すべきという意見が多数を占めましたが、
これに対して
中小企業では余裕がなく、産業保健はゼロベースというところも多く、義務として課すのは難しい。ただ、構造的な人手不足で疾病者が出ると仕事が回らないため、こうした点から健康づくりのメリットを訴えるなど、少しずつ進めていくべき。
最初の一歩として、経営者、労働者、衛生管理者など、どのような立場でも身近に相談できる公的で安心できる相談機関(サポート)が必要では。
という委員の発言がありました。理想と現実を感じます。

●取組を推進すべき産業保健活動

他にも
○保険者としては、傷病手当金では精神障害が増加しており、今は全体の3分の1を占めている。職場環境に起因したものもあるので、産業保健と一緒に対応すべきと考えている。
○女性の健康問題として、がんになってからの就労支援が必要となっている。また、婦人科検診の受診が重要。職域での費用、検診の実施率を上げることをサポートしてもらいたい。
○高年齢労働者の有所見率が高いが、これは急に悪くなるのではなく、それ以前からの健康問題によるもの
(下記画像 : 個人差はありますが年齢による機能低下はかなりあるようです)
など取組を推進すべき産業保健活動が挙げられました。

参考資料1   P19 「高年齢労働者の各機能水準の相対関係」

●産業保健の担い手とその教育

産業保健の担い手についても、
○法令で規定されている産業医、衛生管理者の職務は何か。産業保健における役割を整理していくべき。産業医はそもそも医師として、どの職務を担うべきか。
看護師・保健師が現場では大きな役割を果たしている。法令で位置を定めるべきではないか
(下記画像 : 看護師・保健師は現場で活躍していますが、職務の規定も少なく、選任基準もないのが現状です)。

参考資料1 P29「労働安全衛生法に基づく衛生管理者、産業医、保健師の選任基準等」

○現在、産業保健を学ぶ場が大学教育などで少ない。また産業保健では、企業ごとに特性があるので、初任時の教育が重要。など、他にも、さまざまな課題にさまざまな意見が出ていました。

なども挙げられていました。
まだ1回目なので、またレポートしていきます。

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